第100話元の涙、そして・・・
文字数 928文字
重苦しい時間が過ぎて行く。
元は下を向いたまま、口をきゅっと結んでいる。
そして、誰も何も話さない重い時間だった。
突然、元があろうことか、泣き出した。
「俺だって・・・馬鹿な俺だって・・・」
「高輪の教会で・・・」
「千歳烏山の家で・・・」
「どれほど・・・本当の父さんと母さんに・・・逢いたいとか・・・助けて・・・って・・・泣きたかったか」
「でも・・・声を立てれば、他の子の迷惑になると思うし」
「千歳烏山の家では、泣けば家から出される・・・どんなに雨が降っても、風が吹いても、雪が降る寒い日でも・・・」
再び、重苦しい雰囲気が続く中、元は涙でくしゃくしゃの顔を上げた。
山岡保と本多美智子をじっと見る。
「もう・・・二度と・・・捨てないで」
元のこの言葉で決まった。
山岡保と本多美智子は即座に立ちあがり同じように立ちあがった元をしっかりと抱く。
マルコ神父とシスター・アンジェラは、胸の前で十字を切る。
「ようやく・・・お恵みと癒しを・・・ありがとうございます」
その様子を見ていた探偵の中村は、頷き、一旦別室を出た。
そして、マスター、音楽雑誌社の杉本、春麗、美由紀と奈穂美を連れて、別室に入って来た。
元は、涙顔を隠そうともしない。
また、全員が涙顔、それも全員涙が止まらない。
それでも少しして元がマスターに声をかけた。
「またピアノを弾きに行っても?」
「本当にお世話になって・・・」
「マスターの店で弾かなかったら・・・こうならなかった」
マスターもクシャクシャの顔。
「当り前さ」
「元君が弾いてくれないと・・・商売にならない」
「客もすぐに帰っちまう」
山岡保がマスター、そして全員に頭を下げた。
「マスターが探偵の中村さんに頼んで・・・そして雑誌社の杉本さん話がつながらなかったら・・・」
「マルコ神父とシスター・アンジェラ、春麗さんも言い尽くせないほどの・・・」
「美由紀さんも奈穂美さんも、元を心配してくれて」
マスターが山岡保に笑顔。
「ジャズがお好きとか・・・」
山岡保は本多美智子と顔を合わせる。
山岡保
「ステージに出たいほど、私も妻も」
マルコ神父が、やさしい顔。
「再びホールに」
「予行演習でいかがですか?」
「実は、それも予定に」
誰からも異論はなかった。
全員が再びホールに向かうことになった。
元は下を向いたまま、口をきゅっと結んでいる。
そして、誰も何も話さない重い時間だった。
突然、元があろうことか、泣き出した。
「俺だって・・・馬鹿な俺だって・・・」
「高輪の教会で・・・」
「千歳烏山の家で・・・」
「どれほど・・・本当の父さんと母さんに・・・逢いたいとか・・・助けて・・・って・・・泣きたかったか」
「でも・・・声を立てれば、他の子の迷惑になると思うし」
「千歳烏山の家では、泣けば家から出される・・・どんなに雨が降っても、風が吹いても、雪が降る寒い日でも・・・」
再び、重苦しい雰囲気が続く中、元は涙でくしゃくしゃの顔を上げた。
山岡保と本多美智子をじっと見る。
「もう・・・二度と・・・捨てないで」
元のこの言葉で決まった。
山岡保と本多美智子は即座に立ちあがり同じように立ちあがった元をしっかりと抱く。
マルコ神父とシスター・アンジェラは、胸の前で十字を切る。
「ようやく・・・お恵みと癒しを・・・ありがとうございます」
その様子を見ていた探偵の中村は、頷き、一旦別室を出た。
そして、マスター、音楽雑誌社の杉本、春麗、美由紀と奈穂美を連れて、別室に入って来た。
元は、涙顔を隠そうともしない。
また、全員が涙顔、それも全員涙が止まらない。
それでも少しして元がマスターに声をかけた。
「またピアノを弾きに行っても?」
「本当にお世話になって・・・」
「マスターの店で弾かなかったら・・・こうならなかった」
マスターもクシャクシャの顔。
「当り前さ」
「元君が弾いてくれないと・・・商売にならない」
「客もすぐに帰っちまう」
山岡保がマスター、そして全員に頭を下げた。
「マスターが探偵の中村さんに頼んで・・・そして雑誌社の杉本さん話がつながらなかったら・・・」
「マルコ神父とシスター・アンジェラ、春麗さんも言い尽くせないほどの・・・」
「美由紀さんも奈穂美さんも、元を心配してくれて」
マスターが山岡保に笑顔。
「ジャズがお好きとか・・・」
山岡保は本多美智子と顔を合わせる。
山岡保
「ステージに出たいほど、私も妻も」
マルコ神父が、やさしい顔。
「再びホールに」
「予行演習でいかがですか?」
「実は、それも予定に」
誰からも異論はなかった。
全員が再びホールに向かうことになった。