花を渡るもの -5月7日-

文字数 549文字

「マメコバチの巣ができてるぞ!」

 捨てようと置いておいた葦簀(よしず)に、蜂の巣が作られていたようです。
 さあ、この時のじいちゃんの表情はどんなでしょうか。

 困った顔? それとも嬉しい顔?

 正解は! 「とても嬉しい顔」でした。

 蜂は花粉を運んでくれる益虫。
 果樹の畑をぶんぶんぶんと飛び回り、花から花へ花粉を運びます。
 梵天(タンポポの綿毛みたいな丸いふわふわがついた道具)を片手に、人の手で花粉つけもしますが、自然の力、蜂の力で受粉させた方がより美味しい実になるといいます。

 なので、蜂屋さんからミツバチを借りて、畑に巣箱を置いたりしています。
 でも、じいちゃんが言うには、ミツバチよりマメコバチの方が良いんですって。

 ミツバチが蜜を運ぶのに対し、マメコバチは花粉を運びます。
 花粉団子を作ってそこに卵を産むからです。
 そのため、マメコバチは花の中に潜り込み、丁寧な受粉をしてくれるそうです。

 ヨシなどの小さな細長い穴を巣にするマメコバチ。
 茅葺きの屋根が多かった昔は、そこに巣を作って、マメコバチもたくさんいたようですが、今は少なくなったみたい。

 農家に嬉しいマメコバチ、増えるといいなぁ。

 
 蜂は花を渡っていい仕事をしてくれます。
 家の中に迷い込んだ時はそっと窓を開け、表へ逃してあげてくださいね。
 
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

あづき


歴史とロマンスと甘味を好む小さな生き物です。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み