狐 -9月8日-

文字数 496文字

「今日の昼間、狐を見たぞ」
 家に帰ってきたら、じいちゃんからそんな報告が。
「切長の目で、尻尾はふさふさだったな」
 ちょっぴり嬉しそうにじいちゃんは話します。
 なんでも、狐を見たのは初めてだとか!

 ウチの近所、多様な野鳥をはじめ野生動物がしばしば現れますが、狐はレアです。
 私も見たのは一度きり(何故かじいちゃんより先に見ていた)。
 カモシカも一度だけなので、それと同じ位遭遇率の低い動物です。
 遭遇率: 熊遭遇率: 熊<カモシカ<狐<猪<イタチ<狸
 って感じでしょうか。あ、熊に遭った事は無いです。
 
 しかし、一昔前よりも動物がむらの中に現るようになったと聞きます。
 これはどういう環境の変化なんだろう。境界線が曖昧になってきているのかなぁ。里山が無くなってきた影響か? などと考えてしまいます。

「珍しいから、目を合わせてジッと観察しちゃったよ。そして、コンコンコン、コーン! って言ってみた」
 楽そうに話すじいちゃん。
「え、それで狐はどうしたの?」
「逃げてった……」
「そりゃそうだろうね……」
 狐はさぞびっくりしたことでしょう。
 会話できなかった〜 と笑うじいちゃん。
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登場人物紹介

あづき


歴史とロマンスと甘味を好む小さな生き物です。

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