雨ふりの朝 -5月1日-

文字数 509文字

 朝、目が覚めて雨音がしたら、どんな気持ちになりますか?
 
 荷物は増えるし、道路は混むし、濡れるし……
 通学、通勤を思いやると、気持ちもどんよりしてしまう。
 私は、どちらかというとそうでした。

 でも、うちのじいちゃんは、雨が降っている朝は、リラックスするんだそうです。
 朝仕事は休みだなぁとか、田畑は潤ってるなぁとか、本能がほっとするみたい。

「ああ、いい雨だ」
 外を眺めながら、たまにじいちゃんは呟きます。
 どんなに人力で水をかけたとしても。
 雨の恵みの力には、到底敵わないそうです。
 植物の喜び方が、まるで違うのだとか。

 自分の歩く道だけを考えれば、晴天は最高。
 渇水などで困らない限り、晴れるに越したことはありません。
 天気予報のキャスターさんも、晴れだと嬉しい、雨だと残念…… 的な伝え方が多いようにも感じます。

 けれど、ほかの道に目を向けてみると、どうでしょう。
 草、木、花、田んぼも、畑も、小さな生き物達も。
 おや、雨を喜ぶものたち、けっこう沢山いそうです。

 晴れも雨も有り難い。
 どちらも過ぎては困るけれど。
 
 雨もいいもんだ。
 朝、目が覚めて雨音が聞こえても。
 私は、最近そう思えるようになってきました。
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登場人物紹介

あづき


歴史とロマンスと甘味を好む小さな生き物です。

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