お米の未来 -9月14日-

文字数 713文字

 また空気の匂いが変わりました。 
 稲の香り、ちょっと燻臭いのは、何処かで籾殻を焼いているからかしら?
 朝、少しひんやりした空気と一緒に、そうした匂いを吸い込むと、ああ秋だなぁと感じます。

 黄金色に染まった田んぼでは、いよいよ稲刈りが始まりました。
 早めに刈り取り時期を迎える「ヒトメボレ」の田んぼにはコンバインが入って、元気に仕事をしています。

 我が家の田んぼも今日、刈り始まりました。今週末にはピカピカの新米を味見できそうなので楽しみです。


 実りの秋ですが、農家にとっては厳しいニュースもあって心配な今日この頃。
 「米価格の下落」。
 昨年比でも一俵あたり2,000〜3,000円位下がっているようです。
 元々消費低迷が続いていた所に、コロナの影響による外食産業の不振などで、昨年度の余剰米が多く価格の低下を招いているというのです。

 様々な産業が苦境に立たされている今日、農業も例外なくその影響を……とも思いますが、米価はここのところずっと下がり続けてきており、コロナ以前から既にギリギリでした。
 そして遂に、生産コストを下回る程の低価格に、あちこちから悲鳴が聞こえます。
 農協に頼らず、独自の販売ルートを必死で開拓しても、この流れに抗う術は乏しく、先が見通せません。

 農家に後継者がいないのは、それだけじゃ食べていくのが難しいから。私だって「会社を辞めて継いでくれ」と言われたら、簡単に「はい」とは言えないです。

 農業も、企業化、工場化が進んでいくしかないのか? その時、農村の暮らしは、今ある風景を残すことができるのか?
 豊かに実る稲を前に、お米の未来、農家の未来について考えると、ちょっぴりため息が出てしまうのでした。
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登場人物紹介

あづき


歴史とロマンスと甘味を好む小さな生き物です。

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