1-7 恋愛未経験者の迷走

文字数 6,941文字

魚谷、ここなんだけどさ。
(ぽけぇ〜)
魚谷? 

おーい、魚た……って、馬鹿、コーヒー!

へ? 

……うわっ!

 仕事仲間の渡辺くんの慌てた声に、僕ははっと我に返った。

 同時に、両手に持っていたマグカップが大きく傾いてることに気づいて、慌てて上向きにする。

 いけない、あと数秒遅れていたら、新調したネクタイと大事なパソコンをコーヒー色に染めるところだった。

 僕がは〜と胸を撫で下ろすと、今日も賑やかなサミダレエンターテイメント編集部のオフィスを背にした渡辺くんが、「おいおい」と呆れた様子で肩を竦ませた。


どうしたんだよ、魚谷。今日のお前、いつも以上におかしいぞ。
えっ、そ、そうかな……。

って、その言い方だと、いつもおかしいみたいじゃないか。

いや、いつもおかしいぞ、お前。

変なネクタイ締めてくるし、テンパってくると、独り言すげー多くなるし。

え、ぼ、僕ってそうなの?!
まあ、それはいつものことだから、別にいいけど。

でも、今日は静かすぎんだよな、お前。何かとちょこまか動いてるお前がそういう感じだと、隣の俺まで何だか落ち着かなくなるんだよ。

ご、ごめん。
別に謝ることないけどさ、もうちょいシャキっとしてくれよな。
僕も、分かってるんだ。今日の自分がおかしいことは。

 冷め切ったコーヒー。

 その真っ黒な水面に映る自分の顔を見つめながら、僕は眉を寄せた。


思えば、朝からおかしいんだ。

時間通りに起きたのに頭が全然働かなくて、ベッドから出るまで30分も掛かっちゃったし、目玉焼き固焼きにしちゃうし、まぐろのご飯、僕が食べそうになっちゃうし……。

ああああっ、まぐろ、めっちゃくちゃ怒っちゃって、僕が家を出る時間になっても出て来てくれなかったんだよ! 

明日から起こしてくれなかったらどうしようっ!!

いや、ネコに頼んないで自力で起きろよ。
とにかく! 渡辺くん、僕はおかしいんだ! ポンコツなんだ! 

何をやろうとしても、気がつくと何もしないまま数時間が経っちゃう! 

こんな調子じゃ仕事にならないよ、どうしようっ!

俺に聞かれてもな……。

そもそも、そうなった原因とか分からないのか? 

原因……は……。

 言いよどむ僕の脳裏に浮かんだのは、昨晩ーーというか、日付変わった頃に来たから、正確には今日だけどーー送られて来た実ちゃんからのメール。


『今日、夜7時に××駅南口待ち合わせだからな。絶対来いよ!!!(`A´)』

 そう。

 今夜、実ちゃんの一生のお願いを叶えるため、彼の恋人のフリをして、元彼氏の瞳さんに会うことになっている。

 もちろん、忘れていない。というか、忘れられない。

 実ちゃんが恋人に振られて、メソメソするのはいつも通りだ。

 でも、まさかその復讐に付き合うため、実ちゃんの彼氏のフリをしなくちゃいけないのは、今までにない展開だ。


 お願いを受け入れた直後は「まあ、何だかんだで何とかなるでしょ!」なんて楽観的に考えられていた僕。

 でも、Xデーが近づけば近づくほど、

「恋愛経験のない僕が、フリとは言え恋人を演じられるのか」

「しかも男同士のカップルって、いきなり難易度ハードモードじゃない?」

「恋人のフリって……何をすればいいんだろ?」

「大体、僕、実ちゃんの傍にいると、例の『動悸』が出るんだけど……」


 と、あれこれ考えてしまうようになった。

 で、今、僕の頭の中を占めていることと言えば、

渡辺くん……恋愛って、何なんだろうね……。
は?
 目が点になる渡辺くんに、僕はふっと微笑んで胸に手を当てた。
何で人は恋に落ちるんだろう……種を残すため? 

ううん、それだけなら、複雑怪奇な物語が生み出されるはずないんだ。

恋の複雑怪奇さは、一体何のために存在しているんだろうか……。

……病院行くなら、早めにな?

 真剣に語る僕の肩をぽんぽん、と優しく叩いてくれる渡辺くん。

 穏やかな笑顔を浮かべているけど、目が笑ってないし、視線が泳いでる。

ううっ、そんな可哀想な人を見る目で僕を見ないでえ……! 

渡辺くん、恋人いるって言ってたでしょ? 

一般的な恋人との付き合い方を教えてよ〜!

え? 何、お前彼女できたの?
いや、いないよ?
じゃあ、何でそんなこと聞くんだよ。
そ、それは、さね……。

 と、そこまで言いかけて、僕は慌てて口を噤んだ。


 実ちゃん(従兄弟で男)の恋人のフリをしなくちゃいけなくなったから。


 なんて、正直に言ったらどうなるか。ただでさえ僕を可哀想な人を見る目で見つめている渡辺くんとの距離が、精神的にも物理的にも離れてしまいそうだ。


さね?
さ、さーね? なんちゃって。
オイ。
え、えっと! さ、参考までに! 参考までに聞いておきたいなって思って!
何だそれ。
ほ、ほらあ! もしかしたら今日、運命の出会いがどこかであるかもしれないでしょ! 今日の双子座の恋愛運、最高だったし!
何で出会いを求めるJKみたいなノリなんだよ……。

やっぱり、魚谷、病院行った方がいいんじゃね?

そんなこと言わずにさあ、教えてよ〜!
じゃあ、今日帰りに飲みに行こうぜ。そこで思う存分語ってやんよ。
そ、それじゃあ遅いんだよ〜! 

それに僕、今日の夜はもう先約があるし!

何だそりゃ。
何でもいいからあ! お願いだよ〜!

 渡辺くんの肩を激しく揺さぶって懇願する僕。

 必死に見えるって? だって、必死だから! 

 すると、渡辺くんがこほん、と咳払いをした。

……じゃあ、1つだけ教えてやる。
うん! 何かな。
 急に背筋を伸ばした渡辺くんに、僕も同じように姿勢を正して返事をする。
とりあえず、昼飯行って来い。

やっぱり今のお前じゃ仕事にならん。

そのお前のテンションに付き合ってると、俺も仕事が全く進まねえんだよ。

ま、誠に申し訳ございませんでした……。
 渡辺くんの優しい言葉に背中を押され、僕はしょんぼりとしながら外に出た。



 たどり着いたのは、カフェ<うのはな>。ここは、サミダレエンターテイメント編集部のあるビルに隣接している、小さな和風のカフェだ。

 仕事の打ち合わせの時はもちろん、ちょっとした休憩でも使う、僕の癒しスポット。

 抹茶色に纏められた内装や、漆塗りのテーブルのつやつや感が落ち着くんだよね。

 和風スイーツが、どれもコーヒーとよく合うのも、お気に入りだ。


はー。

(メールチェックと電話応対……は、何とかできたけど、後が驚く程何も手につかないよ……)

(渡辺くんにも悪いことしちゃったな……変なコトばっかり言って、仕事の邪魔しちゃって。戻ったら、もう1回謝らないと)
(一般的な恋人の付き合い方、か……。

一応、何人かの友達にも同じ質問したんだよね。

でも、大半の答えは)

友達A『そら、セックスだろ』

友達B『童貞卒業一択』

友達C『おっぱい揉んどけ』

(って、下ネタしかなかったんだよね……。みんな社会人になっても、男子校のノリが抜けてなくて、笑っちゃったよ)

(唯一まともな返事をしてくれたのは、男の人と付き合ってる友達だけ。

 彼は高校生の時の友達で、実ちゃんとも仲が良かった。

 常識のある人だし、何より男の人と付き合ってるから、より詳しく聞けるかもって思って、彼にだけ、事情を話したんだよね。そしたら、)


『お前一応ノンケだろ? しかも恋愛事苦手じゃん。

 実治の恋人役なんて、字面からしてトラブルの匂いがプンプンするし

 悪いことは言わないから、止めとけ。

 っていうか、アイツを甘やかすなって前から言ってるだろ

(って言われちゃった。一応って言葉が、ちょっと引っ掛かったけど)
(でも、彼の言う通りかもなあ……恋愛的な意味で付き合うっていうのもよく分かってないし、相手は男、しかも実ちゃんの恋人役なんて……できるとは思えないよ)
(でも、当日に「やっぱり無理」、なんて言えないし……うーん)

 腕を組んで、目の前のテーブルに置かれたシュガーポットを見つめる。

 兎の形をしたそれは、とぼけた表情が可愛い。


今日は早いっすね、魚谷先輩。

 ことん、と僕の目の前に置かれたのは、翡翠色のマグカップ。

 中には、ふんわりと優しい湯気を立てたコーヒーが縁までたっぷり注がれている。


あ、木谷くん。
どもっす。
コーヒーありが……って、あれ、僕、まだ注文してないんだけど。
知ってます。

でも、先輩はコーヒー、必ず頼むでしょう? で、食事前に持って来てくれって。

あ、そういえばそうかも。

ありがとう、さすがだね。

別に……先輩がよく来るから、自然と覚えただけっす。

 抹茶色エプロンを身に着けた、ちょっと照れくさそうにそっぽを向いている店員さん。


 彼の名前は木谷新二(きたに しんじ)くん

 実は彼とは高校生の時からの知り合いだ。


 僕の2つ下の彼とは、高校生の時に委員会の仕事を通して知り合ったんだよね。1年しか関わりがなかったものの、部活動に参加しなかった僕にとって、堂々と後輩と呼べる貴重な相手だ。


 僕が卒業した後は、年賀状でやり取りする程度の関係だった。

 でも、半年前にこのカフェうのはなで、ばったり再会。木谷くんは、このお店の近くにある大学に通う大学生になっていたんだ。

 それからは、こうして週に3、4回、ここで顔を合わせるようになった。


ランチセット、今日は五穀米リゾットかキノコの和風パスタから選べますけど。
んー、今日はパスタにしようかな。
了解っす。

 木谷くんが僕の前にお手拭きとフォークを並べていく。その手は僕のそれよりもがっちりしていて、男らしい。


 高校生の時から思ってたけど、木谷くんって年下に見えないなあ。

 僕よりも落ち着きもあるし、背が高いし、スポーツも得意だったし、何よりイケメン。実ちゃんが可愛さも入ったイケメンなら、木谷くんは正統派イケメンって感じかな。上手く言えないけど、女の子が好きそうな男性、というか。


 と、まじまじと観察してたら、木谷くんが眉間に皺を寄せて動きを止めてしまった。


……あの、何すか。
あ、ごめん。木谷くんの体って男らしくていいなって思って。
えっ。
ほら、僕ってナヨナヨしてるじゃない? 背も全然伸びなかったし、筋肉もつきにくいし、男らしい体とはあまりにも無縁っていうか。

だから木谷くんが羨ましいなって。

……別に、フツーの体っすよ、俺。

 木谷くんがぷい、とそっぽを向く。


 ん? 待てよ。

 木谷くんほどのイケメンなら、彼女の一人や二人、できていてもおかしくない、はず。

 高校生の時は男子校だったせいもあるけど、彼女がいるとか、そう言う話は全然聞かなかった。でも、今は共学の大学に通ってるって話だし、流石に彼女がいそうだよね。


 彼なら、まともな『恋人同士の付き合い方』を教えてくれるかも!

 彼は実ちゃんたちみたいに下ネタを言わないし、言うのも嫌いって言ってたし!


だ、だから、何ですか。俺、いない方がいいすか?

 木谷くんが居心地悪そうに身じろぎして、1歩下がる。


ま、待って! 木谷くんに助けて欲しいんだ!
は? た、助けるって、何すか。
恋人同士の付き合い方、僕に教えて下さいっ!!

  僕がそう告げた途端、がっちゃーんと嫌な金属音が鳴り響いた。

 木谷くんが持っていたトレイを、床に落としてしまったせいだ。

き、木谷くん?! 大丈夫?!
……すみません。

 ぎこちなくそう言うと、木谷くんがのろのろと床に散乱した箸やフォークを拾い始める。僕も慌てて自分の足下に転がったスプーンやフォークを拾った。

 拾い集めたフォークたちを木谷くんに差し出したら、彼は何故か1歩後ろに引いてから、おずおずとそれを受け取った。


え、ええと……僕、何か変なこと言ったかな? ごめん、全然自覚ないんだけど……。
ちょっと、驚いただけっすから。
(僕が恋愛の話を口にするのって、あそこまで驚かれるようなことなんだ……)
あの……先輩、恋人いるんすか?
えっ。
『恋人同士の付き合い方』を教えてくれって言ったじゃないすか。

だから……。

あ、ううん、そうじゃないんだ。

ただ成り行きで……。

成り行き?
うーんと……どうしても、今日中に知りたい事情があってね。

僕自身も未体験のことだから、後学のためにも聞いておきたいな〜なんて。

 不思議そうに首を傾げる木谷くんに、僕はそう誤摩化した。

 木谷くんはいい子だけど、男同士のカップルのフリをしなくっちゃならなくなった、なんて話をするのはちょっとね。さっきのリアクション以上に驚かれちゃうかも。


……すみません、俺も未経験なんで、力になれそうにないっす。
え、木谷くん、彼女いないの?
いませんよ。

っていうか何で、いるのが当たり前、みたいなリアクションなんですか。

え、だって、木谷くんってかっこいいじゃん。
は?
高校の時は、環境が環境だったから仕方ないけど。大学は共学だって言ってたし、それなら女の子も普通にいるんでしょ? それなら、絶対モテてるだろうなって思ったんだけど。
先輩、俺のこと過大評価しすぎです。モテませんよ、全く。
え〜? どうして?
どうしてって……俺、顔も普通だし、そんなに喋るの得意じゃねーし。

モテる奴って、顔が良くて会話してて楽しいタイプじゃないですか?

楽しいと思うんだけどな、木谷くんとの会話って。
え。
気遣いもできるし、ちゃんと耳を傾けてくれてるんだなって伝わってくるし。

声色も、聞いていて心地いいって感じするよ。

あと、木谷くんは普通の顔じゃなくて、イケメンだって思う。

もっと自信、持っていいんじゃないかな?

 思ったことをそのまま言ったら、木谷くんが俯いてしまった。


木谷くん? もしかして僕、また何か変なこと言って……。
いえ、先輩が変なのは、割といつものことっす。
ええっ?!

 まさか後輩にまで言われるなんて思っていなかったから、地味にショックだ。


けど、それが先輩の良さだと思うんで。

俺、付き合うとかそういうの、よく分かんねえですけど、別に変に気取らなくてもいいんじゃないんですか? 

恋人になっても、そのまんまの先輩でいてくれたら嬉しい……と思います。

……つ、付き合う相手がそう思うんじゃないか、って話ですけど。

そう、なのかな。
難しく、考えることないと思います。

自分がして欲しいこと、相手にしたいことをすればいいと思うっす。

 ゆっくりと顔を上げた木谷くんが、はにかんだ。
じゃあ、木谷くんは?
え。
木谷くんだったら、どういうことして欲しい? したい?

 そう尋ねたら、木谷くんはぎょっと目を見開いて固まった。

 と思ったら、眉を思い切り寄せて、言いにくそうに口を開いた。


……っ……手、繋ぐ、とか?
手を、繋ぐ?
あとは……デートとか、ハグする、とか……?
デート……ハグ……。

 絞り出すように呟く木谷くん。

 その言葉を噛み締めながら、僕は想像してみた。


 実ちゃんと手を繋ぐ。

 子供の頃、よく手を引っ張られてたから、実ちゃんの手の温もりは知ってる。温かくて、力強い手だ。


 実ちゃんとデート。

 この間の遊びも「デート」だと茶化すように言っていたっけ。

 でも、恋人関係ともなれば、行く場所は変わって来るのかも。

 人がたくさんいるところじゃなくて、2人きりで話せるところ……とか?


 実ちゃんとハグ。

 ハグも、子供の頃からよくされてたっけ。後ろからがばって抱きつかれて、頬を擦り寄せてくるのが実ちゃんのハグだ。

 でも、それも恋人になったら、違うのかな。

 そっと、優しく抱き寄せられる、とか?


あと……キ……キス、とか。
きっ……?!

 実ちゃんとキス。

 ……なんて、したこと、ない。する訳が、ない!


 そこまでが、僕の想像の限界だった。

 テーブルに顔面を押し付け、頭に浮かんだいかがわしい映像を振り払う。


 ばかばかばか! 僕がするのは『フリ』でしょ! 

 そんなことはしないよ! 多分!

せ、先輩、大丈夫っすか?
だ、大丈夫、かなあ?
……大丈夫には見えませんけど……。
あはは、だよね……。

って、木谷くんも大丈夫? 顔、赤いけど。

 僕が指摘すると、木谷くんが慌てたようにぶんぶんと首を振った。


っこ、こういう話題に、慣れてないだけっす。
そっか……ごめんね。無理に聞いちゃって。
いえ……参考にならなくてすみません。
ううん、話せて良かったよ。

友達に聞いても下ネタしか返って来なかったから、それよりは全然有益だと思う。

それに、木谷くんの考え方って、僕に合ってる気がするから。

そ……ですか。
うん。ちょっと、元気出たよ。

これなら午後は頑張れそう。ありがとう、木谷くん。

……ランチセット、持ってきますね。

 消え入りそうな声でそう告げると、木谷くんはそそくさと走り去って行ってしまった。

 本当に恋愛の話題が苦手なんだな、木谷くんって。

 僕もそんなに得意じゃないから、親近感が増すなあ。同時に、困らせちゃったなあっていう罪悪感もあるけど。

(木谷くんの言う通りだ、難しく考えても仕方ない。本当の恋愛をしているんじゃなくて、フリなんだ。最悪、恋人っぽく振る舞えなくても、「僕は実ちゃんとお付き合いしてます」って瞳さんに言えばいい)
(……まあ、恥ずかしさは消えないだろうけど)

 じわり、と頬が熱くなるのを感じた僕は、木谷くんが持って来てくれたコーヒーに口をつけた。うのはなのブレンドコーヒーは、今日もまろやかな酸味で僕を癒してくれる。


 今夜も、マイルドな酸味で終わってくれますように。

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登場人物紹介

魚谷小晴(うおたに こはる)

駆け出しの雑誌編集者。23歳。

何事にも一生懸命で人当たりもいいが、時折恐ろしい程の鈍感っぷりを発揮することがある。(主に恋愛関係において)

恋愛経験ゼロ。ファッションセンスもゼロ。

多分、ノンケ。

従兄弟の実治にいつも振り回されていて、彼の「お願い」を拒めない。



水野実治(みずの さねはる)

小晴の従兄弟。小晴からは「実ちゃん」と呼ばれている。23歳。

「ハル」という芸名で、ファッションモデルとして活動中。

ゲイであり、現在、モデルの恋人がいるらしいのだが……?

負けず嫌いで、ややワガママなところがある。

日和 智(ひより さとし)

小晴の上司。47歳。

小晴の母親(作家)の元担当であり、小晴が編集者に憧れるきっかけを作った人物でもある。

物腰が柔らかく、口調も穏やか。が、仕事に対しては厳しく、笑いながら容赦ない言葉を吐くこともある。

木谷新二(きたに しんじ)

小晴の職場に隣接しているカフェ「うのはな」でアルバイトをしている大学生。21歳。

小晴の高校生の時の後輩。

誠実で生真面目だが、動揺すると顔や行動に出てしまう。恋愛経験が乏しく、それ絡みの話にはウブな反応をする。

如月瞳(きさらぎ ひとみ)

実治の恋人。実治と同じ事務所に在籍するモデル。24歳。

ゲイ。タチ専門。

実治とは同じ時期にモデルデビューした経緯があり、ライバル兼友人としての付き合いが長い。最近はドラマや映画など、俳優としても活躍中。

実治曰く、性格は「すげー最悪」。

美樹碧人(みき あおと)

実治、瞳と同じ事務所に在籍する新人モデル。20歳。

仕事の時は笑顔を絶やさないが、普段は感情の起伏が乏しい。

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