第86話
文字数 941文字
闇の軍勢。モートにはそう見えた。
骨格だけでできた馬に乗った漆黒の鎧を着た黒い霧を纏った骨の軍勢だった。
モートはその中で、一際大きな骨だけの馬に乗る巨大な漆黒の霧に包まれた骸 が、この軍勢のリーダーのように思えた。これが最後の戦いだと自分に言い聞かせて。モートは銀の大鎌で数千を超える骸骨を狩っていくことにした。銀の大鎌を持ち直し闇の軍勢のど真ん中に飛び込んだ。
一体のあばら骨に狩り込むと、乾いた音と共にバラバラに地へと骨がぶちまかれた。脆いのだ。モートはこの勢いで狩り始めた。ボロボロになった剣や盾を持つ骸骨からは強さはまったく感じられない。辺りは骨の割れる音と、折れる音、金属の音が響き渡るが、おおよそ数十分で、闇の軍勢は跡形もなく消滅していた。
けれども、リーダーは幾ばくか違った。
大剣と銀の大鎌がぶつかり合い。激しい火花が飛び散る。モートはこの骸は強いと知った。
「君は? 私と同じく罪人だね? そんなところで何をしているのだ?」
「……終わりだ」
すぐさまモートは骸の首に狩り込む。
そして、銀の大鎌に力を入れ首を吹っ飛ばした。
額に浮き出た汗を拭うと、ウエストタウン・セメタリ―・パークの地獄の門を閉じた。
「次は、シルバー・ハイネスト・ポールで最後だね」
モートはこの街の中央へと走った。
シルバー・ハイネスト・ポールは火だるまの人間によって、地獄の業火に巻かれた。街の人たちが焼けただれ、倒れたものは燃え盛る。阿鼻叫喚の炎熱地獄だった。
モートは急いで地獄の門を閉じた。
「終わった……のか? これでいいのかは、わからない。後は……オーゼムに任せよう」
シンシンと空から雪が降って来た。
真っ赤な太陽は厚い雲によって覆われた。
ここホワイト・シティを包み込むかのような真っ白な雪は、優しく空から舞い降ちる。いつもの落ち着いた寒さを街は完全に取り戻した。倒れたゴシック様式の建築物も、火炎によって破壊された街並み。熱によって割れた道路。火だるまの人間。燃え盛る路面バス。それらが全て真っ白くなった。
「元に戻った……?! やったぞ!! オーゼムの研究は……」
モートは驚いて叫ぶが。
周囲に街の人々が集まり、その大歓声によって、モートの言葉は瞬く間に掻き消されていった。
骨格だけでできた馬に乗った漆黒の鎧を着た黒い霧を纏った骨の軍勢だった。
モートはその中で、一際大きな骨だけの馬に乗る巨大な漆黒の霧に包まれた
一体のあばら骨に狩り込むと、乾いた音と共にバラバラに地へと骨がぶちまかれた。脆いのだ。モートはこの勢いで狩り始めた。ボロボロになった剣や盾を持つ骸骨からは強さはまったく感じられない。辺りは骨の割れる音と、折れる音、金属の音が響き渡るが、おおよそ数十分で、闇の軍勢は跡形もなく消滅していた。
けれども、リーダーは幾ばくか違った。
大剣と銀の大鎌がぶつかり合い。激しい火花が飛び散る。モートはこの骸は強いと知った。
「君は? 私と同じく罪人だね? そんなところで何をしているのだ?」
「……終わりだ」
すぐさまモートは骸の首に狩り込む。
そして、銀の大鎌に力を入れ首を吹っ飛ばした。
額に浮き出た汗を拭うと、ウエストタウン・セメタリ―・パークの地獄の門を閉じた。
「次は、シルバー・ハイネスト・ポールで最後だね」
モートはこの街の中央へと走った。
シルバー・ハイネスト・ポールは火だるまの人間によって、地獄の業火に巻かれた。街の人たちが焼けただれ、倒れたものは燃え盛る。阿鼻叫喚の炎熱地獄だった。
モートは急いで地獄の門を閉じた。
「終わった……のか? これでいいのかは、わからない。後は……オーゼムに任せよう」
シンシンと空から雪が降って来た。
真っ赤な太陽は厚い雲によって覆われた。
ここホワイト・シティを包み込むかのような真っ白な雪は、優しく空から舞い降ちる。いつもの落ち着いた寒さを街は完全に取り戻した。倒れたゴシック様式の建築物も、火炎によって破壊された街並み。熱によって割れた道路。火だるまの人間。燃え盛る路面バス。それらが全て真っ白くなった。
「元に戻った……?! やったぞ!! オーゼムの研究は……」
モートは驚いて叫ぶが。
周囲に街の人々が集まり、その大歓声によって、モートの言葉は瞬く間に掻き消されていった。