第79話
文字数 805文字
ヘレンは驚いて、真っ黒い影を見つめた。
暗闇から月明かりで見えるその影は、モートだった。
「モート君! 君は……本当にありがとう……」
オーゼムは胸の前で十字をきると、揚々しい態度だったがモートにお辞儀をした。
「モート? 助けてくれたのは嬉しいけど、アリスさんは無事?」
ヘレンは未だ震えは治まっていないが、アリスのことも心配だった。だが、内心はモートに感謝の気持ちでいっぱいだった。
「ああ……アリスの屋敷内の蝙蝠男は全て狩ったんだ。もうアリスたちは安全だ……」
少し照れたモートが銀の大鎌を食堂の水場で洗いに行った。
ヘレンはオーゼムがしかめっ面をしているので、オーゼムに問い掛けると、
「しまった……賭けを忘れていましたね……ヘレンさんと賭けていれば良かったのです……」
オーゼムはがっかりとしていた。
ヘレンはこんな時にも金銭欲のあるオーゼムに微笑んだ。
「どうやら、この不可解な人間はジョンの屋敷の番犬や警備員のようなものですね」
オーゼムがヤギの顔の人間を光の奥へと仕舞うと、モートに言った。
「まだ他にもいるのかい?」
モートは銀の大鎌を握り直し抑揚のない声を発した。
ヘレンはぶるっと震え、嵌め込み窓の外を眺めた。
野薔薇が至る所に散らばるかのような庭だ。
それが、凍てついた風を受けて揺れていた。
「いや、魂は……」
「今のところ見えないな。ヘレン。念のために僕の傍にいてくれ」
オーゼムとモートは見える魂がないかと周辺を見回していた。
「オーゼムさん。ジョンの最大の秘密とは。一体なんなのですか?」
「それは……この屋敷のどこかにある地下にあると思いうのです……。多分ですが。きっと、そのあるものでジョンの全てがわかりますよ」
オーゼムはここ食堂から外の廊下へと歩きだした。
「ジョンの全て……」
ヘレンはやっと、自分の今まで追ってきた最大の謎が、この時解き明かされようとしていることに戦慄を覚えた。
暗闇から月明かりで見えるその影は、モートだった。
「モート君! 君は……本当にありがとう……」
オーゼムは胸の前で十字をきると、揚々しい態度だったがモートにお辞儀をした。
「モート? 助けてくれたのは嬉しいけど、アリスさんは無事?」
ヘレンは未だ震えは治まっていないが、アリスのことも心配だった。だが、内心はモートに感謝の気持ちでいっぱいだった。
「ああ……アリスの屋敷内の蝙蝠男は全て狩ったんだ。もうアリスたちは安全だ……」
少し照れたモートが銀の大鎌を食堂の水場で洗いに行った。
ヘレンはオーゼムがしかめっ面をしているので、オーゼムに問い掛けると、
「しまった……賭けを忘れていましたね……ヘレンさんと賭けていれば良かったのです……」
オーゼムはがっかりとしていた。
ヘレンはこんな時にも金銭欲のあるオーゼムに微笑んだ。
「どうやら、この不可解な人間はジョンの屋敷の番犬や警備員のようなものですね」
オーゼムがヤギの顔の人間を光の奥へと仕舞うと、モートに言った。
「まだ他にもいるのかい?」
モートは銀の大鎌を握り直し抑揚のない声を発した。
ヘレンはぶるっと震え、嵌め込み窓の外を眺めた。
野薔薇が至る所に散らばるかのような庭だ。
それが、凍てついた風を受けて揺れていた。
「いや、魂は……」
「今のところ見えないな。ヘレン。念のために僕の傍にいてくれ」
オーゼムとモートは見える魂がないかと周辺を見回していた。
「オーゼムさん。ジョンの最大の秘密とは。一体なんなのですか?」
「それは……この屋敷のどこかにある地下にあると思いうのです……。多分ですが。きっと、そのあるものでジョンの全てがわかりますよ」
オーゼムはここ食堂から外の廊下へと歩きだした。
「ジョンの全て……」
ヘレンはやっと、自分の今まで追ってきた最大の謎が、この時解き明かされようとしていることに戦慄を覚えた。