第42話
文字数 700文字
ヒルズタウンのちょうど中央にあるグランド・クレセント・ホテルが見えて来た。すぐに人混みを通り抜けながら正面玄関へと侵入すると、エントランスから隣のエレベーターに乗った。
確かヘレンは五階の部屋をとっているので、五階のボタンを押そうとしたが……。突然、一階が騒がしくなった。無数の羽音と人々の悲鳴が木霊する。
それでも、モートは五階のボタンを押した。
五階へとエレベーターが着くと、至る所に豪奢な絵画のある廊下の真ん中でヘレンとたくさんの宿泊客が倒れていた。モートはヘレンの傍へ駆け出した。
ヘレンは全く息をしていなかった。変わりに顔中が赤く腫れあがり、浮き出た血管がドクドクと大きく脈打っている。
ヘレンは生きている。その証拠にヘレンの魂はこれ以上ないほど赤い色だったからだ。モートは呼吸困難を何らかの毒か病気と考えた。
オーゼムを連れてこなかったのが、とても残念だが。モートは次の行動をした。
廊下の真上にあるシャンデリアを中心に、無数の蝿が舞っている。モートは原因はこの蝿だと考えた。瞬間、全ての蝿までとはいかないが、数十匹の蝿を銀の大鎌で真っ二つに裂いていった。天井からはパラパラと蝿の断片が落ちてくる。
「オーゼム……」
ヘレンの容態は急速に悪化していく。
魂の色全体が弱まっていた。
だが、モートにはどうすることもできなかった。
その時、503号室の電話のベルが鳴る音が聞こえた。
モートはすぐさま503号室に駆けだして、ベッドサイドにある受話器を取った。
モートは電話の主が誰なのかもわからない。この部屋がヘレンの部屋なのかもわからなかった。ただ、一連の助かる可能性が他になかったからだ。
確かヘレンは五階の部屋をとっているので、五階のボタンを押そうとしたが……。突然、一階が騒がしくなった。無数の羽音と人々の悲鳴が木霊する。
それでも、モートは五階のボタンを押した。
五階へとエレベーターが着くと、至る所に豪奢な絵画のある廊下の真ん中でヘレンとたくさんの宿泊客が倒れていた。モートはヘレンの傍へ駆け出した。
ヘレンは全く息をしていなかった。変わりに顔中が赤く腫れあがり、浮き出た血管がドクドクと大きく脈打っている。
ヘレンは生きている。その証拠にヘレンの魂はこれ以上ないほど赤い色だったからだ。モートは呼吸困難を何らかの毒か病気と考えた。
オーゼムを連れてこなかったのが、とても残念だが。モートは次の行動をした。
廊下の真上にあるシャンデリアを中心に、無数の蝿が舞っている。モートは原因はこの蝿だと考えた。瞬間、全ての蝿までとはいかないが、数十匹の蝿を銀の大鎌で真っ二つに裂いていった。天井からはパラパラと蝿の断片が落ちてくる。
「オーゼム……」
ヘレンの容態は急速に悪化していく。
魂の色全体が弱まっていた。
だが、モートにはどうすることもできなかった。
その時、503号室の電話のベルが鳴る音が聞こえた。
モートはすぐさま503号室に駆けだして、ベッドサイドにある受話器を取った。
モートは電話の主が誰なのかもわからない。この部屋がヘレンの部屋なのかもわからなかった。ただ、一連の助かる可能性が他になかったからだ。