第82話

文字数 1,481文字

 The end of the world  2

 モートが屋敷の外へ出ると、大地震は収まったが、そこはヒルズタウンの外観が一変していた。街の建物は全て巨大な真っ赤な太陽によって燃え盛り、火傷を負った人々は方々へと避難するため大パニックであった。
「この世の地獄だー!!」
「今朝の天気予報はー! 今日から突然、真夏になってしまったのー?! ねえ、知っている人はいない?!」
「何が起たー!!」
「ひっ、酷く熱いー!!」
 走り回る人々の悲鳴は酷くなる一方だった。
 次に、稲妻が所々に落ちた。 
 その次は、モートの歩いているアリスの屋敷の橋の下の川が大量の血が流れたかのように真っ赤に濁ってきた。
「モート君! まだまだこれからですよ! 世界中の各所に地獄の門が開きます! この街だけでも早くに門を閉じるのです! 門は五つあって、ウエストタウンの墓地公園、イーストタウンの商店街、クリフタウンの聖パッセンジャービジョン大学付属古代図書館、ここヒルズタウンにあるグランド・クレセント・ホテルにあります! 最後はシルバー・ハイネスト・ポールです。なので、一番近いヒルズタウンの門から閉じるのです!」
 玄関先からオーゼムの声が風に乗って届いた。
「わかった……」
 モートは橋の上から返事をすると、バスの停留所へと行き。地図でホテルの場所を確認すると、地獄の門を閉じにアリスの屋敷から少し東へと走り出した。
  地から大きな門が焼かれた道路を突き破って現れた。地獄の門が開く。中から火だるまの人間が大量に飛び出し、それらを鞭で打ちまくる堅牢な髑髏でできた鎧を着た禍々しい姿の巨人が数体現れた。
 地獄の門があるヒルズタウンのグランド・クレセント・ホテルには、溢れかえる火だるまの人間が走り回りホテルを焼いていた。
 モートは建物に密集していく燃え盛る火だるまの人間を次々と狩りだした。街の自警団や警官隊も発砲して応戦している。
「そのまま撃っていてくれ!」
 一人の警官にモートは言った。
「え! ちょっと君、待ちなさい! そっちはあぶないぞー!」
 警官隊が叫ぶ中。
 そのままモートは、人々、弾丸、を通り抜けて、ホテル内で逃げ惑う火だるまの人間の集団のど真ん中に飛び込んだ。
 モートは火炎の熱が迫り来る中。正確に首を次々と狩っていった。警官隊が驚き、自警団が歓声を上げる。
 モートは真っ正面に降る雨のような弾丸の嵐の中。ホテルの吹き抜けを超える巨人と対峙した。
パニックに陥った逃げ惑う宿泊客の人々もモートを通り過ぎていく。そのこれ以上ない騒ぎに自警団や警官隊も撃つのを止めた。その時、三体の巨人の持つ鞭とは逆の手にある斧がモートに向かって、振り下ろされる。
 モートはそれらを素早く躱すと、銀の大鎌を一体の巨人に向かって斜め上に投げつけた。一体の巨人の首がふっ飛んだ。モートは吹き抜けを上に飛翔し、銀の大鎌をキャッチすると、向きを変えてもう一体の巨人の首も狩り取る。巨人の胴体から滝のような血液が降る。
 下方の走り回る人々は、火だるまの人間の火炎によって、焼かれるものもでてきた。数人の自警団が火だるまの人間だけをなんとか猟銃で狙い撃ちをしていた。
 いつの間にか、ホテルの外からもトンプソンマシンガンで火だるまの人間が撃たれていた。
 撃っているのは、黒い魂の人々だった。
 モートは意外だと思ったが、何故か嬉しくなった。
「罪人が罪人を狩る……か……」
 シュッと右手を横に振り、巨人の首を飛ばしたモートはひとりごちた。
 モートは火だるまの人間と巨人を全て狩り終えると、ホテルの裏側にある地獄の門を閉めた。
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登場人物紹介

モート・A・クリストファー

アリス・ムーア

シンクレア・クリアフィールド

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