第64話
文字数 1,393文字
…………
モートはノブレス・オブリージュ美術館へと帰ってくると正門はから中へ入ると、昼間なのに美術館はガランとしていた。受付の女性や使用人たちがモートの血塗れの姿を見て、気を失ったが、モートは気にせずに美術館の奥のヘレンの部屋へと向かい。シャワー室を借りた。いつものカジュアルな服に着替えると、モートが産まれた絵画のある広大なサロンへ入ると、アリスとヘレン。そしてオーゼムが集まっていた。
「やあ、みんな無事で良かったね」
モートは疲れを感じないので、いつもの質素な椅子に座った。
30個の東洋の壺に13枚の美しい絵画を、アリスもオーゼムもしばらくは、その豪奢な美術品の数々を見て、それぞれ溜息を吐いていたが。俯き加減のヘレンがモートの傍に寄って来た。
ヘレンが真っ青な顔で一枚の絵画をモートにの面前に見せて囁いた。
「モート……この絵がわかる? オーゼムさんに聞いたわ……私はあなたにとって重大な事実を知ったのよ……ああ……モート……」
「……え? ヘレン? 一体? 何なんだ?」
ヘレンは泣き崩れた。
ヘレンの持つその絵はジョン・ムーアの屋敷にあった絵だった。
少し経って、オーゼムがモートが産まれた絵画のところへ深刻な顔で、モートを手招きした。モートは絵のことがさっぱりわからなかった。
何故、自分のそっくりな絵をオーゼムとヘレンはぼくに見せたがるのだろう?
けれども、モートは空っぽの心のような容器が不思議な感じでいっぱいになった。
外は今は昼の粉雪が舞い。仄かな日光が所々雲の隙間から零れていた。
昨日の極低温が嘘のような少し寒いだけのいつもの天気だった。
「では、私から話しますね。あんまりしつこいんで、ヘレンさんには道中に少しだけ話しましたよ……皆さん、ひどくお疲れのようですが、あ、モート君は別だね……。後ほんの少し我慢してくださいね」
オーゼムはモートが産まれた絵画を見つめ、それからアリスもその絵画の前に立たせた。
「アリスさん……。最初にあなたには言わないといけませんね。この絵。今から300年前の絵ですが……。ここからモート君は産まれました。モート君は簡単に言うとプシキコイとサルキコイの中間点という肉体を持つ霊体なのです。そして、この絵は、モート君の過去と深く関わっています。過去から現在まで、モート君はさる理由から300年間もこの絵に閉じ込められていたのです」
モートから見て、アリスはひどく驚いているのが見て取れた。しかし、モートは何も感じなかった。ただただ、不思議だった。
「また最初に言っておきます……モート君は罪人だったのです……実はあの世では命はとても高価なもので、普通。そう簡単にはこの世には産まれえないのです……高いですからね……つまりは、あり得ないのです。でも、例外があって、モート君は……」
ヘレンが突然顔を突っ伏した。
「……モート……何故……何故なのモート……」
ヘレンは蹲りながら、とうとう大泣きをした。
「他にもモート君の絵があるんです。モート君。何か思い出してくれましたか?」
そう言って、オーゼムはサロンの壁に次々とモートが描かれた絵を飾り出す。
モートはその絵を順に見ていくと、アリスを傍に呼んだ。
「アリス。ほら、これがぼくだよ……」
アリスは目を大きく開いた。
オーゼムの言う通りだ……。
そう、これがぼく……。
昔のぼくだ……。
モートはノブレス・オブリージュ美術館へと帰ってくると正門はから中へ入ると、昼間なのに美術館はガランとしていた。受付の女性や使用人たちがモートの血塗れの姿を見て、気を失ったが、モートは気にせずに美術館の奥のヘレンの部屋へと向かい。シャワー室を借りた。いつものカジュアルな服に着替えると、モートが産まれた絵画のある広大なサロンへ入ると、アリスとヘレン。そしてオーゼムが集まっていた。
「やあ、みんな無事で良かったね」
モートは疲れを感じないので、いつもの質素な椅子に座った。
30個の東洋の壺に13枚の美しい絵画を、アリスもオーゼムもしばらくは、その豪奢な美術品の数々を見て、それぞれ溜息を吐いていたが。俯き加減のヘレンがモートの傍に寄って来た。
ヘレンが真っ青な顔で一枚の絵画をモートにの面前に見せて囁いた。
「モート……この絵がわかる? オーゼムさんに聞いたわ……私はあなたにとって重大な事実を知ったのよ……ああ……モート……」
「……え? ヘレン? 一体? 何なんだ?」
ヘレンは泣き崩れた。
ヘレンの持つその絵はジョン・ムーアの屋敷にあった絵だった。
少し経って、オーゼムがモートが産まれた絵画のところへ深刻な顔で、モートを手招きした。モートは絵のことがさっぱりわからなかった。
何故、自分のそっくりな絵をオーゼムとヘレンはぼくに見せたがるのだろう?
けれども、モートは空っぽの心のような容器が不思議な感じでいっぱいになった。
外は今は昼の粉雪が舞い。仄かな日光が所々雲の隙間から零れていた。
昨日の極低温が嘘のような少し寒いだけのいつもの天気だった。
「では、私から話しますね。あんまりしつこいんで、ヘレンさんには道中に少しだけ話しましたよ……皆さん、ひどくお疲れのようですが、あ、モート君は別だね……。後ほんの少し我慢してくださいね」
オーゼムはモートが産まれた絵画を見つめ、それからアリスもその絵画の前に立たせた。
「アリスさん……。最初にあなたには言わないといけませんね。この絵。今から300年前の絵ですが……。ここからモート君は産まれました。モート君は簡単に言うとプシキコイとサルキコイの中間点という肉体を持つ霊体なのです。そして、この絵は、モート君の過去と深く関わっています。過去から現在まで、モート君はさる理由から300年間もこの絵に閉じ込められていたのです」
モートから見て、アリスはひどく驚いているのが見て取れた。しかし、モートは何も感じなかった。ただただ、不思議だった。
「また最初に言っておきます……モート君は罪人だったのです……実はあの世では命はとても高価なもので、普通。そう簡単にはこの世には産まれえないのです……高いですからね……つまりは、あり得ないのです。でも、例外があって、モート君は……」
ヘレンが突然顔を突っ伏した。
「……モート……何故……何故なのモート……」
ヘレンは蹲りながら、とうとう大泣きをした。
「他にもモート君の絵があるんです。モート君。何か思い出してくれましたか?」
そう言って、オーゼムはサロンの壁に次々とモートが描かれた絵を飾り出す。
モートはその絵を順に見ていくと、アリスを傍に呼んだ。
「アリス。ほら、これがぼくだよ……」
アリスは目を大きく開いた。
オーゼムの言う通りだ……。
そう、これがぼく……。
昔のぼくだ……。