第13話

文字数 768文字

 大量の唐辛子からくる熱気を感じ、これから遅めの朝食なのか、寒さをしのいでいた街の人々がぞろぞろと入店していた。
 モートはアリスを待ち続け。白い息を吐きながら何気なく青色の魂を持つ人々を見ていた。
「お待たせしましたね。かなり待ちましたかしら? ごめんなさいね。路面バスが途中でエンストを起こしちゃって」
 セントラル駅の片隅にいたモートに白のロングコートを着たアリスが声をかけた。アリスの息も真っ白だった。
「いや。今、来たところだ。大丈夫だ」
 モート自身。もう考えるのは止めようと思った。きっと、いくら考えようと答えはでないように思えた。
「辛いの好きなんですね。モート君は」
「?」
 アリスが悪戯っ子のように微笑んだ。
 モートが周りを見てみると、赤いスープを売っているお店だけではなく。この駅の入り口付近には、全て辛い食べ物屋がズラリと並んでいた。ここホワイト・シティでは辛い食べ物屋が人々に好まれて多かった。
 モートはアリスの冗談をまったく気にせずに、アリスとセントラル駅の構内へと入った。クリフタウンへの切符を買い改札口を抜ける。雑踏を聞きながら階段を上がり、白線の内で待つと、ローカル線が数分で到着した。
 ローカル線はだいぶ混雑していて、モートはアリスを静かに周りから庇っていた。それから30分して下車し、クリフタウンの改札口から雑多な人々を縫うように歩き。モートとアリスが向かったのは、クリフタウンの有名洋服店「グレード・キャリオン」であった。
 店内は種々雑多な高級洋服店らしく随分と値の張るブランドの洋服が所狭しと壁に立て掛けられてあった。お客はどこもラッシュアワー時並にいる。モートは取り分けて気に入ったものなどないので、店先のガラス窓に映る赤い魂に気が付いた。アリスは上機嫌で二階へ行こうとモートを誘うが。

 モートは警戒した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

モート・A・クリストファー

アリス・ムーア

シンクレア・クリアフィールド

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み