第29話
文字数 966文字
女学生のミリーは痩せすぎで、血色が悪く。そばかすばかりの顔だったが、シンクレアに似て美人だった。髪の色は茶髪だが、金髪に近い。ミリーは涙を拭って、話し出した。
「オーゼムさんの言うことをわかりやすく言うと、あのね……。モート……私は実は街の窃盗団のリーダー的な存在だったの……」
…………
淹れたてのコーヒー豆をミルで挽いていたオーゼムは、自家製シチューでモートたちに細やかながらおもてなしをしてくれた。
窓の外は未だに大雪で、ヒューヒューと鳴る風がまるで人の悲鳴のような音に聞こえた。
「ロイヤル・スター・ブレックファースト?」
「そう。この街では有名だったけど、対抗組織の方が大きくなって、存在が小さくなったの……。あまり知られていないけど。今でも大きな活動をしているの。昨日の夜は、お菓子屋の「リッチ・スイーツ」が莫大な売上金を残していてね。従業員は戸締りをした後に早々に帰宅して行ったって、仲間から聞いて……危険だけど夜の街でロイヤル・スターに収集をかけようとしたの……その時はまだダイヤモンドダストなんてなくて……凍死寸前の時にオーゼムさんが歩いてきて……」
ミリーはたどたどしく言った。
ホワイト・シティでは夜は命に絶大に危険だった。そして、窃盗団では大きな方だったロイヤル・スター・ブレックファーストのことをモートは思い出した。
確かロイヤル・スター・ブレックファーストは子供たちだけの窃盗団で、強盗や殺人など重い罪はしないが、大掛かりな犯罪組織だった。ここホワイト・シティの子供たちの半数は少しは関わっているとも言われていた。
モートは子供を狩らないので、今まで目を瞑っているが、その組織的犯罪は売春からドラッグにまで至る。七つの大罪に関与しているかも知れなかった。
「ミリー。その組織からすぐに離れてくれ」
モートは優しく言った。
だが、急激にキッチンの温度が下がり、ミリーは白い息を吐いて震え上がった。
「え? ええ……。なんなの……モート? こんなに恐ろしい空気みたいなものは初めてよ? 一体……あなたは……誰?」
ミリーは突然、しゃがみこんで立ってられないほど体全体で震えだした。
「モート君。それくらいで……」
「ああ……」
モートはミリーの肩に手を置いて、強い眼差しを向けた。
「君は……狩らないから、安心して……」
「オーゼムさんの言うことをわかりやすく言うと、あのね……。モート……私は実は街の窃盗団のリーダー的な存在だったの……」
…………
淹れたてのコーヒー豆をミルで挽いていたオーゼムは、自家製シチューでモートたちに細やかながらおもてなしをしてくれた。
窓の外は未だに大雪で、ヒューヒューと鳴る風がまるで人の悲鳴のような音に聞こえた。
「ロイヤル・スター・ブレックファースト?」
「そう。この街では有名だったけど、対抗組織の方が大きくなって、存在が小さくなったの……。あまり知られていないけど。今でも大きな活動をしているの。昨日の夜は、お菓子屋の「リッチ・スイーツ」が莫大な売上金を残していてね。従業員は戸締りをした後に早々に帰宅して行ったって、仲間から聞いて……危険だけど夜の街でロイヤル・スターに収集をかけようとしたの……その時はまだダイヤモンドダストなんてなくて……凍死寸前の時にオーゼムさんが歩いてきて……」
ミリーはたどたどしく言った。
ホワイト・シティでは夜は命に絶大に危険だった。そして、窃盗団では大きな方だったロイヤル・スター・ブレックファーストのことをモートは思い出した。
確かロイヤル・スター・ブレックファーストは子供たちだけの窃盗団で、強盗や殺人など重い罪はしないが、大掛かりな犯罪組織だった。ここホワイト・シティの子供たちの半数は少しは関わっているとも言われていた。
モートは子供を狩らないので、今まで目を瞑っているが、その組織的犯罪は売春からドラッグにまで至る。七つの大罪に関与しているかも知れなかった。
「ミリー。その組織からすぐに離れてくれ」
モートは優しく言った。
だが、急激にキッチンの温度が下がり、ミリーは白い息を吐いて震え上がった。
「え? ええ……。なんなの……モート? こんなに恐ろしい空気みたいなものは初めてよ? 一体……あなたは……誰?」
ミリーは突然、しゃがみこんで立ってられないほど体全体で震えだした。
「モート君。それくらいで……」
「ああ……」
モートはミリーの肩に手を置いて、強い眼差しを向けた。
「君は……狩らないから、安心して……」