第23話
文字数 715文字
アリスはどちらも悲しかった。
きっと、モートが関わっているはず。
モートを狩りに行かせることも、世界の終末も。きっとヘレンはこんな苦痛にも勝る悲しみを、毎夜受け続けていたのだろうと思い。心底、同情をした。
キッチンからの湯気を纏ったフュメ・ド・ポワゾン(魚のスープ)をこの屋敷で唯一の使用人の老婆が運んできてくれた。
アリスの座る質素なテーブルに置くと、老婆は優しくアリスの耳元で囁いた。
「いいんですよ。これで、少しは運命というものを知ってくださいな。アリス嬢ちゃんは、いつも些細な事件でも心を痛めすぎです。そうですねー、こう思えばいいんですよ。自分の命も他人の命も重さは同じです。でも、失う時には運命や時期というものがあるだけです……」
アリスは老婆にニッコリと微笑み。
気持ちが少しは軽くなっていた。
それならば、世界の終末も運命なのだろう。けれども、モートもオーゼムも終末という運命をどんなことをしてでも回避したかったのだろう。
「さあさあ、もうそろそろ学校の時間ですよ。アリス嬢ちゃん。お仕度は何もかもできていますから」
朝食を終え。アリスはシンクレアから誕生日に貰ったブラウンのバックと白のロングコートを老婆から受け取った。屋敷の入り口まで歩くと、玄関で立ち止まった。アリスは老婆の厚意に胸が熱くなった。
老婆はアリスが路面バスへと行くために、屋敷から道路へと繋がる橋の上の雪を朝早くに綺麗に雪掻きをしてくれていたのだ。
こんな素晴らしい日を老婆から与えられたことで、今日はモートに普通に会えることができる。と、アリスは思った。
橋を渡ればすぐに路面バスの停留所だった。
行き先は当然、ノブレス・オブリージュ美術館だ。
きっと、モートが関わっているはず。
モートを狩りに行かせることも、世界の終末も。きっとヘレンはこんな苦痛にも勝る悲しみを、毎夜受け続けていたのだろうと思い。心底、同情をした。
キッチンからの湯気を纏ったフュメ・ド・ポワゾン(魚のスープ)をこの屋敷で唯一の使用人の老婆が運んできてくれた。
アリスの座る質素なテーブルに置くと、老婆は優しくアリスの耳元で囁いた。
「いいんですよ。これで、少しは運命というものを知ってくださいな。アリス嬢ちゃんは、いつも些細な事件でも心を痛めすぎです。そうですねー、こう思えばいいんですよ。自分の命も他人の命も重さは同じです。でも、失う時には運命や時期というものがあるだけです……」
アリスは老婆にニッコリと微笑み。
気持ちが少しは軽くなっていた。
それならば、世界の終末も運命なのだろう。けれども、モートもオーゼムも終末という運命をどんなことをしてでも回避したかったのだろう。
「さあさあ、もうそろそろ学校の時間ですよ。アリス嬢ちゃん。お仕度は何もかもできていますから」
朝食を終え。アリスはシンクレアから誕生日に貰ったブラウンのバックと白のロングコートを老婆から受け取った。屋敷の入り口まで歩くと、玄関で立ち止まった。アリスは老婆の厚意に胸が熱くなった。
老婆はアリスが路面バスへと行くために、屋敷から道路へと繋がる橋の上の雪を朝早くに綺麗に雪掻きをしてくれていたのだ。
こんな素晴らしい日を老婆から与えられたことで、今日はモートに普通に会えることができる。と、アリスは思った。
橋を渡ればすぐに路面バスの停留所だった。
行き先は当然、ノブレス・オブリージュ美術館だ。