第6話
文字数 651文字
ただモートが女性や子供を狩ることはない。真夜中では何故か狩ることを躊躇してしまうし、罪を犯すこともあるが、大抵は許容範囲内で済ませていた。
モートは真夜中で罪人以外のいわゆる邪魔者も狩ろうとした時もあるが、美術館のオーナーに固く禁止されていた。
その日の夜。
ノブレス・オブリージュ美術館のサロンで、着飾った人々の談笑を質素な椅子に座りながら聞き流していたモートは、閉館時間まで辛抱強く待った。
徐々に人々が帰り始め。閉館時間が迫る。いつもの黒い服装を着たモートが様々な武器が描かれた壁画からずっしりとした大鎌を静かに取り出すと、お客の接待や挨拶などを終えたオーナーが大扉から歩いてきた。
モートは一枚の絵画に向かって、「母さん。行ってくるよ」と抑揚がない一声をかけた。
オーナーもモートの傍に心配して寄って来た。
モートの背中に手を押し当てて忠告をした。
「くれぐれも罪人以外は狩ってはいけませんよ。さあ、御行き。この街の夜にはあなたがどうしても必要なのよ」
ここホワイトシティは、夜になるとその風貌が一変する。
平和な街だが遠い国からあらゆる犯罪が流入してきていた。
美術館の外は、凍える夜風に乗って粉雪が舞う。狩りの夜には、決まって夜空に真っ白な満月が浮かぶのだ。まるで、のっぺりとした無表情な顔の月が街全体を見下ろしているかのようだ。
モートはノブレス・オブリージュ美術館の屋上から、空を見上げて呟いた。
「今日は、なんだか不思議な月だ……」
モートはアリスの家まで空を勢いよく飛翔した。
モートは真夜中で罪人以外のいわゆる邪魔者も狩ろうとした時もあるが、美術館のオーナーに固く禁止されていた。
その日の夜。
ノブレス・オブリージュ美術館のサロンで、着飾った人々の談笑を質素な椅子に座りながら聞き流していたモートは、閉館時間まで辛抱強く待った。
徐々に人々が帰り始め。閉館時間が迫る。いつもの黒い服装を着たモートが様々な武器が描かれた壁画からずっしりとした大鎌を静かに取り出すと、お客の接待や挨拶などを終えたオーナーが大扉から歩いてきた。
モートは一枚の絵画に向かって、「母さん。行ってくるよ」と抑揚がない一声をかけた。
オーナーもモートの傍に心配して寄って来た。
モートの背中に手を押し当てて忠告をした。
「くれぐれも罪人以外は狩ってはいけませんよ。さあ、御行き。この街の夜にはあなたがどうしても必要なのよ」
ここホワイトシティは、夜になるとその風貌が一変する。
平和な街だが遠い国からあらゆる犯罪が流入してきていた。
美術館の外は、凍える夜風に乗って粉雪が舞う。狩りの夜には、決まって夜空に真っ白な満月が浮かぶのだ。まるで、のっぺりとした無表情な顔の月が街全体を見下ろしているかのようだ。
モートはノブレス・オブリージュ美術館の屋上から、空を見上げて呟いた。
「今日は、なんだか不思議な月だ……」
モートはアリスの家まで空を勢いよく飛翔した。