第36話
文字数 998文字
ヘレンは奇妙な感覚を持ちながら、オーゼムという人物を探しに一階への階段を探した。
パンの匂いが強くなるほど、地上に近づいているとヘレンは思った。
数メートル歩くと。
オーゼムという名の男は、すぐに見つかった。
一階へと上がる木製の階段付近に立っていたからだ。
オーゼムは、すぐにこちらに手を振って「私はオーゼム・バーマインタムという名の男です。モート君の友人です」とニッコリと自己紹介をした。
しかし、「いや……これは……?」急にオーゼムは険しい顔付きになって、薄暗い地下の奥へと目を向けた。
途端に、ドン! という強い衝撃音と共に、地下全体が激しく揺れた。
奇妙な複数の足音が近づいてくる。おぞましさをも覚えるその足音の群れは、例えるなら何らかのカサカサと動く。そう、昆虫の足音だった。ヘレンは後ろを向いて悲鳴を上げた。
その足音の主は、大蜘蛛の大軍だった。
「これは……マモンの書からの召喚!」
オーゼムが叫ぶと同時に、モートが目にも止まらぬ速さで走ってきた。銀の大鎌で複数の大蜘蛛に致命傷を負わせる。
「オーゼム! 何が起きたんだ! ギルズが何かの本をかざしていたら……あの大蜘蛛の大軍が現れた! 黒い魂ではないけど、狩りの対象なのはよくわかる!」
大蜘蛛の大軍は、鉄骨を楽にへし折り、天井まで壁を走りだし、店の外へと雪崩れ込もうとした。
「ここは、商店街です! モート君! 早くに大蜘蛛を全て狩ってください! 大勢の命が失われます!」
モートは一階へと続く階段を駆けだして外へと飛びだした。
外へでると、そこは阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
至る所で、人々の悲鳴や怒号が鳴り響く。
「グリーンピース・アンド・スコーン」のパン屋からワラワラと這い出てくるおぞましい大蜘蛛の大軍は、人々を次々と捕食していった。
モートにとっては、生まれて初めての光景だった。
すぐさま、銀の大鎌を振り。真っ白な蜘蛛の糸でグルグル巻きになっていた近くの青年を助けだした。
「この世の終わりだ!」
銀の大鎌で蜘蛛の糸を全て切断すると、自由を取り戻した青年はそう叫んでどこかへと走り去って行った。だが、別の大蜘蛛に捕まり、頭から齧られ絶命した。
モートはこの惨状をどうしていいかわからなかった。
今では、大蜘蛛の大軍は通行人だけの捕食では飽き足らず。商店街の店や建物を破壊しては、中の人たちも襲うようになっていた。
パンの匂いが強くなるほど、地上に近づいているとヘレンは思った。
数メートル歩くと。
オーゼムという名の男は、すぐに見つかった。
一階へと上がる木製の階段付近に立っていたからだ。
オーゼムは、すぐにこちらに手を振って「私はオーゼム・バーマインタムという名の男です。モート君の友人です」とニッコリと自己紹介をした。
しかし、「いや……これは……?」急にオーゼムは険しい顔付きになって、薄暗い地下の奥へと目を向けた。
途端に、ドン! という強い衝撃音と共に、地下全体が激しく揺れた。
奇妙な複数の足音が近づいてくる。おぞましさをも覚えるその足音の群れは、例えるなら何らかのカサカサと動く。そう、昆虫の足音だった。ヘレンは後ろを向いて悲鳴を上げた。
その足音の主は、大蜘蛛の大軍だった。
「これは……マモンの書からの召喚!」
オーゼムが叫ぶと同時に、モートが目にも止まらぬ速さで走ってきた。銀の大鎌で複数の大蜘蛛に致命傷を負わせる。
「オーゼム! 何が起きたんだ! ギルズが何かの本をかざしていたら……あの大蜘蛛の大軍が現れた! 黒い魂ではないけど、狩りの対象なのはよくわかる!」
大蜘蛛の大軍は、鉄骨を楽にへし折り、天井まで壁を走りだし、店の外へと雪崩れ込もうとした。
「ここは、商店街です! モート君! 早くに大蜘蛛を全て狩ってください! 大勢の命が失われます!」
モートは一階へと続く階段を駆けだして外へと飛びだした。
外へでると、そこは阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
至る所で、人々の悲鳴や怒号が鳴り響く。
「グリーンピース・アンド・スコーン」のパン屋からワラワラと這い出てくるおぞましい大蜘蛛の大軍は、人々を次々と捕食していった。
モートにとっては、生まれて初めての光景だった。
すぐさま、銀の大鎌を振り。真っ白な蜘蛛の糸でグルグル巻きになっていた近くの青年を助けだした。
「この世の終わりだ!」
銀の大鎌で蜘蛛の糸を全て切断すると、自由を取り戻した青年はそう叫んでどこかへと走り去って行った。だが、別の大蜘蛛に捕まり、頭から齧られ絶命した。
モートはこの惨状をどうしていいかわからなかった。
今では、大蜘蛛の大軍は通行人だけの捕食では飽き足らず。商店街の店や建物を破壊しては、中の人たちも襲うようになっていた。