第37話
文字数 1,165文字
地面の真っ白い雪の上には、人々の赤い鮮血が凄まじい勢いで広がっていく。
もはや柱を破壊され垂れ下がった天幕は破け散り、その裂け目からはシンシンと降る雪が無情にも人々の破損した死骸の上に落ちている。
モートは、大蜘蛛の大軍と苦戦をしていた。
銀の大鎌を横に振り、大蜘蛛の口の辺りを刈った。大蜘蛛は人声にも似た悲鳴を発し、すかさず白い糸をモートへ向かって吐きつけた。
モートは避けるが、左腕に糸で巻きつかれてしまった。
普段は壁や床などを通り抜けることができるモートだったが、対象も同じ存在なのだろう。通り抜けられない。恐らく体当たりでもされたら、モートはその巨体による強い衝撃で遥か後方へと吹っ飛んでしまうだろう。
どうしても糸がほどけそうもないと判断したモートは、そのままの状態で今度は大蜘蛛の顔面目掛けて銀の大鎌を投げつけた。
それは、大回転をし。前方の複数の大蜘蛛を掻っ捌いていく。
銀の大鎌が回転をしながらモートの元へと戻って来た。
左腕は使えないので、右手のみで受け取った。
しばらくすると、モートの狩りで大蜘蛛の数も減り。
生きている人は、皆、避難できたとモートは信じた。
だが、辺りを見回していると、真横から突然一匹の大蜘蛛が右腕に噛みついていた。
モートは痛みも気にせずに、銀の大鎌で大蜘蛛の頭部を刈り取る。噛みつかれた右腕からは銀の大鎌が持てないほどおびただしい痛みと出血があった。
未だ大蜘蛛の大軍は数こそ少なくなったが、商店街を暴れ回り、逃げ遅れた人々を捕食している。
周囲を警戒していたモートは気が付いた。オーゼムが瓦礫と化した「グリーンピース・アンド・スコーン」のパン屋の壁の隙間から這い出て来たのだ。
オーゼムは体中の埃を叩いて辺りの悲惨さにひどく落胆したようだ。
「これは……遅すぎましたね。何もかも……すぐに気付くべきでした。これはマモンの強欲のグリモワールによって起きた惨劇です。グリモワールを使った張本人のギルズはどこかへ逃げて行ってしまいましたが、強欲のグリモワールだけは回収しました」
「グリモワール? オーゼム! それよりヘレンは?!」
モートは崩壊した商店街で、大蜘蛛を警戒しながら早口でオーゼムに聞いた。
「無事です。それより、後五匹の大蜘蛛がいます。どうか気を抜かないでください。さて……ここで、一つ賭けをしましょう。あそこの大蜘蛛に襲われている男はグリーンピース・アンド・スコーンの一員です。その男は今は赤い色の魂ですが、モート君に助けられた後は、その魂が再び黒になるか? それとも、改心して灰色から青い色になるか。どうです? どちらに賭けます?」
モートは首をかしげたが、当然黒い色になる方へと賭けた。
「ほうほう……。では、私は青色へ。そして、再びあなたの狩りの時間ですよ。モート君」
もはや柱を破壊され垂れ下がった天幕は破け散り、その裂け目からはシンシンと降る雪が無情にも人々の破損した死骸の上に落ちている。
モートは、大蜘蛛の大軍と苦戦をしていた。
銀の大鎌を横に振り、大蜘蛛の口の辺りを刈った。大蜘蛛は人声にも似た悲鳴を発し、すかさず白い糸をモートへ向かって吐きつけた。
モートは避けるが、左腕に糸で巻きつかれてしまった。
普段は壁や床などを通り抜けることができるモートだったが、対象も同じ存在なのだろう。通り抜けられない。恐らく体当たりでもされたら、モートはその巨体による強い衝撃で遥か後方へと吹っ飛んでしまうだろう。
どうしても糸がほどけそうもないと判断したモートは、そのままの状態で今度は大蜘蛛の顔面目掛けて銀の大鎌を投げつけた。
それは、大回転をし。前方の複数の大蜘蛛を掻っ捌いていく。
銀の大鎌が回転をしながらモートの元へと戻って来た。
左腕は使えないので、右手のみで受け取った。
しばらくすると、モートの狩りで大蜘蛛の数も減り。
生きている人は、皆、避難できたとモートは信じた。
だが、辺りを見回していると、真横から突然一匹の大蜘蛛が右腕に噛みついていた。
モートは痛みも気にせずに、銀の大鎌で大蜘蛛の頭部を刈り取る。噛みつかれた右腕からは銀の大鎌が持てないほどおびただしい痛みと出血があった。
未だ大蜘蛛の大軍は数こそ少なくなったが、商店街を暴れ回り、逃げ遅れた人々を捕食している。
周囲を警戒していたモートは気が付いた。オーゼムが瓦礫と化した「グリーンピース・アンド・スコーン」のパン屋の壁の隙間から這い出て来たのだ。
オーゼムは体中の埃を叩いて辺りの悲惨さにひどく落胆したようだ。
「これは……遅すぎましたね。何もかも……すぐに気付くべきでした。これはマモンの強欲のグリモワールによって起きた惨劇です。グリモワールを使った張本人のギルズはどこかへ逃げて行ってしまいましたが、強欲のグリモワールだけは回収しました」
「グリモワール? オーゼム! それよりヘレンは?!」
モートは崩壊した商店街で、大蜘蛛を警戒しながら早口でオーゼムに聞いた。
「無事です。それより、後五匹の大蜘蛛がいます。どうか気を抜かないでください。さて……ここで、一つ賭けをしましょう。あそこの大蜘蛛に襲われている男はグリーンピース・アンド・スコーンの一員です。その男は今は赤い色の魂ですが、モート君に助けられた後は、その魂が再び黒になるか? それとも、改心して灰色から青い色になるか。どうです? どちらに賭けます?」
モートは首をかしげたが、当然黒い色になる方へと賭けた。
「ほうほう……。では、私は青色へ。そして、再びあなたの狩りの時間ですよ。モート君」