第4話
文字数 637文字
「あら……モート。大丈夫ですか?」
転んでいるモートに優しく手を差し伸べたのは、大学でたまに話し掛けてくるアリスだった。
「それにしてもモートって、いっつもクールで無口よね。なんだか存在が薄いというよりも存在していないって感じがするの。だって、雪で滑って派手に転んだ時でも表情一つ変えないんだし」
もう一人の女性。シンクレアも音楽室でモートに時々話し掛けてくる人で、モートに手を差し伸べていた。
「そうね。私たち以外は、誰かに名前を呼ばれた時とかもあまりないみたいですし。不思議ですね」
アリスは大学でも有名な貴族の出身で、美人だが病弱で非社交的なせいか深窓の令嬢と呼ばれていた。
シンクレアはアリスとは仲が良いが対照的だった。シンクレアは健康的な美人で、貧乏な家柄の出だったが、物事をどんな時ににも、はっきりと言う性格だった。モートは彼女を周りと打ち解けやすいか、逆に打ち解けにくいかのどちらかの存在だと考えていた。シンクレア自身は、人一倍勝ち気なだけだと思っているのだろうとモートは考えた。
雪の降り積もる歩道から、モートは二人から起き上がらせてもらったが、薄く苦笑いをした。そんなモートを二人は物珍しく眺めていた。
「全然平気そうですね……それにモートって、いつも気が付いたら隣の席にいるって感じですよね。隣の席にいても、なかなか気が付かない時もありますけど……」
アリスはそんなモートに微笑んでいた。
もうすぐクリフタウンだ。
モートは前方を見ると大学はすぐそこだった。
転んでいるモートに優しく手を差し伸べたのは、大学でたまに話し掛けてくるアリスだった。
「それにしてもモートって、いっつもクールで無口よね。なんだか存在が薄いというよりも存在していないって感じがするの。だって、雪で滑って派手に転んだ時でも表情一つ変えないんだし」
もう一人の女性。シンクレアも音楽室でモートに時々話し掛けてくる人で、モートに手を差し伸べていた。
「そうね。私たち以外は、誰かに名前を呼ばれた時とかもあまりないみたいですし。不思議ですね」
アリスは大学でも有名な貴族の出身で、美人だが病弱で非社交的なせいか深窓の令嬢と呼ばれていた。
シンクレアはアリスとは仲が良いが対照的だった。シンクレアは健康的な美人で、貧乏な家柄の出だったが、物事をどんな時ににも、はっきりと言う性格だった。モートは彼女を周りと打ち解けやすいか、逆に打ち解けにくいかのどちらかの存在だと考えていた。シンクレア自身は、人一倍勝ち気なだけだと思っているのだろうとモートは考えた。
雪の降り積もる歩道から、モートは二人から起き上がらせてもらったが、薄く苦笑いをした。そんなモートを二人は物珍しく眺めていた。
「全然平気そうですね……それにモートって、いつも気が付いたら隣の席にいるって感じですよね。隣の席にいても、なかなか気が付かない時もありますけど……」
アリスはそんなモートに微笑んでいた。
もうすぐクリフタウンだ。
モートは前方を見ると大学はすぐそこだった。