第69話
文字数 1,453文字
Sloth 2
暖房が行き届いたサロンの片隅で、アリスはモートが産まれた絵画だと言われた絵の前で、オーゼムの話に耳を傾けていた。
歴史の授業で聞いたのだ。
アールブヘルムの絞殺魔のことを……。
それが今はオーゼムの口から聞かされていた。隣に佇むヘレンも知っていたようで、終始うつむいて泣いていた。
自分はどうしたらいいのでしょう? 歴史の授業でもかなり恐ろしい部類に入る。おどろおどろしい事件だったようです。
そう、歴史的事件だったようです。
村の住民全てを殺害したとされるその犯人は、最後にはどこからも跡形もなく消えたことになっているといわれています。殺害方法もまた稀有で、人の首が瞬時に刈り取られていた。それで村人全ての命が無くなったとされています。今もその事件は多くの学者のおびただしい資料の中でも、もっとも不思議で、17世紀最大の迷宮入り事件とも、本物の魔術の儀式が絡んだ事件とも言われています。歴史の授業では、ただの何かの宗教的集団が大量が虐殺したのだとも言われています。「興味深いが、迷信だらけの大量殺人だ」とも教授が言っていたのです。
多分にもれず、魔術や呪術を信じていた時の事件なので、事件が起きたわけではなく。迷信が迷信を呼んだのだろうとも言われています。今現在では、シンプルに理解可能な事件なのかも知れないのですが。ただ……。
私はどうしてもモートを殺人犯にはしたくなかったのです……。
村の住民全てを殺害したとされるその犯人は、最後にはどこからも跡形もなく消えたことになっているといわれています。殺害方法もまた稀有で、人の首が瞬時に刈り取られていた。それで村人全ての命が無くなったとされています。今もその事件は多くの学者のおびただしい資料の中でも、もっとも不思議で、17世紀最大の迷宮入り事件とも、本物の魔術の儀式が絡んだ事件とも言われています。歴史の授業では、ただの何かの宗教的集団が大量が虐殺したのだとも言われています。「興味深いが、迷信だらけの大量殺人だ」とも教授が言っていたのです。
多分にもれず、魔術や呪術を信じていた時の事件なので、事件が起きたわけではなく。迷信が迷信を呼んだのだろうとも言われています。今現在では、シンプルに理解可能な事件なのかも知れないのですが。ただ……。
私はどうしてもモートを殺人犯にはしたくなかったのです……。
「アリスさん。ヘレンさん。……大丈夫ですか? ここからが一番聞いてほしい話になりますよ。気をしっかり持ってくださいね」
オーゼムはモートが産まれた絵画の前で、まるで歴史の授業のように昔話をしている。時には咳払いをしたり、絵画の方へ険しい顔を向け、こちらに向いて瞬きをしたりと、
「こほん……。そう、モート君はもうすでに、この世にはいなかった。殺人も一、二分の間だけです。不思議な殺人。そう、魔術書を使ったのです」
アリスは首を傾げる。
隣のヘレンの方を向くと、ヘレンはうなだれていた。
「そう、グリモワールを使ったのですが。それが今、事件を起こしている本なのです。その回収のためと、そして、深く関連しているモート君に私は会おうと天界で思いました。まあ、結果はまだまだわかりませんが……いたちごっこですよ……。事件を追うと、事件に遭う。いやはや、人はまったく今も昔も変わらないものですねー」
アリスはホッとした。何を言っているのかはわからないが、それならば、モートは直接的な殺人犯ではないのでは? けれども、オーゼムがすぐさまそれを否定した。
暖房が行き届いたサロンの片隅で、アリスはモートが産まれた絵画だと言われた絵の前で、オーゼムの話に耳を傾けていた。
歴史の授業で聞いたのだ。
アールブヘルムの絞殺魔のことを……。
それが今はオーゼムの口から聞かされていた。隣に佇むヘレンも知っていたようで、終始うつむいて泣いていた。
自分はどうしたらいいのでしょう? 歴史の授業でもかなり恐ろしい部類に入る。おどろおどろしい事件だったようです。
そう、歴史的事件だったようです。
村の住民全てを殺害したとされるその犯人は、最後にはどこからも跡形もなく消えたことになっているといわれています。殺害方法もまた稀有で、人の首が瞬時に刈り取られていた。それで村人全ての命が無くなったとされています。今もその事件は多くの学者のおびただしい資料の中でも、もっとも不思議で、17世紀最大の迷宮入り事件とも、本物の魔術の儀式が絡んだ事件とも言われています。歴史の授業では、ただの何かの宗教的集団が大量が虐殺したのだとも言われています。「興味深いが、迷信だらけの大量殺人だ」とも教授が言っていたのです。
多分にもれず、魔術や呪術を信じていた時の事件なので、事件が起きたわけではなく。迷信が迷信を呼んだのだろうとも言われています。今現在では、シンプルに理解可能な事件なのかも知れないのですが。ただ……。
私はどうしてもモートを殺人犯にはしたくなかったのです……。
村の住民全てを殺害したとされるその犯人は、最後にはどこからも跡形もなく消えたことになっているといわれています。殺害方法もまた稀有で、人の首が瞬時に刈り取られていた。それで村人全ての命が無くなったとされています。今もその事件は多くの学者のおびただしい資料の中でも、もっとも不思議で、17世紀最大の迷宮入り事件とも、本物の魔術の儀式が絡んだ事件とも言われています。歴史の授業では、ただの何かの宗教的集団が大量が虐殺したのだとも言われています。「興味深いが、迷信だらけの大量殺人だ」とも教授が言っていたのです。
多分にもれず、魔術や呪術を信じていた時の事件なので、事件が起きたわけではなく。迷信が迷信を呼んだのだろうとも言われています。今現在では、シンプルに理解可能な事件なのかも知れないのですが。ただ……。
私はどうしてもモートを殺人犯にはしたくなかったのです……。
「アリスさん。ヘレンさん。……大丈夫ですか? ここからが一番聞いてほしい話になりますよ。気をしっかり持ってくださいね」
オーゼムはモートが産まれた絵画の前で、まるで歴史の授業のように昔話をしている。時には咳払いをしたり、絵画の方へ険しい顔を向け、こちらに向いて瞬きをしたりと、
「こほん……。そう、モート君はもうすでに、この世にはいなかった。殺人も一、二分の間だけです。不思議な殺人。そう、魔術書を使ったのです」
アリスは首を傾げる。
隣のヘレンの方を向くと、ヘレンはうなだれていた。
「そう、グリモワールを使ったのですが。それが今、事件を起こしている本なのです。その回収のためと、そして、深く関連しているモート君に私は会おうと天界で思いました。まあ、結果はまだまだわかりませんが……いたちごっこですよ……。事件を追うと、事件に遭う。いやはや、人はまったく今も昔も変わらないものですねー」
アリスはホッとした。何を言っているのかはわからないが、それならば、モートは直接的な殺人犯ではないのでは? けれども、オーゼムがすぐさまそれを否定した。