第48話
文字数 986文字
外套の雪を払いながら、オーゼムは玄関先でヘレンにこう言った。
「一つも黒い魂が見当たらないのです……けれども、ウエストタウンの一角で灰色の魂が物凄い勢いで集っています。これは一体何でしょう? 凄く嫌な胸騒ぎがします」
ヘレンは何を言っているのかは理解できるが、それが何を意味しているのかは皆目見当が付かなかった。
「さあ、行きましょう。モート君が待っている。そして……今にも大勢の命が危険に晒されているかも知れません……」
ヘレンは突然に考え込みだしたオーゼムとノブレス・オブリージュ美術館へと向かった。停留所でバスを待っている間も、それからオーゼムは一言も話さなかった。
時間通りに到着したノブレス・オブリージュ美術館行きの16時12分の路面バスの中で、オーゼムは考え込んでいたが、ハッとして突然に大声を発した。
「そうだ! ダンスホールだ! ここホワイト・シティに唯一あるんだ! ウエストタウン! そこに灰色の魂が集まっているんだ!」
オーゼムは驚いているヘレンを放っておいて、運転手にすぐに停まるように叫んだ。驚いた運転手は急ブレーキをした。大きな様々な悲鳴と共に路面バスが急停車し騒然となった。
オーゼムはバスから飛び降りると、真っ先に近くの店に入った。
ヘレンはしばらくして冷静さを取り戻すと、オーゼムは電話を借りに行ったのだと考えた。
Lust 3
「え! なんだって! ウエストタウンのダンスホールにすぐ行ってくれだって?!」
オーゼムからの切羽詰った電話を切ると、モートはノブレス・オブリージュ美術館の絵探しを中断して、アリスとシンクレアにここに好きなだけいてくれと言い残し、ウエストタウン行きのバスを探しに大急ぎで館内を出た。
ウエストタウン行きの路面バスはすぐにつかまった。
嬉しいことにダンスホールまで2ブロックのところに、バスの停留所がある。薄暗くなった空には美しい白い月が浮かび出した。
モートは交差する車や歩行者を通り抜けながら、道路と建物を真っ直ぐに突き進んでいく。かれこれ奇跡的にエンストを起こさなかったバスから降りてから30分が過ぎていた。
モートの目にも見えて来た。
ホワイト・シティに唯一あるダンスホール。「パラバラム・クラブ」だ。それは地下一階から二階にかけて広がる巨大なダンスホールだ。モートは迷わず黒い魂が密集した地下二階へと向かう。
「一つも黒い魂が見当たらないのです……けれども、ウエストタウンの一角で灰色の魂が物凄い勢いで集っています。これは一体何でしょう? 凄く嫌な胸騒ぎがします」
ヘレンは何を言っているのかは理解できるが、それが何を意味しているのかは皆目見当が付かなかった。
「さあ、行きましょう。モート君が待っている。そして……今にも大勢の命が危険に晒されているかも知れません……」
ヘレンは突然に考え込みだしたオーゼムとノブレス・オブリージュ美術館へと向かった。停留所でバスを待っている間も、それからオーゼムは一言も話さなかった。
時間通りに到着したノブレス・オブリージュ美術館行きの16時12分の路面バスの中で、オーゼムは考え込んでいたが、ハッとして突然に大声を発した。
「そうだ! ダンスホールだ! ここホワイト・シティに唯一あるんだ! ウエストタウン! そこに灰色の魂が集まっているんだ!」
オーゼムは驚いているヘレンを放っておいて、運転手にすぐに停まるように叫んだ。驚いた運転手は急ブレーキをした。大きな様々な悲鳴と共に路面バスが急停車し騒然となった。
オーゼムはバスから飛び降りると、真っ先に近くの店に入った。
ヘレンはしばらくして冷静さを取り戻すと、オーゼムは電話を借りに行ったのだと考えた。
Lust 3
「え! なんだって! ウエストタウンのダンスホールにすぐ行ってくれだって?!」
オーゼムからの切羽詰った電話を切ると、モートはノブレス・オブリージュ美術館の絵探しを中断して、アリスとシンクレアにここに好きなだけいてくれと言い残し、ウエストタウン行きのバスを探しに大急ぎで館内を出た。
ウエストタウン行きの路面バスはすぐにつかまった。
嬉しいことにダンスホールまで2ブロックのところに、バスの停留所がある。薄暗くなった空には美しい白い月が浮かび出した。
モートは交差する車や歩行者を通り抜けながら、道路と建物を真っ直ぐに突き進んでいく。かれこれ奇跡的にエンストを起こさなかったバスから降りてから30分が過ぎていた。
モートの目にも見えて来た。
ホワイト・シティに唯一あるダンスホール。「パラバラム・クラブ」だ。それは地下一階から二階にかけて広がる巨大なダンスホールだ。モートは迷わず黒い魂が密集した地下二階へと向かう。