026 side B
文字数 1,702文字
「……まぁ偶然だが、この市にオルターエゴゥがいることは前前からわかっていたことだ。それが貴様だと、ロボットに知らされたのが先ほどいきなりで、僕も気がまえから今一つだったんだぁ、でなければ負けなかったものを~」
「ったく、先に言ってくれればバトる代わりに会わせてやったのに、って言うか紹介してやれただろうにさ。血の気が多いにもほどがあるってのっ、あぁ痛ぇ。あんたは大丈夫か体? オレがやったトコ、どっか痛くないのかよ」
「何だと……貴様、チュたんチェと親しいのかっ? どしてだ、一体どんな関係なんだ!」
玄牟は突如、磁化したみたく崎陽の方へ跳び寄って来る。
見開かれた目がヤバい。
「辺つくなってっ──」
崎陽もドアに張りつくほど跳び退きながら、蹴り返そうと右足を上げかまえたため、玄牟はブスブスと元の座所へ戻って行く。
「ったく、ほんに狂暴な奴だ。まるで話にならん……」
「そりゃどっちの話だか? てか、同じガッコの同級生で、SNSの人寄せに協力しろってしつこくされてるだけ。あんたの相棒は、大して情報収集力がなかったみたいだな?」
「ただの同級生ではないんだな! 悪かった謝る、土下座か? 今するか、降りてするか? ドローンの弁償はローンではダメか? 何でもするから紹介してくれ、今日とかムリだろか、今からはどうだ? もはや貴様と僕は、鎬 を削り合った激レアな誼 じゃないかっ、なぁ?」
「だから近寄るなっての。よくもそう態度をコロッと変えられるもんだな? 高そうだったプライドも傲岸不遜ぽさも、全部が気取りでしかないのかあんたはっ」
「気取って何が悪いっ。所詮僕には気取るくらいが関の山だが、気取りかどうかは僕ではなく周りが決めることではないか! しかるに僕は僕なのだ、僕はチュたんチェに会うためなら、どんな苦い胆でもナメるっ。どうだこれが僕だぁ、わかったか貴様ぁ~」
「……ああ。勝っといてよかったってガチで」
呆れ果てた崎陽が、玄牟を視界からはずしてしまおうと体ごとしっかり前を向くと、頃しもバートリが運転席に乗り込んで来て、崎陽の視界を玄牟寄りに戻す。
そのバートリは、崎陽から玄牟へと目を合わさずにまじりまじり視線を投じ、独り合点に頷きながら言う。
「とりあえず叔母さんのクリニックへ向かおうかと思っていたけど、その様子なら二人とも湿布を貼って安静にしておけばいい打撲程度だね。それで玄牟植、私に与 するなら、今から昆スタンツェのいる住所まで行ってあげてもいいよ、どうする?」
「おぉ~与す与す! スグ行ってくれっ、頼むぞ新たなオルターエゴゥ……しかし、同地域に二人いたとは。それも一人は女子だなんてな、まぁその体格ならば、やはりそれなりに何か強みをもっていそうだが」
「ン~、まぁ当然と答えておくよ。とりあえずシートベルトを締めなよ、発進できないから」
バートリに倣って崎陽と玄牟も慌てて締めたが、実に自然かつスムーズにクルマが動きだしたと同時に、崎陽はバートリが同学年であることを思い出す。
「って、あんたは一六になったばっかだって聞いたんだけど。いくら高御座に納まりきれなかったはぐれ者でも、運転免許は飛び級じゃムリだろ?」
「なっ、高御座だと? キミはなんと、梅が香学園や雲頂女子と三つ巴で肩を並べる女子御三家の生徒だったのか~」
バートリよりも先に、玄牟が目覚ましい反応を示した。
「……もう違うよ。黙ってないと、セラフィムの巣へ連れて行かないよっ」
「わかったっ、もう口は出さないから行ってくれ」
「ン。従ってくれれば私も協力は惜しまないよ、今後も何かと……話を戻すと、私は運転していない指示するだけ、このクルマが自分で走ってる。ハンドルを握っているのは外から怪しまれたくないからで、走行許可は県レヴェルで下りているから問題ない」
「自動運転車なのかこれ? ……ロボタンと言いドローンと言い、何なんだ一体? ヌースとか言う連中は、大金持で道楽者の集まりなのかよ?」
そう問いをなげた崎陽は、バートリからの返答よりも、先ほどからやいのやいのと全く別のことで耳囂 しい和加へと意識をきり替えつつ、我にもなく唇を尖らせる。
「ったく、先に言ってくれればバトる代わりに会わせてやったのに、って言うか紹介してやれただろうにさ。血の気が多いにもほどがあるってのっ、あぁ痛ぇ。あんたは大丈夫か体? オレがやったトコ、どっか痛くないのかよ」
「何だと……貴様、チュたんチェと親しいのかっ? どしてだ、一体どんな関係なんだ!」
玄牟は突如、磁化したみたく崎陽の方へ跳び寄って来る。
見開かれた目がヤバい。
「辺つくなってっ──」
崎陽もドアに張りつくほど跳び退きながら、蹴り返そうと右足を上げかまえたため、玄牟はブスブスと元の座所へ戻って行く。
「ったく、ほんに狂暴な奴だ。まるで話にならん……」
「そりゃどっちの話だか? てか、同じガッコの同級生で、SNSの人寄せに協力しろってしつこくされてるだけ。あんたの相棒は、大して情報収集力がなかったみたいだな?」
「ただの同級生ではないんだな! 悪かった謝る、土下座か? 今するか、降りてするか? ドローンの弁償はローンではダメか? 何でもするから紹介してくれ、今日とかムリだろか、今からはどうだ? もはや貴様と僕は、
「だから近寄るなっての。よくもそう態度をコロッと変えられるもんだな? 高そうだったプライドも傲岸不遜ぽさも、全部が気取りでしかないのかあんたはっ」
「気取って何が悪いっ。所詮僕には気取るくらいが関の山だが、気取りかどうかは僕ではなく周りが決めることではないか! しかるに僕は僕なのだ、僕はチュたんチェに会うためなら、どんな苦い胆でもナメるっ。どうだこれが僕だぁ、わかったか貴様ぁ~」
「……ああ。勝っといてよかったってガチで」
呆れ果てた崎陽が、玄牟を視界からはずしてしまおうと体ごとしっかり前を向くと、頃しもバートリが運転席に乗り込んで来て、崎陽の視界を玄牟寄りに戻す。
そのバートリは、崎陽から玄牟へと目を合わさずにまじりまじり視線を投じ、独り合点に頷きながら言う。
「とりあえず叔母さんのクリニックへ向かおうかと思っていたけど、その様子なら二人とも湿布を貼って安静にしておけばいい打撲程度だね。それで玄牟植、私に
「おぉ~与す与す! スグ行ってくれっ、頼むぞ新たなオルターエゴゥ……しかし、同地域に二人いたとは。それも一人は女子だなんてな、まぁその体格ならば、やはりそれなりに何か強みをもっていそうだが」
「ン~、まぁ当然と答えておくよ。とりあえずシートベルトを締めなよ、発進できないから」
バートリに倣って崎陽と玄牟も慌てて締めたが、実に自然かつスムーズにクルマが動きだしたと同時に、崎陽はバートリが同学年であることを思い出す。
「って、あんたは一六になったばっかだって聞いたんだけど。いくら高御座に納まりきれなかったはぐれ者でも、運転免許は飛び級じゃムリだろ?」
「なっ、高御座だと? キミはなんと、梅が香学園や雲頂女子と三つ巴で肩を並べる女子御三家の生徒だったのか~」
バートリよりも先に、玄牟が目覚ましい反応を示した。
「……もう違うよ。黙ってないと、セラフィムの巣へ連れて行かないよっ」
「わかったっ、もう口は出さないから行ってくれ」
「ン。従ってくれれば私も協力は惜しまないよ、今後も何かと……話を戻すと、私は運転していない指示するだけ、このクルマが自分で走ってる。ハンドルを握っているのは外から怪しまれたくないからで、走行許可は県レヴェルで下りているから問題ない」
「自動運転車なのかこれ? ……ロボタンと言いドローンと言い、何なんだ一体? ヌースとか言う連中は、大金持で道楽者の集まりなのかよ?」
そう問いをなげた崎陽は、バートリからの返答よりも、先ほどからやいのやいのと全く別のことで