012 side B
文字数 1,593文字
崎陽は和加からの連絡を待たずにミューツアルグラスを掛けなおし、電源をオン。
「おいっオレだ、聞こえてるか和加?」
「何があったの、危ないことされちゃった?」
「危ないも何も撃たれたいきなりっ、信じられっか? こんなガッコから通り一本隔てただけの住宅街のド真ん中でだぞ、閑静すぎて、この半端な時間に全く人通りがないってのが逆に鬼ヤバなのかも知れないけどさ」
「撃たれたって、銃で? 崎陽だってこと、何も確認されずに?」
「聞いてこなかった何も……けど、そう言や銃声もしなかったぞ、ビチッと何かが当たる音がしただけで──」
崎陽は再び自販機へふり返り、近寄りつつ側面に付いたキズの検分も始める。
「どう、その銃痕ってヤツ? 崎陽の手が遮るし顔も近づきすぎだから、ワタシが判断できるほど、まだよく見えていないんだけど」
「弾痕、じゃないなたぶん。穴は開いてないや、なんか焼け焦げみたいだ。凹んでるのも塗装の部分だけってカンジ、自販機の横に残ったキズは」
「なら、おそらくレーザー銃だわ。一まず安心して、コンパクト化したとしても全体はクルマに積むようなサイズだろうし、高速連射もできない。それで一撃離脱で走り去ったのよ」
「って? ガチにかぁ……」
「とにかく歩き出して崎陽、その程度なら騒ぎにはならないから。誰かが出て来て不審がられる前にワタシたちもこの場を離れましょ」
崎陽は不自然さが出ないよう身を翻 しながら周囲を瞥見 ──。
人影はないものの、なんとなく人の気配がカンジられてしまう崎陽は、立ってくる癇を抑え抑え大股で立ち去りだす。
「なぁ和加、レーザーってレーザーだろ? 安心なんかできるのかよっ」
「きっと来ないわ、今日はもう。来たら、さっきより早くわかるし……ゴメンねっ、近くに誰もいないことまで把握できなかったのはワタシのミス。今は、ちょうどこの周辺の魔の刻、住民の外出も帰宅もほとんどない中途半端な時間帯だったみたい」
「アホか! そんなのどうだっていいだろっ」
「……ゴメンなさい。本当に……」
「悪ぃ、まだパニくってるんで怒鳴らせてもらっちまったが、何なんだよ一体? 誰なのかも知ってそうだよなっ……あぁ今気づいたけど、撃った奴もこの眼鏡に似たカンジで、サングラスをかけてたぞ。レンズもフレームも赤紫っぽかったたぶん」
「ええ、色違い。説明はしたでしょ、崎陽のも、レンズを透明から濃い青紫色にまで変えられるわ。ワタシのカラーコードはヴァイオレットで、あっちはパープルだから」
「……何だ、その色って?」
「大丈夫だから。レンズの色の濃さには関係なく、炭酸ガスレーザーだろうがフッ化水素レーザーだろうが一発なら確実に防御しちゃうしっ。今の相手のことはわかっているから検索できる、ある程度は、になるけれど」
「……パニくりが酷くなるだけだって。とにかく、
「その可能性はあるけれど、まだないわ。こっちも急いで武装しなくちゃ、それも飛び道具と対レーザー銃レヴェルの防御。きっとそれを思い知らせに来たのよ。崎陽目線の映像で見る限りだけれど、照射された角度は本気で狙ったモノとは思えないし」
「チョット待てっ、何だそりゃ? どしてオレがそんな物騒なことに巻き込まれなくちゃならないんだよ。理由を教えてくれ、て言うか、わかるように話してくれないとだろ全部っ」
「全部はムリ~、ワタシだってわからないことがあるもの。けれど、第一の理由は、崎陽がワタシのガンバる相手に選ばれちゃったから……」
「は? だから全然わからないってっ」
でも和加は独り言つように続けるのみ。
「……そして、たぶん粗悪なアホまでが参戦して、粗悪なアホゆえに、ガンバり方まで安直かつ乱暴に闘いへと変えてしまったんだわ。でもホント大丈夫、崎陽なら絶対勝つから、ワタシが勝たせるもの絶対っ」
「おいっオレだ、聞こえてるか和加?」
「何があったの、危ないことされちゃった?」
「危ないも何も撃たれたいきなりっ、信じられっか? こんなガッコから通り一本隔てただけの住宅街のド真ん中でだぞ、閑静すぎて、この半端な時間に全く人通りがないってのが逆に鬼ヤバなのかも知れないけどさ」
「撃たれたって、銃で? 崎陽だってこと、何も確認されずに?」
「聞いてこなかった何も……けど、そう言や銃声もしなかったぞ、ビチッと何かが当たる音がしただけで──」
崎陽は再び自販機へふり返り、近寄りつつ側面に付いたキズの検分も始める。
「どう、その銃痕ってヤツ? 崎陽の手が遮るし顔も近づきすぎだから、ワタシが判断できるほど、まだよく見えていないんだけど」
「弾痕、じゃないなたぶん。穴は開いてないや、なんか焼け焦げみたいだ。凹んでるのも塗装の部分だけってカンジ、自販機の横に残ったキズは」
「なら、おそらくレーザー銃だわ。一まず安心して、コンパクト化したとしても全体はクルマに積むようなサイズだろうし、高速連射もできない。それで一撃離脱で走り去ったのよ」
「って? ガチにかぁ……」
「とにかく歩き出して崎陽、その程度なら騒ぎにはならないから。誰かが出て来て不審がられる前にワタシたちもこの場を離れましょ」
崎陽は不自然さが出ないよう身を
人影はないものの、なんとなく人の気配がカンジられてしまう崎陽は、立ってくる癇を抑え抑え大股で立ち去りだす。
「なぁ和加、レーザーってレーザーだろ? 安心なんかできるのかよっ」
「きっと来ないわ、今日はもう。来たら、さっきより早くわかるし……ゴメンねっ、近くに誰もいないことまで把握できなかったのはワタシのミス。今は、ちょうどこの周辺の魔の刻、住民の外出も帰宅もほとんどない中途半端な時間帯だったみたい」
「アホか! そんなのどうだっていいだろっ」
「……ゴメンなさい。本当に……」
「悪ぃ、まだパニくってるんで怒鳴らせてもらっちまったが、何なんだよ一体? 誰なのかも知ってそうだよなっ……あぁ今気づいたけど、撃った奴もこの眼鏡に似たカンジで、サングラスをかけてたぞ。レンズもフレームも赤紫っぽかったたぶん」
「ええ、色違い。説明はしたでしょ、崎陽のも、レンズを透明から濃い青紫色にまで変えられるわ。ワタシのカラーコードはヴァイオレットで、あっちはパープルだから」
「……何だ、その色って?」
「大丈夫だから。レンズの色の濃さには関係なく、炭酸ガスレーザーだろうがフッ化水素レーザーだろうが一発なら確実に防御しちゃうしっ。今の相手のことはわかっているから検索できる、ある程度は、になるけれど」
「……パニくりが酷くなるだけだって。とにかく、
今の相手
って何だよ、あんな風にほかの何人もからオレは襲われまくるってのか?」「その可能性はあるけれど、まだないわ。こっちも急いで武装しなくちゃ、それも飛び道具と対レーザー銃レヴェルの防御。きっとそれを思い知らせに来たのよ。崎陽目線の映像で見る限りだけれど、照射された角度は本気で狙ったモノとは思えないし」
「チョット待てっ、何だそりゃ? どしてオレがそんな物騒なことに巻き込まれなくちゃならないんだよ。理由を教えてくれ、て言うか、わかるように話してくれないとだろ全部っ」
「全部はムリ~、ワタシだってわからないことがあるもの。けれど、第一の理由は、崎陽がワタシのガンバる相手に選ばれちゃったから……」
「は? だから全然わからないってっ」
でも和加は独り言つように続けるのみ。
「……そして、たぶん粗悪なアホまでが参戦して、粗悪なアホゆえに、ガンバり方まで安直かつ乱暴に闘いへと変えてしまったんだわ。でもホント大丈夫、崎陽なら絶対勝つから、ワタシが勝たせるもの絶対っ」