005 無節操に何でもつくって売りまくる大企業って…… side A
文字数 1,389文字
「……ビジネス、って?」
「セラフィムと呼ばれている彼女たちはね、そもそも親たちが同じ会社に勤めていて、自社製品を売るためにSNSを中心にしたPR活動をしているってわけ」
そんな動画のワンシーンがパラリパラリ、D‐ヴァイザーに表示されては消えていく。
「これって……チョイ昔にステマとか言われてたヤラセ宣伝行為じゃね? ギャラもらって、でっちあげの口コミをバレないよう広めるってヤツ。今だにひっぱりのめしてやってるわけ? そりゃ口コミの信頼度の高さは、この先も不滅っぽいけどさ」
「ビジネスの基本的な仕組みはそうなんだけれど、親の会社の製品を、実際にセラフィムたちが使っている姿や話題をSNSにあげることで、勝手に拡散されて口コミ情報になっていくわけ。つまり、親の会社がスポンサーだとまでは公表していないステマアイドルと言うカンジ。ヤラセでも製品評価の捏造まではしていないの」
「そうだったのかぁ……それって何を売ってる会社? 昆スタンツェたちセラフィムは、いつから、そんな密 かアイドルやってるわけ?」
「デイリー・エッセンシャルズと社名を言えばわかるんじゃない? 本社は東亰の神官前だけれど、研究開発および製造拠点は、この市の西区西部をドド~ンと占めているでしょ」
「そうだけどさ、DEなのかよ……」
「でも、そうした活動でセラフィムが専属契約から報酬を得るようになったのは、彼女たち全員が、一四歳になった一年半年くらい前からね」
「けど、DEならほとんど何でもだよなっ。化粧品とか日用品、チョコやスナック菓子からチンするだけで世界の本場の味が喰えるってシリーズは、下の姉ちゃんがドハマりしてたし」
「アラァ、口ぶりよりも詳しかったみたいね?」
「当然だ。ここの西区にはアウトレットのスーパーも何軒かあって、ウチでも歯磨きやら洗剤やら使ってる大半がDEのだ。オレが今着てるジャージからしてDEのスポーツウェア‐ブランドのだし」
とは言ったものの、ジャージはパジャマ代わりにしているためにデレンデレン、襟もヨレヨレで、正すなんてことはどうしようがムリ。
せめてと、崎陽は決まりが悪そうに居住まいを正してみるが、それでようやく真明 かに、和加には自分がいる位置と顔の向きや姿勢などは明確にわかっても、姿そのモノは見えていないことを自覚する崎陽だった。
「そのシェア拡大を日本全国、延いては全世界規模で目論んでいるんでしょうね」
「……ガチかよ?」
「昆スタンツェたちセラフィムは、SNSでの情報発信センスがある中から選りすぐられた美少女パーティーなんだわ。彼女たちは、小学生の頃から企業イメージより先に製品の身近さを滲透させ続けている。その成長を配信情報から見守ってきた者たちには、間違いなく我が子も同然の天使よね」
「……ステージママってヤツに熱血指導を受けつつも、バカ売れして短命に終わらないよう、計画的に育てられてる子役みたいなもんか……」
「……何なのかしら、その崎陽にしてはチョット意外なたとえ話って?」
「悪かったな。チョット前に、人気子役の実情ってのを、チョットTVで観たばっかだったんでね」
「フ~ン、この前の日曜に放送されたドキュメンタリー番組ね」
「ったく。けどまぁそれなら、あの同学年にしては変にズレてるって言うか、フツウの高一離れしちまってるカンジも合点がいくな」
「そう? ならよかったわ」
「セラフィムと呼ばれている彼女たちはね、そもそも親たちが同じ会社に勤めていて、自社製品を売るためにSNSを中心にしたPR活動をしているってわけ」
そんな動画のワンシーンがパラリパラリ、D‐ヴァイザーに表示されては消えていく。
「これって……チョイ昔にステマとか言われてたヤラセ宣伝行為じゃね? ギャラもらって、でっちあげの口コミをバレないよう広めるってヤツ。今だにひっぱりのめしてやってるわけ? そりゃ口コミの信頼度の高さは、この先も不滅っぽいけどさ」
「ビジネスの基本的な仕組みはそうなんだけれど、親の会社の製品を、実際にセラフィムたちが使っている姿や話題をSNSにあげることで、勝手に拡散されて口コミ情報になっていくわけ。つまり、親の会社がスポンサーだとまでは公表していないステマアイドルと言うカンジ。ヤラセでも製品評価の捏造まではしていないの」
「そうだったのかぁ……それって何を売ってる会社? 昆スタンツェたちセラフィムは、いつから、そんな
「デイリー・エッセンシャルズと社名を言えばわかるんじゃない? 本社は東亰の神官前だけれど、研究開発および製造拠点は、この市の西区西部をドド~ンと占めているでしょ」
「そうだけどさ、DEなのかよ……」
「でも、そうした活動でセラフィムが専属契約から報酬を得るようになったのは、彼女たち全員が、一四歳になった一年半年くらい前からね」
「けど、DEならほとんど何でもだよなっ。化粧品とか日用品、チョコやスナック菓子からチンするだけで世界の本場の味が喰えるってシリーズは、下の姉ちゃんがドハマりしてたし」
「アラァ、口ぶりよりも詳しかったみたいね?」
「当然だ。ここの西区にはアウトレットのスーパーも何軒かあって、ウチでも歯磨きやら洗剤やら使ってる大半がDEのだ。オレが今着てるジャージからしてDEのスポーツウェア‐ブランドのだし」
とは言ったものの、ジャージはパジャマ代わりにしているためにデレンデレン、襟もヨレヨレで、正すなんてことはどうしようがムリ。
せめてと、崎陽は決まりが悪そうに居住まいを正してみるが、それでようやく
「そのシェア拡大を日本全国、延いては全世界規模で目論んでいるんでしょうね」
「……ガチかよ?」
「昆スタンツェたちセラフィムは、SNSでの情報発信センスがある中から選りすぐられた美少女パーティーなんだわ。彼女たちは、小学生の頃から企業イメージより先に製品の身近さを滲透させ続けている。その成長を配信情報から見守ってきた者たちには、間違いなく我が子も同然の天使よね」
「……ステージママってヤツに熱血指導を受けつつも、バカ売れして短命に終わらないよう、計画的に育てられてる子役みたいなもんか……」
「……何なのかしら、その崎陽にしてはチョット意外なたとえ話って?」
「悪かったな。チョット前に、人気子役の実情ってのを、チョットTVで観たばっかだったんでね」
「フ~ン、この前の日曜に放送されたドキュメンタリー番組ね」
「ったく。けどまぁそれなら、あの同学年にしては変にズレてるって言うか、フツウの高一離れしちまってるカンジも合点がいくな」
「そう? ならよかったわ」