004 side B
文字数 1,669文字
「わ~ったって! もういいから、さっさと消してくれこんな画像っ。さもないと、これ自体脱ぎ捨てて二度と被ってやらないぞっ」
たちまち画像は消え去るも、検索結果の数数から率直に込み上がらざるを得ない和加の感想は続く。
「フレゴーにスラックライン、TRXやレッドコードなんてトレーニングまでも。基本的にアクティヴで、カルチュアルな習い事はおつき合いというカンジみたいね」
「……いや、全部つき合いだって基本的に。鬼も四三、無茶苦茶も出端 だろうし、念仏の一つも唱えてみようと霍乱 したんじゃね? おだてりゃ鬼も隠してた金棒を出すってもんさ」
「はい? よく意味がわからないんだけれど」
「運動能力は元元高かったみたいで、それを年齢的にチヤホヤされるヒマと機会ができたって意味、かな?」
「……どう言う意味それって?」
「ウチの母親は、女はフツウに女らしく育てばいいって家庭環境だったんで、何一つ本格的にはやってない。きっと、その反動が今でも宥 まりきらずに歪んじまってるんだ。それで、自分ができなかったから子供にはさせようって親じゃなく、子供にもやらせないのが当然! って親になったんじゃね?」
「そこが、鬼だなんて言う由縁 なの?」
「て言うか、ドビンボーでもドケチってわけでもないのに、子供にはどこにどれだけカネを使うかがガッチリ決まってて、それ以外は何をどう訴えても絶対にダメ。その無慈悲なまでの頑迷さに鬼をヒッシヒシ感じるんだよなぁ……って何、口を滑らせちまってるんだオレは? 初対面の、それも断然怪しげな人に家の恥なんかをっ」
「ヒッド~い。でもぉ、人って認めてくれたから許してあげちゃおっかなっ」
「……その、ブレる口ぶりからして怪しいっての。まぁビジネス口調より気楽でいいけどさ、どっちがビジネス口調なのかは知らんけど」
「じゃぁ、どっちのビジネス口調でもないワタシ本来の言便 にしちゃいましょ」
「あぁそうしてよ。何だかんだで、巧いこと会話をひっぱり延ばされてるカンジだし。キラキラ女子に、巧いことノせられないようにする訓練にもなりそうだし」
「ワタシってキラキラァ? 崎陽クンこそ口がおじょうずみたいなんですけれど~。まぁワタシでよければ特訓相手になりますわよぉ、キラキラ女子から桃色気分が萌え出る前に疎隔心 を覚えちゃうなんて不健全だから、もう断断然にっ」
和加は小躍 り気味の動作をしたついでに、お節介の地を出す優等生女子のごときオーヴァーアクションで、人差し指を崎陽へ振り向けた。
「……オレからすれば、キラキラしてること自体がもう不健全なんだけどな。所詮は同じ年頃の脛っ齧りだってのにさ。須世理さんだっけ? あんたはこのバイトで結構稼いでるのかも知れないけど、なら尚更わかるんじゃね? 誰にも一目瞭然でキラキラするには、身のほどを超えた贅張りが必要だってリアルをさ」
「和加でいいの、ワタシのことは。それはまあ、崎陽クンの言いたいことはわからなくもないんだけれど……フムフム~。それじゃぁお次は、昆スタンツェの検索結果を基にお話をしましょうか?」
「ふ~ん。まぁ聞かせてみてよ、オレのこともクン付けなんかしなくていいんで。逆にクン付けされると胡散クサさが漂うな。そんな女子は、将を射んがための馬をまず射る踏み台に、オレが使えるかもって近づいて来た奴ばっかだったから」
「……あっ、やっとわかったぁ、そうやってモジリっぽく言うのが好きなのね?」
「モジリ? って言うのかは知らんけど。つい癖でね」
癖は癖でも、なんとなくごまかしておきたい時につい出る癖とまでは、どうにか口を割らずに済ませた崎陽だった。
「えっとぉ、それではどうしましょ? 苗字の呼び捨ては何だし、じゃぁ敏房? それともトシ~? 家族に呼ばれているトシ坊は、やっぱりマズいんでしょう?」
「……何だろうと苗字がいい。今一瞬、物凄い寒気がゾゾ走ったんで……」
「ウ~ン。まぁいいわ、リアルにフツウのJKっぽくて。ではではお話を戻すとぉ、崎陽は知らないんでしょうけれど、昆スタンツェのキラキラはビジネス絡みなの」
たちまち画像は消え去るも、検索結果の数数から率直に込み上がらざるを得ない和加の感想は続く。
「フレゴーにスラックライン、TRXやレッドコードなんてトレーニングまでも。基本的にアクティヴで、カルチュアルな習い事はおつき合いというカンジみたいね」
「……いや、全部つき合いだって基本的に。鬼も四三、無茶苦茶も
「はい? よく意味がわからないんだけれど」
「運動能力は元元高かったみたいで、それを年齢的にチヤホヤされるヒマと機会ができたって意味、かな?」
「……どう言う意味それって?」
「ウチの母親は、女はフツウに女らしく育てばいいって家庭環境だったんで、何一つ本格的にはやってない。きっと、その反動が今でも
「そこが、鬼だなんて言う
「て言うか、ドビンボーでもドケチってわけでもないのに、子供にはどこにどれだけカネを使うかがガッチリ決まってて、それ以外は何をどう訴えても絶対にダメ。その無慈悲なまでの頑迷さに鬼をヒッシヒシ感じるんだよなぁ……って何、口を滑らせちまってるんだオレは? 初対面の、それも断然怪しげな人に家の恥なんかをっ」
「ヒッド~い。でもぉ、人って認めてくれたから許してあげちゃおっかなっ」
「……その、ブレる口ぶりからして怪しいっての。まぁビジネス口調より気楽でいいけどさ、どっちがビジネス口調なのかは知らんけど」
「じゃぁ、どっちのビジネス口調でもないワタシ本来の
「あぁそうしてよ。何だかんだで、巧いこと会話をひっぱり延ばされてるカンジだし。キラキラ女子に、巧いことノせられないようにする訓練にもなりそうだし」
「ワタシってキラキラァ? 崎陽クンこそ口がおじょうずみたいなんですけれど~。まぁワタシでよければ特訓相手になりますわよぉ、キラキラ女子から桃色気分が萌え出る前に
和加は
「……オレからすれば、キラキラしてること自体がもう不健全なんだけどな。所詮は同じ年頃の脛っ齧りだってのにさ。須世理さんだっけ? あんたはこのバイトで結構稼いでるのかも知れないけど、なら尚更わかるんじゃね? 誰にも一目瞭然でキラキラするには、身のほどを超えた贅張りが必要だってリアルをさ」
「和加でいいの、ワタシのことは。それはまあ、崎陽クンの言いたいことはわからなくもないんだけれど……フムフム~。それじゃぁお次は、昆スタンツェの検索結果を基にお話をしましょうか?」
「ふ~ん。まぁ聞かせてみてよ、オレのこともクン付けなんかしなくていいんで。逆にクン付けされると胡散クサさが漂うな。そんな女子は、将を射んがための馬をまず射る踏み台に、オレが使えるかもって近づいて来た奴ばっかだったから」
「……あっ、やっとわかったぁ、そうやってモジリっぽく言うのが好きなのね?」
「モジリ? って言うのかは知らんけど。つい癖でね」
癖は癖でも、なんとなくごまかしておきたい時につい出る癖とまでは、どうにか口を割らずに済ませた崎陽だった。
「えっとぉ、それではどうしましょ? 苗字の呼び捨ては何だし、じゃぁ敏房? それともトシ~? 家族に呼ばれているトシ坊は、やっぱりマズいんでしょう?」
「……何だろうと苗字がいい。今一瞬、物凄い寒気がゾゾ走ったんで……」
「ウ~ン。まぁいいわ、リアルにフツウのJKっぽくて。ではではお話を戻すとぉ、崎陽は知らないんでしょうけれど、昆スタンツェのキラキラはビジネス絡みなの」