第39話 言語線
文字数 2,173文字
1年ぶりに姉夫婦と旅行した。
九州。数ヶ月前から計画を立てた。しかし、ホテルも空港も観光地も雨、線状降水帯。被害も尋常ではない。
でも、行った。
去年も雨だった。土砂降りの松島。通行止めの道路。
少し前、たぶん新聞だと思うが、バロウズのことが載っていた。その時は、検索したのに、すでになんのことかも忘れている……
︎
ウィリアム・シュワード・バロウズ二世(1914年2月5日 - 1997年8月2日)は、アメリカの小説家。
1950年代のビート・ジェネレーションを代表する作家の一人。1960年代にJ・G・バラードらによってニュー・ウェーブSFの輝く星として称えられた。
その後も、パフォーマンス・アーティストのローリー・アンダーソンや、ロックミュージシャンのカート・コバーン(ニルヴァーナ)らによって、最大級の賛辞を受けている。
私生活では、ウィリアム・テルごっこをして誤って妻を射殺したり、同性愛の男性にふられて小指を詰めたりするなど、何かとエピソードに事欠くことがなかった。
https://ag-skin.com/daily/skinblog.cgi?mode=2&sn=5104
ぜんぜん知らないのだが、名前に聞き覚えが……
思い出した。
『お気に入りの音楽』の『無惨の美』で出てきたのだった。
︎
淋しさを紛らわすために多くの人は詩を書き始めるが、詩は決して救いにならない。
むしろ、淋しさにはっきりとした形を与えてしまう。
麻薬中毒の作家、W・バロウズは
「ことばはウイルスだ。言語線を切れ!」
と言ったが、彼の意図するところとはまるで違うかもしれないけれど、自分も、言葉は人間の心を蝕む病原体だと思うときがある。
淋しさに形を与え、谺 となって無制限に増殖してゆく……
http://anti-buddhism.doorblog.jp/archives/21920952.html
これも、わからないながら、引っかかっていた。
バロウズや上の彼の意図するところとはまるで違うかもしれないけれど、旅行の間、言語線を切る。
書かない。打たない。読まない。
頭の中を空っぽにして、行ってこよう。
✳︎
雨は覚悟していた。
飛行機はほぼ10年ぶり。
車を羽田の駐車場に預けるのが大変だった。予約はいっぱい。某業者と空港で待ち合わせをして預ける。帰りはコインロッカーに車の鍵を入れておいてくれる。(これ、違法みたい?)
それが全部メールでのやり取り。
飛行機のチケットとレンタカーは旅行会社で頼んだ。年寄りはネットの予約が心配なのだ。しかし、手数料が2割。
空港で、チェックインはしなくていい……しかし、手荷物を預けるのは、自動チェックイン機。
まず、姉が、用紙のQRコードをタッチしたら、
「予約は受けておりません……」
帰りの用紙をタッチしていたのに気付かず数分。
そのあと、間違いに気付くも、なかなかうまくいかない。数回繰り返してようやく長い手荷物タグが出てきた。
それを旅行カバンに付けて、荷物を預ける。
またまた、すんなりできない。読み取ってくれない。
どうなってるの? カバンをひっくり返したら、ようやく動いて行った。
保安検査場では夫は携帯を持ったままだし、あたふたあたふた。
ようやく飛行機に乗る時は、グループ3とか4てなんのこと?
えー? 座席までひとりで行くの? 恐ろしい。
またまたQRコードをうまく読んでくれないし。
ほんとにこの旅行、ラーメン頼むのも、コインロッカー開けるのもすべて機械で、まごついた。
最後の日の旅館は、キャンセルがあったようで、部屋をグレードアップしてくれた。カギは昔ながらの鍵!
雨は覚悟していたのだ。車に乗ると大雨で前が見えない。
ところが観光するときは小雨になり止んだ。日まで差した。誰か強運の持ち主が? 神社が多く、お参りしたおかげ? 4日間の予定がすべてクリア。
何事もなく、持病持ちの年寄りが具合も悪くならず、酒を飲み過ぎもせず、毎日平均1万歩も歩いた。
私が1番若い。しかし10歳上の義兄が、階段もスタスタ登っていたので驚いた。この日のために歩いていたようだ。
熊本空港は対面で人間様が荷物を預かってくれた。人間相手の方が時間がかからない。
それで、最後までうまくいくかと思いきや……
突如携帯が大騒ぎ。緊急アラートはマナーモードでも鳴るのね。
大雨で、警戒レベル3。空港中がざわついた。
そして、
「ここで速報をお知らせします」
のようなアナウンス。
飛行機が遅れた。最後の最後で。
仕方ない。空港で夜明しか? なんて想像した。
以前娘が、台風が近づいてるのにグァムに行ったとき、案の定帰れずホテルのロビーで夜明かしした。
懲りない娘は少し前、石垣島へ家族で行き、コロナにかかったとメールが来た。
今回の旅行、満員の飛行機もマスクをつけない人が多かった。観光地も外国語が飛び交っていた。皆、マスクはナシ。帰ってからが怖い。
空港はエアコンが効きすぎて寒い。どれくらい遅れるのやら?
天草行きは、天候不良で引き返すかも、とアナウンスが。
よかった。15分遅れで出発した。
たいして揺れもせずすんなり到着……と思いきや。
前の飛行機がまだ出ないため、ずーっと待機。待ってる時間は実に長く感じた。
九州。数ヶ月前から計画を立てた。しかし、ホテルも空港も観光地も雨、線状降水帯。被害も尋常ではない。
でも、行った。
去年も雨だった。土砂降りの松島。通行止めの道路。
少し前、たぶん新聞だと思うが、バロウズのことが載っていた。その時は、検索したのに、すでになんのことかも忘れている……
︎
ウィリアム・シュワード・バロウズ二世(1914年2月5日 - 1997年8月2日)は、アメリカの小説家。
1950年代のビート・ジェネレーションを代表する作家の一人。1960年代にJ・G・バラードらによってニュー・ウェーブSFの輝く星として称えられた。
その後も、パフォーマンス・アーティストのローリー・アンダーソンや、ロックミュージシャンのカート・コバーン(ニルヴァーナ)らによって、最大級の賛辞を受けている。
私生活では、ウィリアム・テルごっこをして誤って妻を射殺したり、同性愛の男性にふられて小指を詰めたりするなど、何かとエピソードに事欠くことがなかった。
https://ag-skin.com/daily/skinblog.cgi?mode=2&sn=5104
ぜんぜん知らないのだが、名前に聞き覚えが……
思い出した。
『お気に入りの音楽』の『無惨の美』で出てきたのだった。
︎
淋しさを紛らわすために多くの人は詩を書き始めるが、詩は決して救いにならない。
むしろ、淋しさにはっきりとした形を与えてしまう。
麻薬中毒の作家、W・バロウズは
「ことばはウイルスだ。言語線を切れ!」
と言ったが、彼の意図するところとはまるで違うかもしれないけれど、自分も、言葉は人間の心を蝕む病原体だと思うときがある。
淋しさに形を与え、
http://anti-buddhism.doorblog.jp/archives/21920952.html
これも、わからないながら、引っかかっていた。
バロウズや上の彼の意図するところとはまるで違うかもしれないけれど、旅行の間、言語線を切る。
書かない。打たない。読まない。
頭の中を空っぽにして、行ってこよう。
✳︎
雨は覚悟していた。
飛行機はほぼ10年ぶり。
車を羽田の駐車場に預けるのが大変だった。予約はいっぱい。某業者と空港で待ち合わせをして預ける。帰りはコインロッカーに車の鍵を入れておいてくれる。(これ、違法みたい?)
それが全部メールでのやり取り。
飛行機のチケットとレンタカーは旅行会社で頼んだ。年寄りはネットの予約が心配なのだ。しかし、手数料が2割。
空港で、チェックインはしなくていい……しかし、手荷物を預けるのは、自動チェックイン機。
まず、姉が、用紙のQRコードをタッチしたら、
「予約は受けておりません……」
帰りの用紙をタッチしていたのに気付かず数分。
そのあと、間違いに気付くも、なかなかうまくいかない。数回繰り返してようやく長い手荷物タグが出てきた。
それを旅行カバンに付けて、荷物を預ける。
またまた、すんなりできない。読み取ってくれない。
どうなってるの? カバンをひっくり返したら、ようやく動いて行った。
保安検査場では夫は携帯を持ったままだし、あたふたあたふた。
ようやく飛行機に乗る時は、グループ3とか4てなんのこと?
えー? 座席までひとりで行くの? 恐ろしい。
またまたQRコードをうまく読んでくれないし。
ほんとにこの旅行、ラーメン頼むのも、コインロッカー開けるのもすべて機械で、まごついた。
最後の日の旅館は、キャンセルがあったようで、部屋をグレードアップしてくれた。カギは昔ながらの鍵!
雨は覚悟していたのだ。車に乗ると大雨で前が見えない。
ところが観光するときは小雨になり止んだ。日まで差した。誰か強運の持ち主が? 神社が多く、お参りしたおかげ? 4日間の予定がすべてクリア。
何事もなく、持病持ちの年寄りが具合も悪くならず、酒を飲み過ぎもせず、毎日平均1万歩も歩いた。
私が1番若い。しかし10歳上の義兄が、階段もスタスタ登っていたので驚いた。この日のために歩いていたようだ。
熊本空港は対面で人間様が荷物を預かってくれた。人間相手の方が時間がかからない。
それで、最後までうまくいくかと思いきや……
突如携帯が大騒ぎ。緊急アラートはマナーモードでも鳴るのね。
大雨で、警戒レベル3。空港中がざわついた。
そして、
「ここで速報をお知らせします」
のようなアナウンス。
飛行機が遅れた。最後の最後で。
仕方ない。空港で夜明しか? なんて想像した。
以前娘が、台風が近づいてるのにグァムに行ったとき、案の定帰れずホテルのロビーで夜明かしした。
懲りない娘は少し前、石垣島へ家族で行き、コロナにかかったとメールが来た。
今回の旅行、満員の飛行機もマスクをつけない人が多かった。観光地も外国語が飛び交っていた。皆、マスクはナシ。帰ってからが怖い。
空港はエアコンが効きすぎて寒い。どれくらい遅れるのやら?
天草行きは、天候不良で引き返すかも、とアナウンスが。
よかった。15分遅れで出発した。
たいして揺れもせずすんなり到着……と思いきや。
前の飛行機がまだ出ないため、ずーっと待機。待ってる時間は実に長く感じた。
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