第65話 曲に罪はないが

文字数 1,259文字

 娘が中学時代、吹奏楽部で頑張っていた。朝練、昼練、夕練。土日も弁当を持って練習。

 コンクールの自由曲はシベリウスの『フィンランディア』
 先生は男子に言った。
「おまえ、歌え」
 それはかわいそう。男子部員はひとりだけ。パーカッションの背の小さな男子。

✳︎

 ロシアによるウクライナの侵攻以来、音楽界にも影響が広がっている。

 ロシアの作曲家・チャイコフスキーの大序曲『1812年』はシベリウスの『フィンランディア』に変更されている。

『1812年』はフランス・ナポレオン軍の侵攻を撃退したロシア軍を讃える曲で、大砲が楽器として使われていることで有名だ。
『1812年』はロシアの戦勝曲ということで、今この時代に演奏するのはふさわしくない、今の情勢を受け、演奏されなくなった。

 代わりに演奏されるのが『フィンランディア』帝政ロシアの圧政に苦しめられたフィンランドで、美しい祖国を讃え、独立と自由を求める国民の願いを表現している。
https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20220303_16559

 シベリウスはフィンランドの最も偉大な作曲家であると広く認められており、2002年にユーロが導入されるまで100マルッカ紙幣にシベリウスの肖像が描かれていた。同国では2011年以降、旗の日でありシベリウスの誕生日でもある12月8日を「フィンランド音楽の日」として祝っている。


 シベリウスの有名な作品である交響詩『フィンランディア』は、映画『ダイ・ハード2』の中で、ストーリーに合わせて効果的に流れていた。 
 フィンランド出身のレニー・ハーリン監督にとって、主人公が果敢にテロリストと戦う姿と、『フィンランディア』が結びついたのだろう。
https://koukou2022.seesaa.net/article/201007article_3.html

『フィンランディア』は重苦しく始まり、激しい戦いのような部分を経て、最後は晴れやかな賛歌が歌われる。
 この曲が書かれたのは1899年、当時のフィンランドはロシアの支配下で圧政に苦しんでいた。そんな状況でこの曲は、単なる音楽作品を超えた民族意識の象徴となる。
 ロシア政府はこの曲を警戒し、なんとか演奏をやめさせようとした。しかし演奏家たちは、たとえば《フィンランドの春が目覚めるときの幸せな感覚》だとか《スカンジナビア合唱行進曲》とか、別の名前でプログラムに載せることで、ロシアを出し抜いた。
 やがて、この曲の最後に出てくる賛歌のメロディは歌詞を付けられて歌われるようになり、フィンランドが独立国となった現在でも第2の国歌として親しまれている。
https://ontomo-mag.com/article/column/suomi-japan-100-year-sibelius/

 
 フィンランディア賛歌(ちょっと感激した動画)
https://youtu.be/zpDHv-dugL8


【お題】 ちょっと男子、ちゃんと歌いなさいよ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み