第33話 遠い夜明け

文字数 2,227文字

 スティーヴン・ビコは南アフリカの反アパルトヘイト活動家。
 黒人意識運動の代表として活動していたが、1977年9月12日、拷問をうけ死去した。30歳の若さだった。

 イギリス人シンガーソングライターのピーター・ガブリエルは『ビコ』をリリースし、彼に捧げた。
 この歌は1980年のヒットソングである。そしてこれらの歌は、南アフリカ政府によってすぐに発禁となった。
 加えて、他の反アパルトヘイト音楽にも影響を与えた。これは西側の大衆文化と反アパルトヘイトという主題を統合することに貢献した。

 バントゥー・スティーヴン・ビコ(1946年12月18日 - 1977年9月12日)は南アフリカのアパルトヘイト抵抗運動活動家。思想的にはアフリカ・ナショナリストかつ、アフリカ社会主義者であり、黒人意識運動として知られる1960年代後半と1970年代の草の根的な反アパルトヘイト・キャンペーンの最前線にいた。
 ビコは貧しいコーサ人の家庭に生まれ、ケープ州ギンズバーグで成長した。1966年、ナタール大学で医学を学び始め、そこで南アフリカ全国学生連盟に参加した。
 白人の支配を避けるために、黒人は独立した組織を持たなければならないという見解を強め、これを実現するために1968年の南アフリカ学生機構(SASO)創設の主導者となった。
 ビコは、黒人自身が持つ人種的劣等感を払拭する必要があると考え、このアイデアを「ブラック・イズ・ビューティフル」と言う一般化したスローガンで表現した。1972年、彼は黒人意識という思想を多くの人々の中に広めるため、黒人人民会議に関与した。

 政府はビコを危険分子と見なすようになり、1973年に彼を活動禁止命令下に置き、その活動を厳しく制限した。
 ビコは政治的に活発であり続け、ギンズバーグ地区の診療所や託児所のような、黒人共同体プログラムを組織するのを支援していた。
 活動禁止中にビコは匿名の脅迫を繰り返し受け、またいくつかの機会を掴んで警察に拘束された。
 ビコは1977年8月に逮捕された後、警官から激しい殴打を受け、その結果死亡した。
 葬儀には20,000人以上が参列した。

 ブルース・スプリングスティーンのバックをつとめたE・ストリート・バンドのギタリストで、スティーブ・ヴァン・ザントはアルバム・タイトル曲ともなる「SUN CITY」を書き上げると、賛同する多くのアーティストたちに声をかけ、このアルバムを作り上げた。
 ロック、ソウル、ファンク、ジャズ、ヒップ・ホップそしてアフリカのミュージシャンなど、さまざまな分野のアーティストたちが参加した。
 その名も
「アパルトヘイトに反対するアーティストたち」 (Artists United Against APARTHEID )
 そこには人種の壁も、ジャンルの壁も無かった。
 スティーブ・ヴァン・ザント 、盟友のスプリングスティーンとクラレンス、ピーター・ガブリエル 、ホール・オーツ 、U2のボノ 、ルー・リード、Run-D.M.C. 、JAZZからは御大マイルス・デイビス、ハービー・ハンコック、 ロン・カーター、‥‥‥etc.。
 参加メンバーのダリル・ホールは、ギャラのためにリゾート地サン・シティで歌ったクイーンとロッド・スチュアートを名指しして、「クソ野郎」と罵った。

 これ以外の曲もヒップ・ホップなのか、ロックなのか、ジャズなのか、アフリカン・ミュージックなのか、判然としない曲が多い。すべての音楽的要素が、混然一体となり、融け合っているのだ。

 Run-D.M.C. をはじめとするラッパーたちも音楽の壁を越えて集結した。
 彼らは「Let Me See Your I.D.」で皮肉たっぷりに、しかし怒りを込めて、熱くCOOLなラップを披露した。

 マイルス・デイビスも、いつも以上の鋭い眼光をギラつかせ、いつも以上に眉間にシワを寄せながら、やはり熱くCOOLに演奏してみせた。
「The Struggle Continues」 ”闘い”はまだ終わっていない。常に何かと”闘って”きたマイルス。ジャズ史にも残るべき名演となった。
https://kagenogori.hatenablog.com/entry/2020/03/22/122824

 ︎

 2021年の推計によると、南アフリカ共和国の人口は6,014万人。エイズによる死者や白人層の国外流出が多いため、他のアフリカ諸国に比べると人口増加率は低く、2008年には人口が減少している。
 現在では平均寿命は64.38歳となっている。黒人層に限ればさらに低くなる。
 白人は1940年ごろには全人口の約20%を占めていたが、2009年には9.1%にまで低下した。
アパルトヘイトの廃止以降、逆差別や失業、犯罪などから逃れるために国外への流出が続いており、1995年以来、国外に移民した白人はおよそ80万人に及ぶ。
 2009年、白人人口447万人の約10%にあたる約40万人が貧困層となっており、プアホワイトと呼ばれる層が出現している。
 最近はジンバブエから300万人が流入するなど、周辺国から約500万人の不法移民が流入し、治安悪化の原因となっている。
 現在、南アフリカの都市では、殺人、強盗、強姦、麻薬売買などの凶悪犯罪が昼夜を問わず多発している。凶悪犯罪においても、軒並み世界平均件数と比べて異常に高い犯罪率となっている。
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