第25話 やばい場所

文字数 1,836文字

 暗い砂漠のハイウェイを走っていた。
 涼しい風が髪を撫でる。
 コリタスの甘い香りが、あたりに立ち込めている……

 遠くにかすかな光が見えた。頭は重くなり視界はかすんでいた。
 今夜はもう休まなければ……

 入口に女が立っていて、礼拝の鐘が聴こえた。
 俺は自分に問いかけた。
「ここは天国か、それとも地獄か?」

 女はロウソクを灯して俺を案内した。
 廊下の先から聞こえた声は、こんな風に言っていた。
「ようこそ。
(ここは誰にも紹介してない秘密の場所です)
 とても素敵な場所です。とても素敵な外観でしょう?
 たくさんの部屋で、いつでもいつでも、あなたの訪れを待っています」

 ティファニーに夢中な女がいた。
 メルセデス・ベンツにもご執心で。
 素敵な彼氏達もたくさんいる。

 彼女たちは中庭で踊っていた。
 甘い夏、ほとばしる汗。
 思い出に浸るダンスや、忘れるために踊る人々も。

 俺はマスターを呼んだ。
「ワインを頼む」
 彼は言った。
「1969年から、ワインは一切置いていません」

 深い眠りに落ちたはずの、真夜中でさえどこからともなく、俺に囁きかける声が聞こえる。
 
「ようこそホテル・カリフォルニアへ。
 とても素敵な場所。 とても素敵な外観。
 みな楽しく過ごしています。ホテル・ カリフォルニア。
 なんて素敵な驚き。ア・リ・バ・イをご用意ください」

 天井には鏡を張りつめ、氷の上にはピンク・シャンパン。
 彼女は言った。

「ここには自分たちの企みのために、囚われの身となってしまった人たちばかり」

 やがて大広間では、祝宴の準備が整った。
 集まった人々は、鋭いナイフで獣を突くが、誰も殺すことはできなかった。

 最後に覚えていることは、出口を求めて走りまわっていることだった。
 前の場所に戻る通路が、どこかにきっとあるはずだ。

 すると夜警が言った。
「落ち着きなさい。
 私たちはここに住みつく運命なのだ。いつでもチェックアウトできるが、 決してここを去ることはできない!」

作詞・作曲:ドン・フェルダー、ドン・ヘンリー、グレン・フライ
『ホテル・カリフォルニア』
https://www.worldfolksong.com/popular/hotel-california.html 

<注:コリタスとは砂漠に咲くサボテンの花で、マリファナ(マリワナ)の暗喩でもある。>

『Hotel California』は世界中で爆発的なヒット曲となり、イーグルスの曲の中で知名度はダントツだ。
『ホテル・カリフォルニア』の人気の秘密は、楽曲の良さはもちろんのこと、聴く者の想像力を駆り立てる短編小説のような歌詞にあるのかもしれない。
『ホテル・カリフォルニア』の歌詞については、たくさんの憶測や解釈が飛び交ってきた。

 ドン・ヘンリーは2007年9月11日の英デイリー・メール紙にてそれらについて
「幾つかのこの曲の歌詞の拡大解釈には大変驚かされ続けている。この歌詞の内容はアメリカ文化の度を越した不品行と、私達の知り合いだった女の子達についてだった。しかし芸術と商業主義との危ういバランスについてでもあった。」
と述べている。

『ホテル・カリフォルニア』の解釈として、インターネット上では、次のようなものが散見される。
メキシコでマリファナのことをコリータス(colitas)という。
メキシコ人だったイーグルスのツアーマネージャーがマリファナのコリータスという呼び方をメンバーに教えた。
離婚したばかりの男の歌。
ドラッグが止められない人の歌。
悪魔崇拝のアントン・ラヴェイのことを歌っている。
https://usamimieigo.com/truth-meaning-of-hotelcalifornia/

 舞台は、コリタスの香りたつ、カリフォルニアの砂漠エリアのハイウェイ。主人公は、長時間の運転に疲れて、休むために立ち寄った小綺麗なホテルに幾日か滞在し、快適な日々を送っていた。 
 しかし、堕落して快楽主義的な過ごし方を続ける滞在客たちに嫌気が差して、以前の自分の日常生活に戻るため、ホテルを去ろうとしたものの、離れようにも離れられなくなった……というミニストーリーである。(Wikipedia)

ホテル・カリフォルニア イーグルス
https://youtu.be/09839DpTctU?si=r665OGmOeaSI40mN

『ここは誰にも紹介していない秘密の場所です』というお題で書いたのですが、著作権とか、引用とかやばいかも……?
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