第54話 家事の苦手な女たち

文字数 866文字

 近所に古くからある電気屋さん。小さいながら頑張っていた……?
 1度だけ、部品を頼んだことがあるが、店の中はすさまじかった。
 バスも通る道路に面しているが、店の外に古い冷蔵庫や洗濯機が何台か並べて放置されていた。ずいぶん前、夫が見た。外の冷蔵庫から何か取り出していた。コードを入れて使用している?

 看板は壊れたまま。家は地震が来たら倒れそう。噂ではいまだに水洗トイレではないとか。
 町の電気屋さんとして頑張ればよかったのに。奥さんは昔から、日中髪にカーラーを巻いたまま、くわえタバコで店の外に出ていた。旦那もくわえタバコ。身なりは構わない。
 息子の代になれば良くなるかと思いきや、息子も同じような体型、雰囲気だった。店の中はますますすごいことに。
 でも、同じような性格だからうまくいっているのだろうか?
 片付けはダメでも料理がうまい、とか。
 
 今では誰も住んでいないのか? 店頭の冷蔵庫が通るたび減っている。
「危険! 近づくな」
のテープが貼ってある。外壁は壊れそう。すぐそばを車が通るのに。 

 住人はどこへ?

 ✳︎

 知り合いの男性が離婚した。娘がかわいくてずいぶん悩んだらしいが。
 奥さんが、ごはんを作らない。

 奧さんのおとうさんはずっと単身赴任で、女の子ばかりだったので、おかあさんも料理をしなかったらしい。菓子パンですませたり。
 だからそういうものだと思っていた。

 どれほどか、話し合いがなされたのか?
 頼んでも怒ってもダメだったのだろうか?
 愛もごはんを作らねば冷める。
 愛が冷めたら、繋ぎ止めておくには胃袋をつかんでおかねば!

 うちの旦那さまなんて、おかずが少ないと不機嫌に。ワンパターンだと何度も言われ料理本を見た。
 今の時代、通用しない話か?
 娘の旦那さまは休みの日には作ってくれるそうだ。

 菓子パンですませている奥さんは、どこも悪いところはないそうだ。
 施設にもいたな。コーヒー牛乳と甘い煎餅だけ食べてどこも悪くないお年寄り。

 でも、家事をしっかりやって、さぞや旦那様は幸せだろうと思ったら、あちらの夫婦も離婚した。


 
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