第64話 断トツ

文字数 2,806文字

【お題】 タイピングの魔術師 

 よそのサイトのお題なのです。毎日12時に出題されます。毎日投稿しているかたが大勢います。
 今日はパス……と思うのですが、過去作から思い出すのです。

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 間違いなく彼は、タイピングの魔術師になれたはず。
 あの時代にタイプライターがあったなら……

 あまりにもすごくて、指が6本あるのではないか、という噂がまともに信じられていた。
 彼を超える者は現れないだろうと言われていた。

 彼は魔術師。

 文献によれば、繊細ながら非常に情熱的で力強い。
 あまりの衝撃に気絶する女性がいた話は有名だ。

 ひとつが壊れたら、次に移る。最初から3つ用意したこともあった。

 が、彼自身も最中に気絶することがあったという。
 
 当時天才少女として名を馳せていたクララ・ヴィーク(のちのクララ・シューマン)も、あまりの衝撃に号泣したという。

 
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『ラ・カンパネラ』は、フランツ・リストのピアノ曲。
 ニコロ・パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章のロンド『ラ・カンパネラ』の主題を編曲して書かれた。
 Campanella は、イタリア語で「鐘」という意味である。

 リストが『ラ・カンパネラ』を扱った作品は4曲存在する。

『パガニーニによる大練習曲』第3番嬰ト短調は、数多くあるリストの作品の中でも最も有名なものの一つ。
 今日『ラ・カンパネラ』として演奏されるほぼ全てがこの作品となる。

https://youtu.be/8EaXf6fOFnA?si=Y9VSjJHhuOsYF6WM

 YouTubeを検索してもほとんどが馴染みのあるこのカンパネラ。他の3曲は難しすぎて演奏する者が少ない。
 リストも、将来弾けるものが現れるとは思わなかったのではないか?

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『パガニーニの“ラ・カンパネラ”の主题による華麗なる大幻想曲』は、1831年から1832年にかけて作曲され、1834年に出版された。『ラ・カンパネラ』を扱った最初の作品。
 ニコロ・パガニーニのヴァイオリンの演奏を聴き、大きな衝撃を受けたリストが
「僕はピアノのパガニーニになる!」
と決意し、自らの技術を磨き上げて作り上げたと伝えられる。


 この曲を弾いている動画はなかなか見つからなかった。ようやく見つけたピアニスト。
 ジョン・アンドリュー・ハワード・オグドン(1937年1月27日-1989年8月1日)は、イングランドのピアニスト、作曲家。
 1961年にブダペスト国際ピアノ・コンクールに優勝して国際的に名声を博し、1962年にはウラディーミル・アシュケナージと並んで、第2回チァイコフスキー国際コンクールを制した。
 1973年に重度の神経衰弱に見舞われる。1983年に前後して演奏活動に復帰した。その直後に、糖尿病と肥満の結果、肺炎を引き起こして急逝した。
 数々の記念碑的な偉業を残しており、リスト、ブゾーニ、ラフマニノフ、スクリァービンなどの名人芸を要求する作品の名解釈で知られる存在である。

 体系的な録音を古典作品に残さなかった(ベートーヴェンの録音は驚くほど少ない)ことが災いし、CD時代を迎えたばかりの頃の没後の一時期に、急速に忘れられた。しかし、廉価CD時代を迎えてBOX化が容易になった現在、改めて演奏にスポットが当てられつつある。
 2010年代のイギリスは、大型の国際コンクールで優勝できる人材を完全に失っており、最後の超ヴィルトゥオーソとしてのオグドンの偉業は、今後も揺らぐことはない。

 日本のピアニストではショパン国際ピアノコンクール、チャイコフスキー国際コンクールの2大国際コンクールにおいて唯一、両大会に入賞経験のある小山実稚恵さんが同曲について下記のように語っている。
「即興から生まれているとしか言いようがなく、右手で弾いたらなんでもないのに、左手を交差するように指示していたり、音でも視覚でも魅せるように意識して、わざと難しくなるように楽譜に書き添えていて、(リストは)真のヴィルトゥオーソだったと思う」
(Wikipediaより引用)

 現役で世界でもトップクラスのピアニストがこのように語る。リストの演奏技術が如何に凄いかがわかる。

https://youtu.be/tL17Qnx8bVI?si=2KP5CDMzKYdi5AvG

《パガニーニの「ラ・カンパネラ」の主題による華麗なる大幻想曲》を演奏したピアニスト
レスリー・ハワード
ブルーノ・メッツェナ
セルジオ・フィオレンティーノ
ジョン・オグドン
マルコ・パシーニ
碇山典子
ケマル・ゲキチ
小山実稚恵(テレビ番組内において一部のみ演奏)

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『パガニーニによる超絶技巧練習曲』第3番変イ短調
初版を『パガニーニによる超絶技巧練習曲』、
改訂版を『パガニーニによる大練習曲』と呼んで区別するが、実際はピアノリサイタル等のテレビ番組で大練習曲を演奏する際に誤って超絶技巧練習曲とクレジットされることもあり、初版と改訂版の区別がされていないことがある。 
  

《パガニーニによる超絶技巧練習曲》第3番を演奏したピアニスト
ジョン・オグドン
ニコライ・ペトロフ
レスリー・ハワード
大井和郎
ジャンヌ=マリー・ダルレ
ゴラン・フィリペツ
ヴォイチェフ・ヴァレチェク
阪田和樹
Elisa Tomellini

https://youtu.be/25St6t4go9k?si=ZyDcZcjsUSv2c6af

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『パガニーニの「ラ・カンパネラ」と「ヴェニスの謝肉祭」の主題による大幻想曲』

 作曲は1845年で、改作版の『パガニーニの主題群による大幻想曲』
 演奏の機会は無いに等しく、レスリー・ハワードのリスト全集にのみ収録されている。

『ラ・カンパネラ』の主題と『ヴェニスの謝肉祭』の主題が交代で現れる。『ラ・カンパネラ』の主題を扱った部分は、『大幻想曲』と共通したものと新たに作曲された部分がともに含まれる。

 1845年の改作のようですが、今は演奏されることがほとんどないようです……

 レスリー・ハワード(1948年4月29日 - )は、オーストラリアのピアニスト。メルボルン出身。
 フランツ・リストのピアノ作品全曲録音集を残したことで有名。録音技術が確立してから今日(2016年)まで、ハワードしか録音を残していない曲が数多くある。他にも、現在安定して入手できる音源として存在している録音は彼のものだけ、という曲も多くある為に彼のリスト全曲録音集は資料として非常に価値のある貴重なものである。

 
『ヴェニスの謝肉祭』は、ナポリ民謡をもとにニコロ・パガニーニが1829年に作曲したヴァイオリン用の変奏曲。



『パガニーニのラ・カンパネラとヴェニスの謝肉祭の主題による大幻想曲』は、コンピューター演奏さえないと思ったら、見つけました。

https://youtu.be/yhpI2l3NylY?si=x8VsHmCLfgDcp9Oe
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