第50話 裸…、見て下さい

文字数 591文字

 荒井さん、帰る間際に、アドレス書いた紙をそっと僕に握らせ、耳元で、“今度二人で飲みに行こ”って囁いた。
 一瞬、ビクッ、としたけど、
 はい、喜んで!って即答。

 あの荒井さんにナンパされた!
 もちろん行きます! 
 後で速攻返信しよ。

 僕も、みんなと荒井さんたちを見送った。荒井さんに手を振る。すると意味深な目配せを返してくれた。
 何だろ?
 でも、とりあえずここは…
 やったね!



 見送ると直ぐに、みんなは銘々に後片付けを始めた。僕はさっさと着替えなきゃ…、なのに、ただボンヤリと突っ立って、みんなが片付ける様子を眺めていた。もう既に荒井さんのお誘いの件は頭に無かった。
 その代わり、ある思いに耽っていた。

 一度聞いてみたかったことがある。
 でも、誰にも聞く勇気が無かった。
 聞くなら、ここにいるみんなだ。
 そして、今このタイミングだろう。

 よし、決めた!

「ねえ、みんな、ちょっと聞いてほしいお願いがあるんだ。」

 僕は思い切ってみんなに向かって声を張り上げた。
 みんな、ん?ユウキにしちゃ珍しいな…どうしたの?ってな顔して振り向いた。物を運んでいた人もそれを下に置いて僕の方を見た。
 みんなの視線が一斉に僕に注がれる。

「変なこと、お願いするけど、ここにいるみんなだからこそ頼みたいことがあるんだ…」

 僕はみんなの方をしっかり見てこう言った。

「今から僕、この服脱ぐんで、裸…、見て下さい。」
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