第56話 シオン先輩に、キス

文字数 590文字

 それからシオン先輩は空になったコップを受け取ると、

「もう一杯持って来ようか?」

と言った。

「ううん。」

 僕はかぶりを振った。

「それよりさ…」

 僕は時々、感情に任せて自分でも訳の分からない行動に出ることがある。この時もそうだった。僕は立ち上がると、

「シオンちゃん、ありがとう。大好き…」

そう言ってシオン先輩にいきなり抱きついてキスしてやったんだ。両手で思いっきり顔引っ掴んで、唇にギュウッと唇押し当てて。

 シオン先輩びっくり
 みんなもびっくり
 なぜか僕まで…ビックリ…

 唇を離すとシオン先輩固まってた
 みんなは唖然
 僕は…エヘッ

 でもその後すぐ、

「なっ、なっ!見たろ?聞いたろ?ユウキ、俺にキスして、俺のこと大好きって言ったんだぜ!やっぱ、ユウキ、俺のこと好きなんだよ!ワハハハハ…」

なんて、シオン先輩大はしゃぎでみんなに吹聴して回ってた。

 失敗したあ…
 チョー嬉しそうな顔してる…
 逆に悪いことしちゃったかな…
 ま、いっかあ

 シオンちゃん、兵藤先輩にまでこれ見よがしに自慢してた。ユウキが好きなのはお前じゃなくて俺なんだぜ!って…。兵藤先輩のちょっと悲しそうな悔しそうな顔が印象的。

 一年男子たちは、ユウキちゃんズルいよ!俺たちにもキスしてよう!ってキス迫ってくるし、ヒナちゃんまで、キスして下さいよう!って唇とがらせて追っかけてくるし…

 で、みんなに唇奪われた…のでありました。

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