第14話 子どもに見せたい映画
文字数 1,625文字
「今度の映画って、秋の映画祭に出展するって話やけど、その映画祭のコンセプト、『子どもに見せたい映画』らしいな。」
「ええっ!そうなの?知らなかった…。じゃあ、僕なんかが主役じゃマズいんじゃない?」
僕は本気でうろたえた。
知らなかった…
そんな話聞いてないよ…
「そう言うと思った…
むしろ逆やろ。シオン先輩、何やかんや言って、ちゃんと考えてるなって思った。さっき言うたやん?お前が適役やって。」
どう返事していいか分からなかった。
なんでシオン先輩、それ教えてくんなかったんだろ…
「でも、お父さんお母さんたちが僕のこと知ったら、子どもに見せたいなんて思わないでしょ…。いや、見せたくないよね。だってお姫様って子どもたちの憧れじゃん…。なのに…
もし見せたら…、絶対隠さなきゃ!お姫様の正体なんて知ったらさ…」
「なんで隠さなあかんの?俺が親やったらむしろ見せたいと思うけどな。だってお前、メッチャ綺麗やん。」
えっ…
僕は憲斗の横顔を見つめた。
「子どもに、あのメッチャ綺麗なお姫様、男なんやぞって言うねん。そしたらどんなリアクションするかな?」
憲斗は真顔だった。
「お前さあ、何か悪いことしてんの?もしお前が男って理由で子どもに見せたないんやったら、最初っから見せんかったらええだけやん。子どもに言うか言わんかもそいつの勝手やろ。それだけのことや。
さっきお前も言うてたやん。自分はもうこうでしかあり得ないって。だから受け入れてるって。お前のそういうところに周りも惹かれてるんやで。そやのに、お前、意外なところでブレるな…」
それから少し間を置いてこう言った。
「お前が男って聞いてガッカリする子なんかおらんやろ。おったらアホや。みんなすごい興味もつわ。大人の変な興味やなくて、子どもなりに感じるもの、いろいろあるんやないかな。
お前、普段はポケーッとした感じやのに、舞台に立つと、なんか変わるもんなあ…。変に神々しいオーラ発してるやん。でも、雰囲気は優しいまんまやからええ感じになるねん…」
憲斗はそう言って笑った。
うーん
神々しいか…
「確かに憲斗が言うとおり、僕はまだブレっぱなしなんだ。受け入れてるとか偉そうなこと言ってるけど、まだまだ全然受け入れられてない。人の目だって、気になって気になって仕方ないし…。このどっちでもない自分が心底イヤになる時って、今でもあるんだ。
憲斗みたいに、誰が見ても男っていう男に生まれたかったな…って、しょっちゅう考えてしまう。」
「そらブレるやろな。俺も言い方悪かったけど、お前がいろんなこと抱えてるのは分かってる。ブレるなって言う方が無理やと思う。
でも、お前、普段そういう様子あんまり見せんし、少なくとも見せんようにしてるところがすごいなって思うねん。ちょっとビクビクしてるのは分かるけど…。
まあでも…ビクビクもするわな。今日の杏先輩みたいにイランこと言う奴出てくるし…。俺には無理や。お前、すごいよ。」
それからまた僕を見て言った。
「お前、男でも女でもないんやなくて、どっちの気持ちにも立てるからええんやで。男にも女にもええ顔せんと普通に溶け込めるし、どっちに対しても優しいから、どっちからも好かれてる。
見た目めっちゃ綺麗やのに、特別そういうのアピールしてる様子もないしな。むしろめっちゃ自然で天然やから、男にも女にもファン多いねん。
お前が男か女かなんて全然気にならんわ。ただ、男やのに女の魅力の方が際立つから、最初はみんな違和感覚えるねん。要するに、みんな…、羨ましいだけやねん。」
僕も憲斗を見つめた。
「ありがとう…。羨ましいか…、考えたことも無かったな…
でも、天然っていうの以外は褒めすぎだけどね。」
「うん、だいぶ盛ってる…」
「なんだよ、それ!」
とりあえず憲斗に本音を言えて、憲斗の考えも聞けたから良かった。
最初かなり焦ったけど、憲斗と話してるうちに、だんだんホッとした気持ちになってきた。
「ええっ!そうなの?知らなかった…。じゃあ、僕なんかが主役じゃマズいんじゃない?」
僕は本気でうろたえた。
知らなかった…
そんな話聞いてないよ…
「そう言うと思った…
むしろ逆やろ。シオン先輩、何やかんや言って、ちゃんと考えてるなって思った。さっき言うたやん?お前が適役やって。」
どう返事していいか分からなかった。
なんでシオン先輩、それ教えてくんなかったんだろ…
「でも、お父さんお母さんたちが僕のこと知ったら、子どもに見せたいなんて思わないでしょ…。いや、見せたくないよね。だってお姫様って子どもたちの憧れじゃん…。なのに…
もし見せたら…、絶対隠さなきゃ!お姫様の正体なんて知ったらさ…」
「なんで隠さなあかんの?俺が親やったらむしろ見せたいと思うけどな。だってお前、メッチャ綺麗やん。」
えっ…
僕は憲斗の横顔を見つめた。
「子どもに、あのメッチャ綺麗なお姫様、男なんやぞって言うねん。そしたらどんなリアクションするかな?」
憲斗は真顔だった。
「お前さあ、何か悪いことしてんの?もしお前が男って理由で子どもに見せたないんやったら、最初っから見せんかったらええだけやん。子どもに言うか言わんかもそいつの勝手やろ。それだけのことや。
さっきお前も言うてたやん。自分はもうこうでしかあり得ないって。だから受け入れてるって。お前のそういうところに周りも惹かれてるんやで。そやのに、お前、意外なところでブレるな…」
それから少し間を置いてこう言った。
「お前が男って聞いてガッカリする子なんかおらんやろ。おったらアホや。みんなすごい興味もつわ。大人の変な興味やなくて、子どもなりに感じるもの、いろいろあるんやないかな。
お前、普段はポケーッとした感じやのに、舞台に立つと、なんか変わるもんなあ…。変に神々しいオーラ発してるやん。でも、雰囲気は優しいまんまやからええ感じになるねん…」
憲斗はそう言って笑った。
うーん
神々しいか…
「確かに憲斗が言うとおり、僕はまだブレっぱなしなんだ。受け入れてるとか偉そうなこと言ってるけど、まだまだ全然受け入れられてない。人の目だって、気になって気になって仕方ないし…。このどっちでもない自分が心底イヤになる時って、今でもあるんだ。
憲斗みたいに、誰が見ても男っていう男に生まれたかったな…って、しょっちゅう考えてしまう。」
「そらブレるやろな。俺も言い方悪かったけど、お前がいろんなこと抱えてるのは分かってる。ブレるなって言う方が無理やと思う。
でも、お前、普段そういう様子あんまり見せんし、少なくとも見せんようにしてるところがすごいなって思うねん。ちょっとビクビクしてるのは分かるけど…。
まあでも…ビクビクもするわな。今日の杏先輩みたいにイランこと言う奴出てくるし…。俺には無理や。お前、すごいよ。」
それからまた僕を見て言った。
「お前、男でも女でもないんやなくて、どっちの気持ちにも立てるからええんやで。男にも女にもええ顔せんと普通に溶け込めるし、どっちに対しても優しいから、どっちからも好かれてる。
見た目めっちゃ綺麗やのに、特別そういうのアピールしてる様子もないしな。むしろめっちゃ自然で天然やから、男にも女にもファン多いねん。
お前が男か女かなんて全然気にならんわ。ただ、男やのに女の魅力の方が際立つから、最初はみんな違和感覚えるねん。要するに、みんな…、羨ましいだけやねん。」
僕も憲斗を見つめた。
「ありがとう…。羨ましいか…、考えたことも無かったな…
でも、天然っていうの以外は褒めすぎだけどね。」
「うん、だいぶ盛ってる…」
「なんだよ、それ!」
とりあえず憲斗に本音を言えて、憲斗の考えも聞けたから良かった。
最初かなり焦ったけど、憲斗と話してるうちに、だんだんホッとした気持ちになってきた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
(ログインが必要です)