第36話 ドタキャン
文字数 1,426文字
「取り巻きってほどじゃないけど、一人、僕のことスゴい慕ってくれる女の子がいたんだ。
小っちゃくてとっても可愛い子なんだけど、人見知り激しい子でね、相手が初めて話す子だったり、ちょっと強く言う子だったりすると、もう何も話せなくなるんだ。
可愛いから男子からも人気ありそうなんだけど、おとなしすぎてまったく振り向かれない目立たない子。
いつもオドオドしてて、常に人の顔色うかがいながら行動してる感じで、それがかえって周りをイラッとさせるみたい。」
「いますね、そういう子…。」
「うん…。その子とはクラスも部活も一緒だったんだ。
最初ほとんど話さなかったんだけど、部員少なかった上に、制作作業ずっと一緒にやってたから段々話すようになった。
話し始めると意外と紅潮して熱心に話すんだ。本とか音楽とかいっぱい知ってて。」
「へえ」
「その子ね…、僕にそっくりだったんだ。」
「そっくりって…」
「性格もかもしれないけど…、何よりも顔。」
「ええっ、じゃあ、メッチャ可愛い子だったんですね。」
「それは分かんないけど…、ただ、僕から見てもよく似てるなって思った。一緒にいると、姉妹?とか言ってからかわれた。僕、それがとっても嫌だったんだ…
その子、ほとんど友だちいないから、僕に近づいて来るようになったの。部活の時に話した本とか漫画や音楽の話をしに。こないだユウキ君が言ってた本読んでみたよ…とか言って、休み時間に寄ってきたりするんだ。
最初は楽しく話してたんだけど、変な姉妹がヤケに盛り上がってる、みたいな陰口や笑いが段々耳に入ってきて…
僕も気にしなきゃいいのに、すっごい気にしてさ…、バカだよね…、何の見栄だろ、自分が嫌んなるよ…
おまけにさ、人前では冷たくあしらうようになって。僕以上に気が弱い子だったから、そのうち寄って来なくなったけどね。
でも、僕、人の目を気にしなくていい部室なんかでは、僕の方から寄ってって話しかけてたんだ。最低だよね…」
「まあ、どっちの気持ちも分かる気はしますけど…。高校生ですしね。」
「でもね、ある日、最悪のことやっちゃったんだ。」
「最悪のこと…ですか?」
「うん…。ある映画の話で盛り上がってね、次の日曜日、その子と一緒にそれを観に行く約束をしたんだ。
だけど、その日の朝、ある男子から遊びの誘いを受けてさ…、あっ、その子、例のイケメングループの一人なんだ。たまたま人数の埋め合わせに僕が呼ばれただけなんだけど、彼から誘ってもらったのが嬉しくて、そっちの誘いに二つ返事で乗っちゃった。映画は突然のドタキャン。
行ってみると、ただ男4人、女4人で、何やるでもなくダラダラとプリクラ撮ったり、カラオケしたりするだけ。人数4人ずつにするためだけに僕が呼ばれたんだけど…、そもそも人数同じにする必要あんのかどうかも分かんないダサい集まりで、しかも最後に男の帳尻合わせで呼ばれたのが僕でしょ?女の子からすると、ええっ!て感じなんだよ。何でよりによってこいつ?みたいな…」
「そうなんですか…。私ならここぞとばかりにユウキ先輩独り占めしちゃいますけど…、ツラいですよね、それ…。」
「うん。ちっとも楽しくなかった…。そのうち二組は本物のカップルだから、残りの女の子二人は露骨にもう一人の男の子目当てだもん。そいつが僕を誘ったんだけど、多分最初からそうなるように僕誘ったんだって分かった。まあ、自業自得なんだけどね…。
しかも、もっと悪いことが起きたんだ…。」
小っちゃくてとっても可愛い子なんだけど、人見知り激しい子でね、相手が初めて話す子だったり、ちょっと強く言う子だったりすると、もう何も話せなくなるんだ。
可愛いから男子からも人気ありそうなんだけど、おとなしすぎてまったく振り向かれない目立たない子。
いつもオドオドしてて、常に人の顔色うかがいながら行動してる感じで、それがかえって周りをイラッとさせるみたい。」
「いますね、そういう子…。」
「うん…。その子とはクラスも部活も一緒だったんだ。
最初ほとんど話さなかったんだけど、部員少なかった上に、制作作業ずっと一緒にやってたから段々話すようになった。
話し始めると意外と紅潮して熱心に話すんだ。本とか音楽とかいっぱい知ってて。」
「へえ」
「その子ね…、僕にそっくりだったんだ。」
「そっくりって…」
「性格もかもしれないけど…、何よりも顔。」
「ええっ、じゃあ、メッチャ可愛い子だったんですね。」
「それは分かんないけど…、ただ、僕から見てもよく似てるなって思った。一緒にいると、姉妹?とか言ってからかわれた。僕、それがとっても嫌だったんだ…
その子、ほとんど友だちいないから、僕に近づいて来るようになったの。部活の時に話した本とか漫画や音楽の話をしに。こないだユウキ君が言ってた本読んでみたよ…とか言って、休み時間に寄ってきたりするんだ。
最初は楽しく話してたんだけど、変な姉妹がヤケに盛り上がってる、みたいな陰口や笑いが段々耳に入ってきて…
僕も気にしなきゃいいのに、すっごい気にしてさ…、バカだよね…、何の見栄だろ、自分が嫌んなるよ…
おまけにさ、人前では冷たくあしらうようになって。僕以上に気が弱い子だったから、そのうち寄って来なくなったけどね。
でも、僕、人の目を気にしなくていい部室なんかでは、僕の方から寄ってって話しかけてたんだ。最低だよね…」
「まあ、どっちの気持ちも分かる気はしますけど…。高校生ですしね。」
「でもね、ある日、最悪のことやっちゃったんだ。」
「最悪のこと…ですか?」
「うん…。ある映画の話で盛り上がってね、次の日曜日、その子と一緒にそれを観に行く約束をしたんだ。
だけど、その日の朝、ある男子から遊びの誘いを受けてさ…、あっ、その子、例のイケメングループの一人なんだ。たまたま人数の埋め合わせに僕が呼ばれただけなんだけど、彼から誘ってもらったのが嬉しくて、そっちの誘いに二つ返事で乗っちゃった。映画は突然のドタキャン。
行ってみると、ただ男4人、女4人で、何やるでもなくダラダラとプリクラ撮ったり、カラオケしたりするだけ。人数4人ずつにするためだけに僕が呼ばれたんだけど…、そもそも人数同じにする必要あんのかどうかも分かんないダサい集まりで、しかも最後に男の帳尻合わせで呼ばれたのが僕でしょ?女の子からすると、ええっ!て感じなんだよ。何でよりによってこいつ?みたいな…」
「そうなんですか…。私ならここぞとばかりにユウキ先輩独り占めしちゃいますけど…、ツラいですよね、それ…。」
「うん。ちっとも楽しくなかった…。そのうち二組は本物のカップルだから、残りの女の子二人は露骨にもう一人の男の子目当てだもん。そいつが僕を誘ったんだけど、多分最初からそうなるように僕誘ったんだって分かった。まあ、自業自得なんだけどね…。
しかも、もっと悪いことが起きたんだ…。」
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