第8話 イケメン戦士クンとの抱擁
文字数 1,118文字
荒涼とした平原の向こうには、戦いで瓦礫と化した町。そこには何本もの煙が立ち上り、静かに揺れている。そんなCGによるリアルな映像が背後に映し出されている。
二人を追いかけてきた “妹”の僕。
ハアハア息を切らせながら、二人の前にミニスカート姿で片足立ててひざまづく。
その姿がめっちゃエロかった、って誰かが喜んでたけど、やっぱ男ってアホだよね。まあ、女の先輩にも同じこと言われたけど…
「俺は姫とこの国を出る。どこまでも姫を守り抜くつもりだ。」
「わたしは…」
「済まない…。お前を連れてはいけない…。お前は残って、この国をもう一度建て直して欲しい。」
「……分かっているわ。でも、兄さん…、ヒメを…、ヒメを必ず幸せにするって約束して!そして兄さんも…、どうかお幸せに…。いつかきっと…」
そう言って立ち上がると、僕はサカキ先輩に駆け寄って、両手を首に回して思いっ切り抱きつく。
そう、首だよ、首!
胸元じゃないんだ。
サカキ先輩と頬が触れるんだ。
場内、いきなり大歓声。
いろんな悲鳴がてんこ盛り。
サカキ先輩は180センチ以上もある長身で、僕とは20センチ近くの差がある。おまけに体格は筋肉質で、鍛え抜かれた細マッチョ。肩幅だってボクとは全然違う。明らかに男の体だ。男ってホントはこんなにガタイいいんだってあらためて驚く。
何度もこのシーンの練習はやったけれど、実際に抱き合うのは今回が初めてだった。まあ、これにはいろいろ訳があるんだけど…
簡単に言うと、プリンセスの杏先輩は独占欲が強すぎて、演技でさえ、サカキ先輩が目の前で女性と抱き合うのを嫌がった。それで、スッタモンダの末に、妹役が僕に回ってきたってわけ。
ただ、それにしてもシオン先輩、最初から妙に僕を推してたのが気になったけど…
だけどさ、僕からすりゃ、じゃあ、僕ならいいんかい!って話だよね。それがね…、要するにいいみたいなの…。なぜって…、それは聞かないでほしい…。
ただ、僕でさえ杏先輩の前では遠慮せずにいられなかったんだ。
まあ、そうは言っても、知らなきゃ、男どうしが抱き合ってるようには見えないだろうね。
僕はと言えば、パッカリ後ろの開いた服から華奢な背中を観客に思いっきり披露して、背伸びしながら、サカキ先輩のたくましい腕で腰と肩を抱かれている。しかも純白の裾のミニスカートからは、真っ白で細くて長い足(…とよく言われる)をみんなの前に晒している。
ちょっとした背徳感がみんなの興奮をくすぐるんだろね、きっと。
男子諸君も、女の子たちも、まったく…
困ったものだ…
とにもかくにも、悲鳴のような歓声はずっと耳に届いていた。なんとなく、杏先輩の冷たい視線を感じながらも…
二人を追いかけてきた “妹”の僕。
ハアハア息を切らせながら、二人の前にミニスカート姿で片足立ててひざまづく。
その姿がめっちゃエロかった、って誰かが喜んでたけど、やっぱ男ってアホだよね。まあ、女の先輩にも同じこと言われたけど…
「俺は姫とこの国を出る。どこまでも姫を守り抜くつもりだ。」
「わたしは…」
「済まない…。お前を連れてはいけない…。お前は残って、この国をもう一度建て直して欲しい。」
「……分かっているわ。でも、兄さん…、ヒメを…、ヒメを必ず幸せにするって約束して!そして兄さんも…、どうかお幸せに…。いつかきっと…」
そう言って立ち上がると、僕はサカキ先輩に駆け寄って、両手を首に回して思いっ切り抱きつく。
そう、首だよ、首!
胸元じゃないんだ。
サカキ先輩と頬が触れるんだ。
場内、いきなり大歓声。
いろんな悲鳴がてんこ盛り。
サカキ先輩は180センチ以上もある長身で、僕とは20センチ近くの差がある。おまけに体格は筋肉質で、鍛え抜かれた細マッチョ。肩幅だってボクとは全然違う。明らかに男の体だ。男ってホントはこんなにガタイいいんだってあらためて驚く。
何度もこのシーンの練習はやったけれど、実際に抱き合うのは今回が初めてだった。まあ、これにはいろいろ訳があるんだけど…
簡単に言うと、プリンセスの杏先輩は独占欲が強すぎて、演技でさえ、サカキ先輩が目の前で女性と抱き合うのを嫌がった。それで、スッタモンダの末に、妹役が僕に回ってきたってわけ。
ただ、それにしてもシオン先輩、最初から妙に僕を推してたのが気になったけど…
だけどさ、僕からすりゃ、じゃあ、僕ならいいんかい!って話だよね。それがね…、要するにいいみたいなの…。なぜって…、それは聞かないでほしい…。
ただ、僕でさえ杏先輩の前では遠慮せずにいられなかったんだ。
まあ、そうは言っても、知らなきゃ、男どうしが抱き合ってるようには見えないだろうね。
僕はと言えば、パッカリ後ろの開いた服から華奢な背中を観客に思いっきり披露して、背伸びしながら、サカキ先輩のたくましい腕で腰と肩を抱かれている。しかも純白の裾のミニスカートからは、真っ白で細くて長い足(…とよく言われる)をみんなの前に晒している。
ちょっとした背徳感がみんなの興奮をくすぐるんだろね、きっと。
男子諸君も、女の子たちも、まったく…
困ったものだ…
とにもかくにも、悲鳴のような歓声はずっと耳に届いていた。なんとなく、杏先輩の冷たい視線を感じながらも…
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