第15話 大阪行き

文字数 936文字

「合宿終わったらちょっと休みになるから、俺は、実家に帰ろと思ってる。」

「憲斗って大阪だよね。良いなぁ…」

 僕の実家も東京からは西だけど大阪よりはずっとずっと手前。東京の方が遥かに近い。大阪は未知の世界だ。

「大阪って面白そうだね。」

「大阪行ったことないの?」

「うん。京都は二回ほど行ったことあるけど、大阪は無いんだ。」

「そうなんや。大阪オモロイとこやで!
 そうや…ユウキ、合宿終わってから大阪来たらええやん。俺んち泊まりや。うるさい姉貴おるけど、絶対すぐ打ち解けるわ。」

「えっ、いいの?そうだね。それも良いかもね。」

 本当にそれも良いかもと思った。ちょっと京都や大阪まで足を伸ばして、それから実家に戻るのも良いかもしれない。せっかくの夏休みだし。

「憲斗、大阪案内してくれるの?」

「当たり前や!」

「そっか。だったら本当に泊めてもらおっかな。まだ予定分かんないけど、できるだけ憲斗の都合に合わせられるように考えとくね。
 でも…、憲斗ん家、僕が行って大丈夫?」

「ん?どういう意味…」

「いや…、またさっきの話になっちゃうけど、やっぱ、嫌がる人っていると思うから…」

 憲斗はチラッと僕の顔を見ると、少し間を置いてからこう言った。

「うちはみんなユウキのこと、よう知ってるで。
 俺がユウキと仲良いっていう話、家族にしてるし、写真も見せたことあるねん。そしたら姉貴がめっちゃユウキに会いたがってたわ。母親もユウキ来る言うたら喜ぶやろ。うちは間違いなく大歓迎やわ。」

「ありがとう。じゃあ、そういうつもりで考えとくね。」

 そうなんだ…。憲斗、僕の話、家族の人にもしてるんだね。
 憲斗は言葉の選び方をすごく気遣ってくれる。一緒にいて安心して話ができる。多分僕だけにそうなんじゃなくて、誰に対してもなんだろう。女の子にモテるのも分かる。

 そうなると、俄然、大阪行きが楽しみになってきた。憲斗と二人、大阪デート?っていうのも何だか不思議な気がするけど、憲斗となら楽しそう。合宿をやり終えた後、直ぐに大阪行きなら、合宿にも気合入りそうだし。
 よし、バイトと合宿頑張って、今年の夏は大阪行こ!

「予定分かったら教えてね!僕もできるだけ憲斗に合わせるようにするから。」

「おう、分かった。家族にも言うとくわ。」
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