第30話
文字数 1,845文字
「……!? 人間が居るのか」
「うわっ、ビックリした。俺達の他に人間が居るなんて」
「……ちょっと待って、こいつ見た事があるわ」
「確かに……おい、アンタ名前は?」
「俺? 俺はレシアだ」
「レシア……知らない」
「気の所為じゃないか? ああ、俺はゴットル」
「私はラベンダーよ」
ゴットルとラベンダー。始めて見る顔だが……
「見ない顔だな。お前達もアサシンなのか?」
「いや、俺達はハンターだ」
「…レシアはアサシンなの?」
「いや、もう辞めてる。元アサシンだ」
「じゃあ、レッド・アサシンって知ってるか?」
「ああ、あれは俺のアサシン時代のコードネームだ」
「え……」
急に場が凍り付いた。
「え?」
ひょんな事からハンター2人と戦う事になってしまった。連携攻撃に戦い難さを感じながらも、自力で勝っているレシアは2人を追い詰める。
隙を突いて、ゴットル・ラベンダーの順に打ち倒した。
「ぐっ、ラベンダー。大丈夫か」
「く……何とか」
「どうやら俺の勝ちみたいだな」
「ふざけるな。まだ終わっていない」
「私達は死ぬまで諦めないわ」
「おいおい……無駄に命を粗末にする必要は無いだろ?」
「確かにお前は強かった。俺達の想像以上だ。だからと言って、簡単に諦める訳にもいかない」
「先に進むのなら私達を殺していくのね」
これほどまでに家族の絆は強い物だろうか。もしかしたら傍から見ればレシアも同じ様な物なのかもしれない。ゴットルとラベンダーが仇のレシアに執着する様に、レシアもまた仇のアサシンに執着しているのだ。
「俺は…………」
どうするべきなのか。別にここで意味も無い殺しを行う必要は無い。ただ、今見逃したとしたらどうなる? この地下迷宮を進んでいく途中でまた戦いになるかもしれない。その度に同じことを繰り返すのはリスクも高い。それならばここで決着を着けておいた方が良いのだろうか?
「さあ、続きをやるぞ!」
レシアにもやるべき事はある。今後のリスクを減らす事は無意味では無いのかもしれない。この2人には礎となって貰うべきだろうか。
「…………」
また来た。
既視感。
2人を殺した後を考える。恐らくバダグと決戦になるだろう。ハッキリ言って、勝てるかどうかは分からない。むしろ、勝てない可能性が大きいだろう。さっきだって中断されていなければ、そのまま殺られてしまっただろう。
2人を殺さなければどうだ?バダグと決戦するとしたら、結末は変わらない。地下迷宮を抜ける前にこの2人に後ろから襲われてしまう可能性すらある。
やっぱり、不安の芽を摘んでしまった方が良いのだろうか? しかしこいつ等は俺が殺したスウァムの子供達だ。何となく心情的には殺したくは無いんだが……
「あ、そうか」
1つの方法を思い付いた。上手くいくかどうかは別問題だが、試してみるのは良いかもしれない。
剣を仕舞う。
「なあ、2人に頼みがあるんだ」
「……頼み?」
「俺が言えた義理でも無いし、そもそもいう資格すら無いかもしれない。でも敢えて言うよ」
「な、何を……」
「俺を助けて欲しい。お前達に俺の手助けをして欲しいんだ」
「どういう事なんだ?」
「俺はどうしてもバダグを倒さないといけない。でも、今の俺ではバダグに勝つ事は非常に難しい。実際に負けてこの地下迷宮に落とされてしまっているしな」
「バダグって、アサシン本部長の?」
「ああ」
「でも何でレッド・アサシンが?」
「実は、俺は昔アサシンに自分の村を滅ぼされているんだ。生き残ったのはその時に狩りに出ていて村に居なかった俺。そして村人に地下の食糧庫に匿われたナーダの2人だけだ」
「アサシンに……村を? アサシンなのに?」
「その頃はアサシンじゃ無かったからな。だから俺はアサシンの内部情報を探る為に、敢えてアサシンになった。情報を集めて村の仇のアサシンを見付けて、仇を取る為だな」
「……」
「でもナーダがアサシンのターゲットになってしまって、俺はナーダを守る為にアサシンを抜けた。本当に最近の事だけどな。でも最終的にナーダは殺されてしまった。ナーダの殺害を依頼したのがバダグなんだ」
「何でバダグはナーダを?」
「分からない。その理由もバダグには聞かないといけない。でもナーダの仇を取る為にアサシン本部に乗り込んだんだけど、バダグに敗れてしまってな。戦いの最中に、この地下迷宮に落ちてしまったんだ」
「じゃあ、父を殺したのは……?」
一瞬、黙ってしまう。
「スウァム・トルレスを殺害したのは……間違いなく俺だ。俺がお前達の仇というのは真実だ」
「……」
「うわっ、ビックリした。俺達の他に人間が居るなんて」
「……ちょっと待って、こいつ見た事があるわ」
「確かに……おい、アンタ名前は?」
「俺? 俺はレシアだ」
「レシア……知らない」
「気の所為じゃないか? ああ、俺はゴットル」
「私はラベンダーよ」
ゴットルとラベンダー。始めて見る顔だが……
「見ない顔だな。お前達もアサシンなのか?」
「いや、俺達はハンターだ」
「…レシアはアサシンなの?」
「いや、もう辞めてる。元アサシンだ」
「じゃあ、レッド・アサシンって知ってるか?」
「ああ、あれは俺のアサシン時代のコードネームだ」
「え……」
急に場が凍り付いた。
「え?」
ひょんな事からハンター2人と戦う事になってしまった。連携攻撃に戦い難さを感じながらも、自力で勝っているレシアは2人を追い詰める。
隙を突いて、ゴットル・ラベンダーの順に打ち倒した。
「ぐっ、ラベンダー。大丈夫か」
「く……何とか」
「どうやら俺の勝ちみたいだな」
「ふざけるな。まだ終わっていない」
「私達は死ぬまで諦めないわ」
「おいおい……無駄に命を粗末にする必要は無いだろ?」
「確かにお前は強かった。俺達の想像以上だ。だからと言って、簡単に諦める訳にもいかない」
「先に進むのなら私達を殺していくのね」
これほどまでに家族の絆は強い物だろうか。もしかしたら傍から見ればレシアも同じ様な物なのかもしれない。ゴットルとラベンダーが仇のレシアに執着する様に、レシアもまた仇のアサシンに執着しているのだ。
「俺は…………」
どうするべきなのか。別にここで意味も無い殺しを行う必要は無い。ただ、今見逃したとしたらどうなる? この地下迷宮を進んでいく途中でまた戦いになるかもしれない。その度に同じことを繰り返すのはリスクも高い。それならばここで決着を着けておいた方が良いのだろうか?
「さあ、続きをやるぞ!」
レシアにもやるべき事はある。今後のリスクを減らす事は無意味では無いのかもしれない。この2人には礎となって貰うべきだろうか。
「…………」
また来た。
既視感。
2人を殺した後を考える。恐らくバダグと決戦になるだろう。ハッキリ言って、勝てるかどうかは分からない。むしろ、勝てない可能性が大きいだろう。さっきだって中断されていなければ、そのまま殺られてしまっただろう。
2人を殺さなければどうだ?バダグと決戦するとしたら、結末は変わらない。地下迷宮を抜ける前にこの2人に後ろから襲われてしまう可能性すらある。
やっぱり、不安の芽を摘んでしまった方が良いのだろうか? しかしこいつ等は俺が殺したスウァムの子供達だ。何となく心情的には殺したくは無いんだが……
「あ、そうか」
1つの方法を思い付いた。上手くいくかどうかは別問題だが、試してみるのは良いかもしれない。
剣を仕舞う。
「なあ、2人に頼みがあるんだ」
「……頼み?」
「俺が言えた義理でも無いし、そもそもいう資格すら無いかもしれない。でも敢えて言うよ」
「な、何を……」
「俺を助けて欲しい。お前達に俺の手助けをして欲しいんだ」
「どういう事なんだ?」
「俺はどうしてもバダグを倒さないといけない。でも、今の俺ではバダグに勝つ事は非常に難しい。実際に負けてこの地下迷宮に落とされてしまっているしな」
「バダグって、アサシン本部長の?」
「ああ」
「でも何でレッド・アサシンが?」
「実は、俺は昔アサシンに自分の村を滅ぼされているんだ。生き残ったのはその時に狩りに出ていて村に居なかった俺。そして村人に地下の食糧庫に匿われたナーダの2人だけだ」
「アサシンに……村を? アサシンなのに?」
「その頃はアサシンじゃ無かったからな。だから俺はアサシンの内部情報を探る為に、敢えてアサシンになった。情報を集めて村の仇のアサシンを見付けて、仇を取る為だな」
「……」
「でもナーダがアサシンのターゲットになってしまって、俺はナーダを守る為にアサシンを抜けた。本当に最近の事だけどな。でも最終的にナーダは殺されてしまった。ナーダの殺害を依頼したのがバダグなんだ」
「何でバダグはナーダを?」
「分からない。その理由もバダグには聞かないといけない。でもナーダの仇を取る為にアサシン本部に乗り込んだんだけど、バダグに敗れてしまってな。戦いの最中に、この地下迷宮に落ちてしまったんだ」
「じゃあ、父を殺したのは……?」
一瞬、黙ってしまう。
「スウァム・トルレスを殺害したのは……間違いなく俺だ。俺がお前達の仇というのは真実だ」
「……」