第4話

文字数 1,959文字

 この洞窟には魔物が生息している。そんなに強い魔物では無いので、アサシンの入社試験に使われる事もあるのだ。他にも暇を持て余したヤツが修行の為に来る事もある。


「何で俺まで……」
「良いだろ、別に」
「少しくらいは部下に付き合いなさい」
「お前たち、俺を上司と見てないよな?」


 とは言え、流石はアサシン本部長。現れる魔物を簡単に殴り倒していく。バダグの武器は拳に着けたセスタスだ。何と言えば良いのか……メリケンサックみたいな物がグローブに着いた様な物だ。拳に装着し、それで殴るんだ。


「相変わらず恐ろしい強さだな。こいつ最強じゃないか?」
「そうかもね。私達2人でも勝てるかどうか」




 暫くは魔物狩りに時間を費やした。色々と洞窟を見回っていると、奥の方で1本の変な剣が落ちていた。


「何だこれ……剣なのか?」


 長剣の様だったが、上部には小さな銃口もある。引き金もある。でもそれ以外は間違いなく剣だった。


「これ……ガンブレードって武器ね」
「ガンブレード? 銃……剣?」
「こいつは珍しいね。銃付きの長剣だ。状態も悪くなさそう……いや、銃の部分が壊れてるみたいだ」

「シリンダー(弾を込める部品)とか無いんだけど?」
「これは魔導武器って呼ばれる物ね。魔力を込めて銃を撃つらしいわ。その爆発させた魔力で攻撃力を一瞬だけ上げられるハズよ」
「魔力の入れ方によっては気弾を撃ち込んだりも出来るんだよね」
「多分ね。私もあまり詳しい事は知らないわ」


 ガンブレードを拾い上げる。刀身はまだまだ綺麗で、そのまま使う事も出来そうだった。確かに銃の部分が外れている様に見える。


「よく分からんが貰っておくか。もしかしたら高く売れるかもしれん」
「使わないの?」
「まあ、昔からダガーばかり使っているからな」


 思ったよりは重たく無かった。魔導武器って位だ、変わった金属で出来ているのかもしれないな。




「よし、もうこれ位で修行は良いだろう。打ち上げしよう」
「そろそろお腹も空いてきたわね。で、打ち上げって?」
「レッドの家で焼肉しよう」
「おい、ふざけんな。匂いが充満してしまうだろうが」

「だからレッドの家でやるんだろ」
「了解。じゃあ買い物をしてから行きましょう」
「こいつら……」




 買い物をしてレッドの家に戻ると、何故か明かりが点いていた。勿論、家を出る時に点けてはいない。




「……おい」
「ええ、複数人の気配がするわね。」
「泥棒かな? 警察団呼ぼうか?」
「警察団に通報するアサシンが居るか。行くぞ」


 静かにドアへ向かう。間違いなく人が居る。少しだけドアを開けて中を伺う。敵は5人……知らないヤツばかり、ほどほどに重装している。


「取り敢えず一気に突っ込んで1人1殺かな。そうしたら後が楽になる」
「そうだな。だが俺の家だ。あまり汚すなよ?」
「1番汚しそうなのアンタだけどね」




 なるべく音がしない様にして一気に家に攻め込んだ。まだ誰も気づいてはいない。

 まずバダグが1人に後ろから組み付いた。頭を掴んで一瞬の内に相手の首を折る。レッドも一息で敵の首元を切断する。他の3人が気付いた辺りで、ブルーが死角から近付き、敵の心臓をダガーで貫いた。


「取り敢えず、3人片付いたね」
「……早速、血塗れになりやがった……俺の家が……」
「油断しないの」

「く、見付かったのか」
「お前ら、俺の家を漁るなんて良い度胸だ。覚悟して貰うぞ」
「こうなったらやるしかない」


 敵は剣を振るって来た。レッドがダガーで受けた瞬間に、持っていたダガーが折れてしまう。


「うわ、長年の相棒が!?」
「もう、本部支給の剣は安物なんだから、半年に1度は変えなきゃ」
「今言うか……それ?」
「ちょっ、ケチみたいに言わないでくれ」


「よし、今がチャンスだ!」
「困ったな、魔法だけで乗り切れるか?」

「レッド、さっきのガンブレードを!」
「そ、そうか」


 レッドはガンブレードを装備した。


「う……やっぱり違和感がある。今まで使てったアサシンダガーの3倍はあるからな。……って、そんな事言ってられないか」
「文句言わないの」


 敵が迫って来ている。距離感が掴めないまま、レッドは剣を振るう。やっぱり見た目より軽い。偶然にも剣は敵を斬る事に成功した。


「く……まだ武器を隠し持っているなんて」
「今更後悔しても遅い」


 さっきの1撃で間合いはだいたい分かった。レッドはそのまま最後の1人に走り寄る。1撃目を受けられるが、腰を回しそのまま2撃目を敵の首に命中させた。敵は首から血を噴き出したまま数歩後退し、そのまま倒れた。



「終わったね。どうする? アサシン御用達の掃除屋を呼ぼうか?」
「ああ、頼む」
「血塗れね。シャワーだけ浴びて、ご飯は外に行きましょうか」
「ああ、頼む」



 シャワーで血を洗い流している間に、掃除屋が来たようだ。そのまま掃除を任せて3人は外に食べに行った。





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登場人物紹介

【レッド】

腕利きのアサシン。

とある目的の為にアサシンとなった彼は、その手を血に染めていく。

序盤はダガーを使用し、闇属性の魔法も使用可能。

【ブルー】

レッドの相棒であるアサシン。

金が好きで基本的に冷めた性格である。

どういった経緯でアサシンになったかは不明。

ダガーを使用し、風属性と水属性の魔法も使用可能。

【バダグ】

アサシン本部の部長。

普段はラフな喋り方だが、実力はアサシンでも最強クラス。

セスタスを装着し、格闘術を得意とする。

【ナーダ】

レッドの幼馴染。

とある場所で再会する。

杖を装備しており、光属性と回復の魔法が使用可能。

【シヴァ】

ハンター本部の部長。

エルフであり、魔力が高い。

長剣を使用し、無属性の魔法を使用可能。

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