第56話
文字数 2,265文字
「ふふふ……俺の攻撃を見切るとは中々やるじゃないか、レッド・アサシン」
霧隠れを開いたクラスタが姿を現した。
「あんだけ殺気を丸出しにされたら気付くよ、クラスタ」
「ふふふ……アサシンの中では有名なだけはあるな。たった3年の活動でここまできたのは素晴らしい。しかし、お前も所詮は無能な集団の1人にしか過ぎない」
「御託は良いよ。お前の考えなんかどうでも良い」
「ふふふ…威勢が良いのは結構。そうでなくては面白くない。しかしどこまで対抗できるかな。さて……どれ程の者か見せて貰おうか、レッド・アサシン。霧隠れ、開け!」
レシアとクラスタの間に急に何人ものアサシンが姿を現した。現れる瞬間に薄く霧のような物が漂った様に感じた。
「霧隠れの術。人や物を光の屈折を利用し隠す事が出来る」
「これで全員じゃ無いんだろ? 何人隠しているんだ?」
「ほう……また気配を読んだのか? 面白い、折角だ、全員だしてやろうか。開け!」
次々とアサシンが現れる。
「く……流石に多いな、これは」
「ふふふ……全部で23人のアサシンだ。レッド・アサシンと謳われたその力、じっくりと見せて貰おう」
「やるしかないか」
「レシア、下がれ。ボンバー!」
後ろからシヴァの声が聞こえた。レシアが後ろへ飛び退くと、アサシンに向かってシヴァの広範囲爆発魔法が炸裂した。
「この魔法……1回くらった事があったけど、こんなに強烈だったか? あの時は手を抜いてやがったな」
「建物の中だったし、あの時点でお前を殺す訳にはいかなかったからな」
「まあ良いか。ナーダ、シヴァの回復有難うな」
「うん!」
大半のアサシンはさっきの魔法で事切れていた。残るアサシンもレシアとシヴァで斬り倒す。
「……信じられん。こんな、まさか」
「残念だったな。お前の魂胆なんてお見通しなんだよ」
「ふふふ……これは流石に分が悪いな。悪いが逃げさせて貰う」
「させない、ボンバー!」
霧隠れをしようとしたクラスタに爆発魔法で牽制し、レシアが一気に斬り裂いた。
「バカな……」
「お前の出番はこれで終わりだ」
「ふふふ……まあ、相手がハンター本部長や有名なレッド・アサシンだ。悪くは……無い、か」
クラスタは息を止めた。これで不意打ちをされることも無い。
「レシア、ナーダ。助かった、今回は流石に殺られるかと思った」
「無事でよかったです」
「そうだな」
これでシヴァが生き残った。この状態であれば、仮にバダグを倒しても封印も何とか出来るだろう。もはやブラックの居るライトビルへ行く必要は無い。このままアサシン本部へ行こう。
「シヴァ、今からアサシン本部へ襲撃を掛ける。アサシン一掃作戦を少しだけ早めてくれ」
「それは構わないが……どうした?」
「いや、何となくな」
「……分かった。お前に助けて貰った命だ。何とかしよう」
「そう言えばハンター副本部長さんが居ないんだけど」
「ああ、彼は戦闘向きでは無いからな。あの体型を見れば分かるだろう?」
「ああ。控えめに言って……デブだな」
「多分そこら辺で息が切れて倒れてるよ。一応、魔法とかは得意な後方支援タイプではあるんだがな」
直ぐに集まれる者で編隊を組んでシヴァのテレポートでアサシン本部へ乗り込んだ。残りの者も順次、ハンター副本部長と共に乗り込んで来るらしい。
テレポートで着いた先は、アサシン本部長室だった。
「うわ……いきなりここか。テレポートって凄いんだな」
「な、ハンター共だと。それにレッド!?」
「レッド……アンタ何で?」
「ブルーも居たか。ちょうど良いな」
「どういう意味だ?」
「バダグ、今の状況は理解できるな? 沢山のハンター。そしてシヴァや俺。いくらお前でも勝てないぜ」
「それはやってみないと分からない」
「意地を張るな」
「そこで、だ。お前に相談がある」
「何だと?」
「俺は分かっている。お前やブルーがルーン村の事件に関わっている事も、封印しているヤツの事も」
「!?」
「だが、これは世界の危機に関する事になる。バダグ、ニサラレスをこのまま見殺しにする気は無いか?」
「……」
「お前には暫く、ニサラレスの影響が届かない位の場所へ行っていて貰う。そしてハンター側から封印を護るチームを作って対応して貰う。ニサラレスが死んだら、お前はまた戻って来ても良い」
「……本当に分かっているんだな」
「これを飲むのであればアサシンとハンターの争いは終わらせる。協力し合って1つの組織の違う部署、みたいな形でやっていこうと思っている」
「そんな事が……」
「出来るさ。お前とシヴァが手を組みさえすればな」
「……」
バダグは暫く黙っていた。
「バダグ、悪くは無いんじゃない?」
「ブルー?」
「どっちにしてもこのままじゃ、先は見えてたわ」
「……」
沈黙の後、バダグはとある宝石を取り出してレシアに渡した。
「これは?」
「これをお前に預ける。俺が戻ってくるまではアサシンに居ろ。そしてブルーをサポートするんだ。これが俺がその提案を飲む条件だ」
「じゃあ!」
「癪ではあるが、お前達の提案に乗ってやろう」
この瞬間に1つの新しい未来が出来たのかもしれない。
「分かった。預かっておく」
「これは魔力を増強させる効果もある。剣にでも括りつけておけ。しかし村の仇はもう諦めたんだな?」
「流石に世界と比べる事は出来ないさ。もちろん思う所はあるけどな」
「……そうか」
レシアの首にあるルーン鉱石が光り出し、レシアを包んだ。
「ああ……そうか、また戻るのか。あの河川敷に」
光が消えた時に目の前にあったのは、無機質なだだっ広い空間だった。
「え……? ここは時間の路?」
霧隠れを開いたクラスタが姿を現した。
「あんだけ殺気を丸出しにされたら気付くよ、クラスタ」
「ふふふ……アサシンの中では有名なだけはあるな。たった3年の活動でここまできたのは素晴らしい。しかし、お前も所詮は無能な集団の1人にしか過ぎない」
「御託は良いよ。お前の考えなんかどうでも良い」
「ふふふ…威勢が良いのは結構。そうでなくては面白くない。しかしどこまで対抗できるかな。さて……どれ程の者か見せて貰おうか、レッド・アサシン。霧隠れ、開け!」
レシアとクラスタの間に急に何人ものアサシンが姿を現した。現れる瞬間に薄く霧のような物が漂った様に感じた。
「霧隠れの術。人や物を光の屈折を利用し隠す事が出来る」
「これで全員じゃ無いんだろ? 何人隠しているんだ?」
「ほう……また気配を読んだのか? 面白い、折角だ、全員だしてやろうか。開け!」
次々とアサシンが現れる。
「く……流石に多いな、これは」
「ふふふ……全部で23人のアサシンだ。レッド・アサシンと謳われたその力、じっくりと見せて貰おう」
「やるしかないか」
「レシア、下がれ。ボンバー!」
後ろからシヴァの声が聞こえた。レシアが後ろへ飛び退くと、アサシンに向かってシヴァの広範囲爆発魔法が炸裂した。
「この魔法……1回くらった事があったけど、こんなに強烈だったか? あの時は手を抜いてやがったな」
「建物の中だったし、あの時点でお前を殺す訳にはいかなかったからな」
「まあ良いか。ナーダ、シヴァの回復有難うな」
「うん!」
大半のアサシンはさっきの魔法で事切れていた。残るアサシンもレシアとシヴァで斬り倒す。
「……信じられん。こんな、まさか」
「残念だったな。お前の魂胆なんてお見通しなんだよ」
「ふふふ……これは流石に分が悪いな。悪いが逃げさせて貰う」
「させない、ボンバー!」
霧隠れをしようとしたクラスタに爆発魔法で牽制し、レシアが一気に斬り裂いた。
「バカな……」
「お前の出番はこれで終わりだ」
「ふふふ……まあ、相手がハンター本部長や有名なレッド・アサシンだ。悪くは……無い、か」
クラスタは息を止めた。これで不意打ちをされることも無い。
「レシア、ナーダ。助かった、今回は流石に殺られるかと思った」
「無事でよかったです」
「そうだな」
これでシヴァが生き残った。この状態であれば、仮にバダグを倒しても封印も何とか出来るだろう。もはやブラックの居るライトビルへ行く必要は無い。このままアサシン本部へ行こう。
「シヴァ、今からアサシン本部へ襲撃を掛ける。アサシン一掃作戦を少しだけ早めてくれ」
「それは構わないが……どうした?」
「いや、何となくな」
「……分かった。お前に助けて貰った命だ。何とかしよう」
「そう言えばハンター副本部長さんが居ないんだけど」
「ああ、彼は戦闘向きでは無いからな。あの体型を見れば分かるだろう?」
「ああ。控えめに言って……デブだな」
「多分そこら辺で息が切れて倒れてるよ。一応、魔法とかは得意な後方支援タイプではあるんだがな」
直ぐに集まれる者で編隊を組んでシヴァのテレポートでアサシン本部へ乗り込んだ。残りの者も順次、ハンター副本部長と共に乗り込んで来るらしい。
テレポートで着いた先は、アサシン本部長室だった。
「うわ……いきなりここか。テレポートって凄いんだな」
「な、ハンター共だと。それにレッド!?」
「レッド……アンタ何で?」
「ブルーも居たか。ちょうど良いな」
「どういう意味だ?」
「バダグ、今の状況は理解できるな? 沢山のハンター。そしてシヴァや俺。いくらお前でも勝てないぜ」
「それはやってみないと分からない」
「意地を張るな」
「そこで、だ。お前に相談がある」
「何だと?」
「俺は分かっている。お前やブルーがルーン村の事件に関わっている事も、封印しているヤツの事も」
「!?」
「だが、これは世界の危機に関する事になる。バダグ、ニサラレスをこのまま見殺しにする気は無いか?」
「……」
「お前には暫く、ニサラレスの影響が届かない位の場所へ行っていて貰う。そしてハンター側から封印を護るチームを作って対応して貰う。ニサラレスが死んだら、お前はまた戻って来ても良い」
「……本当に分かっているんだな」
「これを飲むのであればアサシンとハンターの争いは終わらせる。協力し合って1つの組織の違う部署、みたいな形でやっていこうと思っている」
「そんな事が……」
「出来るさ。お前とシヴァが手を組みさえすればな」
「……」
バダグは暫く黙っていた。
「バダグ、悪くは無いんじゃない?」
「ブルー?」
「どっちにしてもこのままじゃ、先は見えてたわ」
「……」
沈黙の後、バダグはとある宝石を取り出してレシアに渡した。
「これは?」
「これをお前に預ける。俺が戻ってくるまではアサシンに居ろ。そしてブルーをサポートするんだ。これが俺がその提案を飲む条件だ」
「じゃあ!」
「癪ではあるが、お前達の提案に乗ってやろう」
この瞬間に1つの新しい未来が出来たのかもしれない。
「分かった。預かっておく」
「これは魔力を増強させる効果もある。剣にでも括りつけておけ。しかし村の仇はもう諦めたんだな?」
「流石に世界と比べる事は出来ないさ。もちろん思う所はあるけどな」
「……そうか」
レシアの首にあるルーン鉱石が光り出し、レシアを包んだ。
「ああ……そうか、また戻るのか。あの河川敷に」
光が消えた時に目の前にあったのは、無機質なだだっ広い空間だった。
「え……? ここは時間の路?」