第26話
文字数 1,968文字
レシアが目を覚ますと、見慣れない場所に居た。ここが地下迷宮なのだろう。長い距離を落ちて無事だったのは運が良かった。直進落下ではなく、傾斜のあるトンネルをぶつかりながら落ちたのも良かったのかもしれない。
横を見ると剣も落ちていた。気を失って暫く経っている様だ。
「……マジか。出てこれないんだろ、ここって」
足や腹部に痛みが残るが、転がり落ちてきた所為で全身痛い。バダグにやられた場所よりはマシなのだが……
「いや、間違って落ちたり物を落としたりしてしまった時用に出入り口はあるはずだ。セキュリティはあるだろうが、そんなモンぶっ壊してやる」
痛みが治まるまで待っていては何時になるか分からない。レシアは奥へ進み始めた。何とか歩けそうだ。
地下迷宮は薄くだが明かりも点いている。管理はされているのだ。これなら出入り口もあるだろう。
「ってか、広いな……地下迷宮って言われるだけはある。アサシン本部の面積よりずっと広いんじゃないか?」
奥の方から何かがやって来る。
「……魔物が居るのか。町のど真ん中の地下だぞ?」
普段見ないような魔物が現れた。頭を下げながら走って来る。一瞬目が合うと、レシアの動きが鈍くなった。
「ぐっ、何だ!? アイツの目をみた途端に身体が重くなってしまった様だ」
それでも攻撃しない訳にもいかない。全力で魔物の首を斬り落とした。途端に身体が軽くなる。
「……戻ったか。アイツの目は見ない方が良いな。……にしても戦える程度の魔物だな。流石にこの地下迷宮自体を破壊して回る様な強さの魔物は配置されていないか」
1時間は歩いていただろうか。少し広いエリアに出た。そこに2人の人間が居た。
「……! 人間が居るのか」
「うわっ、ビックリした。俺達の他に人間が居るなんて」
「……ちょっと待って、こいつ見た事があるわ」
少年と少女の2人組だ。適度に武装をしている。
「確かに……おい、アンタ名前は?」
「俺? 俺はレシアだ」
「レシア……知らないわね」
「気の所為じゃないか? ああ、俺はゴットルだ」
「私はラベンダーよ」
ゴットルとラベンダー。始めて見る顔だが……
「見ない顔だな。お前達もアサシンなのか?」
「いや、俺達はハンターだ」
「レシアはアサシンなの?」
「いや、もう辞めてる。元アサシンだ」
「じゃあ、レッド・アサシンって知ってるか?」
「ああ、あれは俺のアサシン時代のコードネームだ」
「え……」
急に場が凍り付いた。
「……え?」
「俺はゴットル。ゴットル・トルレスだ。聞き覚えは無いか?」
「私はラベンダー・トルレス」
「トルレス? ……あっ!」
1週間くらい前にロックしたハンターがトルレス……スウァム・トルレスだった。
「こんな場所に閉じ込められた不運を嘆いていたが、こんな所で仇のレッド・アサシンに出会えるなんてな!」
「トルレスって事は……お前達は?」
「そうよ、貴方に殺されたスウァム・トルレスの子供よ!」
「……やっぱりそうなのか」
「お前が殺ったのは間違い無いんだな?」
「……ああ、確かに俺がスウァムを殺した。と言うか、そんな情報が回っているのか? 誰にも見られていなかったと思ったんだけど」
「首を一閃されて血の海になってたのよ。そんな殺し方をするのはレッド・アサシンくらいよ」
「証拠も無かったのか……殺し方も考えていくべきだったのか? いや、まあ良いけど」
ゴットルとラベンダーは武器を抜いて構える。ゴットルは長剣、ラベンダーはダガーだ。ちょっとだけ、レッドとブルーを思い出してしまった。
「さあ、レッド・アサシン。覚悟して貰おうか」
「くっ……こんな所で戦ってる暇なんて無いのに」
「戦う理由は充分でしょう」
「……仕方ない。取り敢えず大人しくなって貰おうか」
レシアも剣を構える。どちらも戦士タイプだろう。仮に魔法を使用するとしても、初級クラスの魔法しか出来ない様に見える。
「レッド・アサシン。死んで貰う!」
「行くわよ!」
思ったよりガツガツ来る感じではなく、2人で協力して追い詰めてくる様な戦い方だ。ゴットルの方がレシアより体格が良く、リーチも長い。
「やり難いな」
ゴットルが踏み込んできて攻撃。レシアがそれを受けると、横からラベンダーが突きを放ってくる。息の合った連携だ、流石は家族だな。
「はあはあ……何で当たらないんだ」
「流石はレッド・アサシンね」
2人の攻撃は、何度しても全てかわされたり受けられたりする。流石に焦りの色が見えてきた。
「戦いは熱くなったら駄目だ。もっと落ち着かないとな」
「黙れ、この殺人者が!」
「それが駄目だって言ってんのにな」
「ゴットル、落ち着きなさい。怒らせるのもレッド・アサシンの作戦よ」
「女の方はクレバーだな。もう手遅れかもしれないけど」
レシアは怒りで多少、大振りになったゴットルの攻撃に対してカウンターで攻撃を放った。
横を見ると剣も落ちていた。気を失って暫く経っている様だ。
「……マジか。出てこれないんだろ、ここって」
足や腹部に痛みが残るが、転がり落ちてきた所為で全身痛い。バダグにやられた場所よりはマシなのだが……
「いや、間違って落ちたり物を落としたりしてしまった時用に出入り口はあるはずだ。セキュリティはあるだろうが、そんなモンぶっ壊してやる」
痛みが治まるまで待っていては何時になるか分からない。レシアは奥へ進み始めた。何とか歩けそうだ。
地下迷宮は薄くだが明かりも点いている。管理はされているのだ。これなら出入り口もあるだろう。
「ってか、広いな……地下迷宮って言われるだけはある。アサシン本部の面積よりずっと広いんじゃないか?」
奥の方から何かがやって来る。
「……魔物が居るのか。町のど真ん中の地下だぞ?」
普段見ないような魔物が現れた。頭を下げながら走って来る。一瞬目が合うと、レシアの動きが鈍くなった。
「ぐっ、何だ!? アイツの目をみた途端に身体が重くなってしまった様だ」
それでも攻撃しない訳にもいかない。全力で魔物の首を斬り落とした。途端に身体が軽くなる。
「……戻ったか。アイツの目は見ない方が良いな。……にしても戦える程度の魔物だな。流石にこの地下迷宮自体を破壊して回る様な強さの魔物は配置されていないか」
1時間は歩いていただろうか。少し広いエリアに出た。そこに2人の人間が居た。
「……! 人間が居るのか」
「うわっ、ビックリした。俺達の他に人間が居るなんて」
「……ちょっと待って、こいつ見た事があるわ」
少年と少女の2人組だ。適度に武装をしている。
「確かに……おい、アンタ名前は?」
「俺? 俺はレシアだ」
「レシア……知らないわね」
「気の所為じゃないか? ああ、俺はゴットルだ」
「私はラベンダーよ」
ゴットルとラベンダー。始めて見る顔だが……
「見ない顔だな。お前達もアサシンなのか?」
「いや、俺達はハンターだ」
「レシアはアサシンなの?」
「いや、もう辞めてる。元アサシンだ」
「じゃあ、レッド・アサシンって知ってるか?」
「ああ、あれは俺のアサシン時代のコードネームだ」
「え……」
急に場が凍り付いた。
「……え?」
「俺はゴットル。ゴットル・トルレスだ。聞き覚えは無いか?」
「私はラベンダー・トルレス」
「トルレス? ……あっ!」
1週間くらい前にロックしたハンターがトルレス……スウァム・トルレスだった。
「こんな場所に閉じ込められた不運を嘆いていたが、こんな所で仇のレッド・アサシンに出会えるなんてな!」
「トルレスって事は……お前達は?」
「そうよ、貴方に殺されたスウァム・トルレスの子供よ!」
「……やっぱりそうなのか」
「お前が殺ったのは間違い無いんだな?」
「……ああ、確かに俺がスウァムを殺した。と言うか、そんな情報が回っているのか? 誰にも見られていなかったと思ったんだけど」
「首を一閃されて血の海になってたのよ。そんな殺し方をするのはレッド・アサシンくらいよ」
「証拠も無かったのか……殺し方も考えていくべきだったのか? いや、まあ良いけど」
ゴットルとラベンダーは武器を抜いて構える。ゴットルは長剣、ラベンダーはダガーだ。ちょっとだけ、レッドとブルーを思い出してしまった。
「さあ、レッド・アサシン。覚悟して貰おうか」
「くっ……こんな所で戦ってる暇なんて無いのに」
「戦う理由は充分でしょう」
「……仕方ない。取り敢えず大人しくなって貰おうか」
レシアも剣を構える。どちらも戦士タイプだろう。仮に魔法を使用するとしても、初級クラスの魔法しか出来ない様に見える。
「レッド・アサシン。死んで貰う!」
「行くわよ!」
思ったよりガツガツ来る感じではなく、2人で協力して追い詰めてくる様な戦い方だ。ゴットルの方がレシアより体格が良く、リーチも長い。
「やり難いな」
ゴットルが踏み込んできて攻撃。レシアがそれを受けると、横からラベンダーが突きを放ってくる。息の合った連携だ、流石は家族だな。
「はあはあ……何で当たらないんだ」
「流石はレッド・アサシンね」
2人の攻撃は、何度しても全てかわされたり受けられたりする。流石に焦りの色が見えてきた。
「戦いは熱くなったら駄目だ。もっと落ち着かないとな」
「黙れ、この殺人者が!」
「それが駄目だって言ってんのにな」
「ゴットル、落ち着きなさい。怒らせるのもレッド・アサシンの作戦よ」
「女の方はクレバーだな。もう手遅れかもしれないけど」
レシアは怒りで多少、大振りになったゴットルの攻撃に対してカウンターで攻撃を放った。