第40話
文字数 1,999文字
「シヴァ、しっかりしろ」
「ふふふ、どれだけ呼び掛けても無駄だ。お前の声はコイツには届かない」
「レシア、何か様子が変だよ」
「シヴァ……まさか」
シヴァは精気の無い表情をしており、ぎこちない動きで襲い掛かってきた。レシアは攻撃を受け止めて払い除ける。
「やっぱりそうだ。ナーダ、シヴァはもう……」
「ふふふ、気付いたか? そうだ。魂縛り、使者を操る秘伝の技だ」
「死者……じゃあ?」
「そうか……あの1撃で事切れてしまっていたのか」
痛みも何も無いのか、少々斬られても全く怯む事無くシヴァは襲い掛かって来る。死者を無理やり動かしている所為なのか、動きは単調でぎこちない。
「どんだけ攻撃してもキリがない……動けない様に足を切り落とすしか無いのか?」
「そ、そんな」
「お前にそんな事が出来るかな? アサシンだった頃のお前ならいざ知らず、今のお前が知り合いを再び殺そうと言うのか?」
「くっ……出来るっちゃ出来るけど。出来ればしたくないのも事実か」
レシアはルーンソードの気弾を連発し、シヴァを吹っ飛ばす。それでもシヴァはゆっくりと起き上がりこちらへ向かって来た。
「さあ、大人しく殺されてしまうが良い。いけ、シヴァ!」
「……仕方ない。足でも首でも落としてやるしか無い」
その時、シヴァの動きが止まった。
「ん? どうなっているんだ?」
「シヴァさん……?」
「……レ……レシ……ア……」
「……!? シヴァ。」
「生き返ったの?」
「ナーダ……これで俺を……」
シヴァが何かを投げつけてきた。それは小さなルーン鉱石だった。純度が高いのは少し見ただけでも分かる。鉱石は光り輝き、ナーダに向かって行った。そして、ナーダの首から下げているペンダントに吸収されていった。
「あのペンダントはルーン鉱石? 俺と同じヤツじゃないか」
「うん。前にレシアにプレゼントした物だよ。あれから私も同じのを見に付けてたの」
「そうだったのか」
「どういう事なんだ? シヴァ、奴らを殺すのだ!」
「分かる……ルーンの力が共鳴してる」
「共鳴? そ、そうか。ナーダはルーンナーの修行をした事があったんだよな」
「ちょっとだけ、だけどね」
「その力で俺を……俺はもう……死んで……」
「…………分かりました」
ナーダは杖をシヴァに向ける。杖の先とナーダのペンダントが同時に光り輝く。
「何が起こるんだ……?」
「ルーンは魔除けの力もあるの。この力がクラスタの技を打ち破って、シヴァさんを救ってくれるのが分かる」
「……」
「ルーンクラッシュ!」
杖から光が弾け飛び、シヴァを包む。光は輪を作り上げシヴァに吸い込まれる。そしてすぐにシヴァが大きな光に包まれた。
「な、何なんだこれは!?」
「……あり……がとう……」
「シヴァ!」
光が収まった時、シヴァは地面に倒れていた。
「シヴァ、今度こそ逝ったのか……安らかに眠れ」
「シヴァさん……」
「く……何なんだ? 死者が喋るなんて」
「ルーンの力だったのかもな。……クラスタ、今度こそ終わりだ。もう逃げ場は無いぞ」
「逃げ場が無いだと? ふふふ、甘いな。逃げ場は作る物なのだ。霧隠れ!」
クラスタは霧に包まれて姿を消した。
「今回は見逃してやろう。次は本気で戦わせて貰う」
「どこ?」
「……クラスタの気配が遠ざかっていく。逃げたのか」
暫く辺りを窺ったが、クラスタの気配は完全に消え去ってしまっていた。
「……ふう。何とか終わったな」
「そうなの?私は気配とか分からないの」
「まあ、実践を重ねた者にしか分からないのかもな」
ハンターの長であったシヴァが死に、レシア達に隠れる場所はもう無くなったのかもしれない。それでもやるべき事が朧気ながら見えて来ていた。
「あの時にシヴァが言い掛けた言葉……【ダーク・アサシンの正体はブラックの】ってヤツだが」
「でもそのブラックって人は違うんでしょ?」
「そうだな。つまりブラック本人では無いが、ブラックの関係者って事だ」
「関係者って言っても幅が広くない?」
「さらに言えばシヴァの憶測が合っている、という条件付きだしな。でもそれを信じるとしたら、ブラックに聞けば良いって事だ」
「そのブラックって人の居場所は知っているの?」
「ああ。アサシンを引退して形式上は一般人に戻っているが、様々な情報を持っている。一定以上のアサシンであれば、居場所は皆知っている。実際にバダグとブラックの会合に付き添いで行って、会った事もあるしな」
「じゃあ顔も知ってるんだ」
「勿論だ。あの時はヤツは既に引退してたから、今の俺の状況を知っているかは分からないがな」
シヴァに向かって手を合わせた。
「シヴァ、後は俺に任せろ。ゆっくり休め」
「俺、じゃなくて俺達でしょ?」
「……そうだな。さっき使用したルーンクラッシュは普通の人間には効果無さそうだけど、魔物にならダメージを与えられそうだったし。戦力アップだな」
「やった」
「よし、ブラックの住んで居るビルへ向かおう」
「ふふふ、どれだけ呼び掛けても無駄だ。お前の声はコイツには届かない」
「レシア、何か様子が変だよ」
「シヴァ……まさか」
シヴァは精気の無い表情をしており、ぎこちない動きで襲い掛かってきた。レシアは攻撃を受け止めて払い除ける。
「やっぱりそうだ。ナーダ、シヴァはもう……」
「ふふふ、気付いたか? そうだ。魂縛り、使者を操る秘伝の技だ」
「死者……じゃあ?」
「そうか……あの1撃で事切れてしまっていたのか」
痛みも何も無いのか、少々斬られても全く怯む事無くシヴァは襲い掛かって来る。死者を無理やり動かしている所為なのか、動きは単調でぎこちない。
「どんだけ攻撃してもキリがない……動けない様に足を切り落とすしか無いのか?」
「そ、そんな」
「お前にそんな事が出来るかな? アサシンだった頃のお前ならいざ知らず、今のお前が知り合いを再び殺そうと言うのか?」
「くっ……出来るっちゃ出来るけど。出来ればしたくないのも事実か」
レシアはルーンソードの気弾を連発し、シヴァを吹っ飛ばす。それでもシヴァはゆっくりと起き上がりこちらへ向かって来た。
「さあ、大人しく殺されてしまうが良い。いけ、シヴァ!」
「……仕方ない。足でも首でも落としてやるしか無い」
その時、シヴァの動きが止まった。
「ん? どうなっているんだ?」
「シヴァさん……?」
「……レ……レシ……ア……」
「……!? シヴァ。」
「生き返ったの?」
「ナーダ……これで俺を……」
シヴァが何かを投げつけてきた。それは小さなルーン鉱石だった。純度が高いのは少し見ただけでも分かる。鉱石は光り輝き、ナーダに向かって行った。そして、ナーダの首から下げているペンダントに吸収されていった。
「あのペンダントはルーン鉱石? 俺と同じヤツじゃないか」
「うん。前にレシアにプレゼントした物だよ。あれから私も同じのを見に付けてたの」
「そうだったのか」
「どういう事なんだ? シヴァ、奴らを殺すのだ!」
「分かる……ルーンの力が共鳴してる」
「共鳴? そ、そうか。ナーダはルーンナーの修行をした事があったんだよな」
「ちょっとだけ、だけどね」
「その力で俺を……俺はもう……死んで……」
「…………分かりました」
ナーダは杖をシヴァに向ける。杖の先とナーダのペンダントが同時に光り輝く。
「何が起こるんだ……?」
「ルーンは魔除けの力もあるの。この力がクラスタの技を打ち破って、シヴァさんを救ってくれるのが分かる」
「……」
「ルーンクラッシュ!」
杖から光が弾け飛び、シヴァを包む。光は輪を作り上げシヴァに吸い込まれる。そしてすぐにシヴァが大きな光に包まれた。
「な、何なんだこれは!?」
「……あり……がとう……」
「シヴァ!」
光が収まった時、シヴァは地面に倒れていた。
「シヴァ、今度こそ逝ったのか……安らかに眠れ」
「シヴァさん……」
「く……何なんだ? 死者が喋るなんて」
「ルーンの力だったのかもな。……クラスタ、今度こそ終わりだ。もう逃げ場は無いぞ」
「逃げ場が無いだと? ふふふ、甘いな。逃げ場は作る物なのだ。霧隠れ!」
クラスタは霧に包まれて姿を消した。
「今回は見逃してやろう。次は本気で戦わせて貰う」
「どこ?」
「……クラスタの気配が遠ざかっていく。逃げたのか」
暫く辺りを窺ったが、クラスタの気配は完全に消え去ってしまっていた。
「……ふう。何とか終わったな」
「そうなの?私は気配とか分からないの」
「まあ、実践を重ねた者にしか分からないのかもな」
ハンターの長であったシヴァが死に、レシア達に隠れる場所はもう無くなったのかもしれない。それでもやるべき事が朧気ながら見えて来ていた。
「あの時にシヴァが言い掛けた言葉……【ダーク・アサシンの正体はブラックの】ってヤツだが」
「でもそのブラックって人は違うんでしょ?」
「そうだな。つまりブラック本人では無いが、ブラックの関係者って事だ」
「関係者って言っても幅が広くない?」
「さらに言えばシヴァの憶測が合っている、という条件付きだしな。でもそれを信じるとしたら、ブラックに聞けば良いって事だ」
「そのブラックって人の居場所は知っているの?」
「ああ。アサシンを引退して形式上は一般人に戻っているが、様々な情報を持っている。一定以上のアサシンであれば、居場所は皆知っている。実際にバダグとブラックの会合に付き添いで行って、会った事もあるしな」
「じゃあ顔も知ってるんだ」
「勿論だ。あの時はヤツは既に引退してたから、今の俺の状況を知っているかは分からないがな」
シヴァに向かって手を合わせた。
「シヴァ、後は俺に任せろ。ゆっくり休め」
「俺、じゃなくて俺達でしょ?」
「……そうだな。さっき使用したルーンクラッシュは普通の人間には効果無さそうだけど、魔物にならダメージを与えられそうだったし。戦力アップだな」
「やった」
「よし、ブラックの住んで居るビルへ向かおう」