第47話
文字数 1,846文字
河川敷まで戻り、そのすぐ後にルーンソードの輝きで軸を移動する。
気付いた瞬間にブルーを斬り付けていた。ここはアサシン本部の隠し通路だ。ブルーはダガーでガードするも、弾かれて利き腕を斬られてしまった。
「う……どうやら勝負ありね」
「確かに強くはなっていたな。でも、俺の方がより強かった。それだけだ」
「そうみたいね」
「答えろ。ダーク・アサシンの正体は誰なんだ?」
「それはバダグに聞いたら? もっともバダグとバダグのモンスター隊に勝てたらの話だけど」
「モンスター隊? 何だそれは?」
「バダグが異世界から召喚している魔物よ」
「異世界? 魔物? そんなの聞いた事も無いぞ」
「そりゃそうね。私だって最近まで知らなかったわ。バダグがティアマットの力を借りてモンスターを召喚しているなんてね」
「ティアマット?」
「あれだな……女神ティアマトを参考にし造られた邪竜の事だな」
「よく知っているわね」
「しかしそんなん、架空の魔物だと思っていたが……」
「私も信じられなかったわ」
「と言うか、そんなんどう考えても危なすぎる。何でモンスター何か召喚しなければいけないんだ」
「何かね、バダグが……アサシンがこの世界を治めたら、ティアマットの力でバダグは世界の王にして貰えるらしいわ」
「は? 意味が分からん」
「でしょうね。私も分からないもの」
「それに…そんな邪竜の言う事を信じるっていうのか?」
「バダグが信じているのよ。だったらアサシンである私も同様の事」
「馬鹿な……誰が考えてもおかしいと思うんだが」
「それが嫌ならバダグを止めるのね。私を殺してからになるけどね」
(何なんだ……こいつ等は?)
邪竜ティアマット……何かが心に引っ掛かっている。俺の勘だが、バダグすら騙されている。それが本当なら、こんな所で悠長に話をしている暇なんか無いのかもしれない。
(どうするか……?)
いつもの既視感がまた襲って来る。この場面は知っている。何回かは分からないが同じ場面をどこかで……
「ブルー、バダグは騙されている。邪竜ティアマットはそんな良い奴なんかじゃ無いぞ」
「だったら何だと言うの? ティアマットが裏切ったら殺すだけよ」
「いやいや、甘く見過ぎだ。人間がティアマットを倒す事なんて出来るもんか。お前もバダグも殺されてしまうんだぞ!」
「私達が騙されようがアンタには関係の無い事よ」
「…………」
「ここで争っている場合じゃない。お前もバダグも、この世界も死んでしまうんだぞ!」
「そうなるって保証はどこにも無いじゃない。先の事なんか誰にも分からないわ」
「普通に考えてヤバ過ぎるって分かるだろう?」
「バダグが決めた事よ」
「…………」
ルーンソードが仄かに輝いた。
「上司の考えに無条件で賛同する事がアサシンの在り方では無いだろうが!」
「アサシンは1つの会社なのよ。上司に従うのは当然じゃなくて?」
「間違った上司を諫めるのは部下の役目だ」
「そんな出来た部下じゃ無いのよ」
「…………」
「世界を救うのには俺だけじゃダメなんだ。俺とナーダだけじゃどうしようも無い」
「だったらそこまでじゃ無いの? ヒーローじゃないのよ」
「確かにヒーローじゃない。でも出来る事はあるだろう」
「私の今出来る事は、レッドを殺す事よ」
「…………」
ルーンソードが密かに輝きを増した。
「このままじゃティアマットがこっちの世界に来てしまうんだ……って、えっ!?」
「えっ!?」
何でそんな事を言っているんだろう? でも心のどこかでこの先の惨劇を覚えている。今ブルーに話しかける時だって、ちょこちょこと何かを思い出していた。
「ブルー……もう言い争いをしている時間すら無いのかもしれない。もう1度言う。俺に着いて来い。バダグを止められるとしたらお前しかいないんだ」
「私が行った位で止められるあの人じゃ無いでしょ。それ位分かるでしょう」
「それでも良いから着いて来い! お前は俺に負けたんだ。いう事を聞け」
「……」
「……分かった、もう良い。俺は行くぞ」
「……はあ、分かったわよ。行けば良いんでしょ」
「ブルーさん!」
(ここまで来たら大人しく上司の言う事を聞くわ。バダグ、アンタの意思は継いであげる)
「良いんだな」
「ええ、私もやっと覚悟が決まったの」
「覚悟?」
「アンタには関係の無い事よ。それに時間無いかもしれないんでしょう?」
「ああ……そうだな。行こう!」
(バダグはこの1週間で驚くほど衰弱してしまった。このままではもう1週間はもたないでしょうね。だったら……)
ルーンソードの輝きはもう消えていた。
気付いた瞬間にブルーを斬り付けていた。ここはアサシン本部の隠し通路だ。ブルーはダガーでガードするも、弾かれて利き腕を斬られてしまった。
「う……どうやら勝負ありね」
「確かに強くはなっていたな。でも、俺の方がより強かった。それだけだ」
「そうみたいね」
「答えろ。ダーク・アサシンの正体は誰なんだ?」
「それはバダグに聞いたら? もっともバダグとバダグのモンスター隊に勝てたらの話だけど」
「モンスター隊? 何だそれは?」
「バダグが異世界から召喚している魔物よ」
「異世界? 魔物? そんなの聞いた事も無いぞ」
「そりゃそうね。私だって最近まで知らなかったわ。バダグがティアマットの力を借りてモンスターを召喚しているなんてね」
「ティアマット?」
「あれだな……女神ティアマトを参考にし造られた邪竜の事だな」
「よく知っているわね」
「しかしそんなん、架空の魔物だと思っていたが……」
「私も信じられなかったわ」
「と言うか、そんなんどう考えても危なすぎる。何でモンスター何か召喚しなければいけないんだ」
「何かね、バダグが……アサシンがこの世界を治めたら、ティアマットの力でバダグは世界の王にして貰えるらしいわ」
「は? 意味が分からん」
「でしょうね。私も分からないもの」
「それに…そんな邪竜の言う事を信じるっていうのか?」
「バダグが信じているのよ。だったらアサシンである私も同様の事」
「馬鹿な……誰が考えてもおかしいと思うんだが」
「それが嫌ならバダグを止めるのね。私を殺してからになるけどね」
(何なんだ……こいつ等は?)
邪竜ティアマット……何かが心に引っ掛かっている。俺の勘だが、バダグすら騙されている。それが本当なら、こんな所で悠長に話をしている暇なんか無いのかもしれない。
(どうするか……?)
いつもの既視感がまた襲って来る。この場面は知っている。何回かは分からないが同じ場面をどこかで……
「ブルー、バダグは騙されている。邪竜ティアマットはそんな良い奴なんかじゃ無いぞ」
「だったら何だと言うの? ティアマットが裏切ったら殺すだけよ」
「いやいや、甘く見過ぎだ。人間がティアマットを倒す事なんて出来るもんか。お前もバダグも殺されてしまうんだぞ!」
「私達が騙されようがアンタには関係の無い事よ」
「…………」
「ここで争っている場合じゃない。お前もバダグも、この世界も死んでしまうんだぞ!」
「そうなるって保証はどこにも無いじゃない。先の事なんか誰にも分からないわ」
「普通に考えてヤバ過ぎるって分かるだろう?」
「バダグが決めた事よ」
「…………」
ルーンソードが仄かに輝いた。
「上司の考えに無条件で賛同する事がアサシンの在り方では無いだろうが!」
「アサシンは1つの会社なのよ。上司に従うのは当然じゃなくて?」
「間違った上司を諫めるのは部下の役目だ」
「そんな出来た部下じゃ無いのよ」
「…………」
「世界を救うのには俺だけじゃダメなんだ。俺とナーダだけじゃどうしようも無い」
「だったらそこまでじゃ無いの? ヒーローじゃないのよ」
「確かにヒーローじゃない。でも出来る事はあるだろう」
「私の今出来る事は、レッドを殺す事よ」
「…………」
ルーンソードが密かに輝きを増した。
「このままじゃティアマットがこっちの世界に来てしまうんだ……って、えっ!?」
「えっ!?」
何でそんな事を言っているんだろう? でも心のどこかでこの先の惨劇を覚えている。今ブルーに話しかける時だって、ちょこちょこと何かを思い出していた。
「ブルー……もう言い争いをしている時間すら無いのかもしれない。もう1度言う。俺に着いて来い。バダグを止められるとしたらお前しかいないんだ」
「私が行った位で止められるあの人じゃ無いでしょ。それ位分かるでしょう」
「それでも良いから着いて来い! お前は俺に負けたんだ。いう事を聞け」
「……」
「……分かった、もう良い。俺は行くぞ」
「……はあ、分かったわよ。行けば良いんでしょ」
「ブルーさん!」
(ここまで来たら大人しく上司の言う事を聞くわ。バダグ、アンタの意思は継いであげる)
「良いんだな」
「ええ、私もやっと覚悟が決まったの」
「覚悟?」
「アンタには関係の無い事よ。それに時間無いかもしれないんでしょう?」
「ああ……そうだな。行こう!」
(バダグはこの1週間で驚くほど衰弱してしまった。このままではもう1週間はもたないでしょうね。だったら……)
ルーンソードの輝きはもう消えていた。