第34話
文字数 1,968文字
「……はっ!?」
「え、どうしたの?」
「い、いや。何でもない」
「しっかりしてよ。もうすぐターゲットが来る時間よ」
何をしていたんだっけ……と一瞬考えたが、すぐに仕事中である事を思い出した。ハンターのリュートをロックする為に河川敷に来ているんだった。
「何か違和感があるな……」
「何が?」
「なんなんだろう。何回も同じ事を経験している様な気がしてきた」
「意味が分からないわね。ロックなんて今までに何回もしてきているでしょう」
「う~ん、そういう事なんだろうか?」
次の瞬間、後ろの方で気配を感じた。レシアは誰かを確かめる事すらせずに後ろへ斬り掛かる。人間が2人、その内の1人を斬り裂いた。
「えっ!?」
ブルーも慌てて振り返る。その間にもう1人も斬っていた。
「どうやらハンターみたいだな。裏をかこうとしていたらしい」
「よく気付いたわね。私は全然気付かなかったわ」
「確かに……何で気付いたんだ?」
実際には何回も繰り返した事だった。もちろんレシアは気付いても思い出してもいない。
ふと自分の剣を見た時に、剣が変わっている事に気付く。
「あれ? 俺こんな剣を使ってたっけ?」
「知らないわよ。でもダガー以外を使う所、初めて見たわ」
「そうだが……あれ? 銃の部分も壊れていた様な……」
「ガンブレードってヤツね。それより……」
「ああ、そうだな。ターゲットが遠くに見えた。行くぞ」
その瞬間、レシアの持っているガンブレードが光り輝いた。そのままレシアの視界は光に包まれる。
「え……何だ?」
「レシア、聞こえますか?」
「誰だ……何で俺の本名を……?」
「私の事は分かりませんか。良いでしょう」
「ここは……?」
「私はルーン、時間の守護霊です。この場所は時間(とき)の狭間」
「ルーン……村の名と同じ名前だな。それに時間の狭間?」
「簡単に言いましょう。時間の扉を開けてすぐの今であれば、貴方が望む軸へ移動する事が可能です」
「時間の扉? 軸?」
「このまま今の軸を進んで経験を積むのも良いでしょう。もしかしたら軸間で気付いていない路が存在するかもしれません」
声には全く覚えはない。でも何故か……信用しても良いと思ってしまっている自分が居た。
「望む軸ってのは何なんだ?」
「それは私には分かりません。全ては貴方次第なのです」
「………分かった。よく分からないが、怪しい守護霊とやらを信じてみよう。俺が望む軸ってのに連れて行ってみろ」
「分かりました」
知らない間に銃部分が直っており、全体をルーンコーティングされていたガンブレード……敢えて名付けるとしたらルーンソードって所か。
ルーンソードの光が更に大きくなり、世界を包んだ。気付いた時には目の前にブルーが居た。
「お前……ブルー…」
「探したわよ、レッド」
そうか……今はナーダとルーン村に行った帰りだ。村の仇の情報を得ようと村に来たものの、何も情報を得られずにシヴァの隠れ家に戻るタイミングだった。ここは村の近くの森の中だな。横を見るとナーダが不安そうな顔で立っていた。
「こんな所まで来るとはな。暇なのか? それとも、アサシンの面子を汚した男に復讐しに来たのか?」
「そうね。ナーダのロック、シヴァのロック。アンタには2回も邪魔されたからね。今回はアサシン本部長直々の依頼で、レッドをロックしに来たわ」
「バダグの依頼だと? よっぽどシヴァのロックを邪魔した事を怨んでいるんだな」
「それだけでも無いけどね」
「何だと?」
「いいえ。とにかく1番の理由は、アンタがバダグを裏切ったからね」
そっと剣の柄に手を伸ばす。戦闘は避けられない。
「そうか。それでどうするんだ?」
「やるしかないでしょう?」
「そりゃそうだ」
「レッド、アンタはどうするの?」
「やるしかないだろう?」
「そうね」
ブルーの攻撃を止めながら剣を振るう。ブルーはそれを後ろに下がって避け、ウィンドカッターで攻撃してきた。レシアはウィンドカッターを剣で斬り裂いた。
「どうした? お前の攻撃は通用しないみたいだな」
「それを油断って言うのよ! ウィンドカッターツヴァイ!」
「なっ!?」
ブルーの手からウィンドカッターが一度に3つ発射される。それぞれが弧を描いてレシアに襲い掛かる。初めて見る魔法だが、何となく習性は理解出来た。
「パワーホールド!」
3つのウィンドカッターはそれぞれ違う弧を描いているものの、最終的にはターゲット……つまりレシアの場所に集約される。レシアは1歩下がり、ウィンドカッターが集まるタイミングで一気に切り払った。
「……まさか、初見でこの魔法を破るなんて」
「ふう、パワーホールドをしておいて良かった。3つも集まると衝撃が半端無かった」
「流石ね、レッド。でも私のターゲットはアンタだけじゃ無いのよ!」
ブルーはアイスの魔法でレシアに牽制しながらナーダに向かって行った。
「え、どうしたの?」
「い、いや。何でもない」
「しっかりしてよ。もうすぐターゲットが来る時間よ」
何をしていたんだっけ……と一瞬考えたが、すぐに仕事中である事を思い出した。ハンターのリュートをロックする為に河川敷に来ているんだった。
「何か違和感があるな……」
「何が?」
「なんなんだろう。何回も同じ事を経験している様な気がしてきた」
「意味が分からないわね。ロックなんて今までに何回もしてきているでしょう」
「う~ん、そういう事なんだろうか?」
次の瞬間、後ろの方で気配を感じた。レシアは誰かを確かめる事すらせずに後ろへ斬り掛かる。人間が2人、その内の1人を斬り裂いた。
「えっ!?」
ブルーも慌てて振り返る。その間にもう1人も斬っていた。
「どうやらハンターみたいだな。裏をかこうとしていたらしい」
「よく気付いたわね。私は全然気付かなかったわ」
「確かに……何で気付いたんだ?」
実際には何回も繰り返した事だった。もちろんレシアは気付いても思い出してもいない。
ふと自分の剣を見た時に、剣が変わっている事に気付く。
「あれ? 俺こんな剣を使ってたっけ?」
「知らないわよ。でもダガー以外を使う所、初めて見たわ」
「そうだが……あれ? 銃の部分も壊れていた様な……」
「ガンブレードってヤツね。それより……」
「ああ、そうだな。ターゲットが遠くに見えた。行くぞ」
その瞬間、レシアの持っているガンブレードが光り輝いた。そのままレシアの視界は光に包まれる。
「え……何だ?」
「レシア、聞こえますか?」
「誰だ……何で俺の本名を……?」
「私の事は分かりませんか。良いでしょう」
「ここは……?」
「私はルーン、時間の守護霊です。この場所は時間(とき)の狭間」
「ルーン……村の名と同じ名前だな。それに時間の狭間?」
「簡単に言いましょう。時間の扉を開けてすぐの今であれば、貴方が望む軸へ移動する事が可能です」
「時間の扉? 軸?」
「このまま今の軸を進んで経験を積むのも良いでしょう。もしかしたら軸間で気付いていない路が存在するかもしれません」
声には全く覚えはない。でも何故か……信用しても良いと思ってしまっている自分が居た。
「望む軸ってのは何なんだ?」
「それは私には分かりません。全ては貴方次第なのです」
「………分かった。よく分からないが、怪しい守護霊とやらを信じてみよう。俺が望む軸ってのに連れて行ってみろ」
「分かりました」
知らない間に銃部分が直っており、全体をルーンコーティングされていたガンブレード……敢えて名付けるとしたらルーンソードって所か。
ルーンソードの光が更に大きくなり、世界を包んだ。気付いた時には目の前にブルーが居た。
「お前……ブルー…」
「探したわよ、レッド」
そうか……今はナーダとルーン村に行った帰りだ。村の仇の情報を得ようと村に来たものの、何も情報を得られずにシヴァの隠れ家に戻るタイミングだった。ここは村の近くの森の中だな。横を見るとナーダが不安そうな顔で立っていた。
「こんな所まで来るとはな。暇なのか? それとも、アサシンの面子を汚した男に復讐しに来たのか?」
「そうね。ナーダのロック、シヴァのロック。アンタには2回も邪魔されたからね。今回はアサシン本部長直々の依頼で、レッドをロックしに来たわ」
「バダグの依頼だと? よっぽどシヴァのロックを邪魔した事を怨んでいるんだな」
「それだけでも無いけどね」
「何だと?」
「いいえ。とにかく1番の理由は、アンタがバダグを裏切ったからね」
そっと剣の柄に手を伸ばす。戦闘は避けられない。
「そうか。それでどうするんだ?」
「やるしかないでしょう?」
「そりゃそうだ」
「レッド、アンタはどうするの?」
「やるしかないだろう?」
「そうね」
ブルーの攻撃を止めながら剣を振るう。ブルーはそれを後ろに下がって避け、ウィンドカッターで攻撃してきた。レシアはウィンドカッターを剣で斬り裂いた。
「どうした? お前の攻撃は通用しないみたいだな」
「それを油断って言うのよ! ウィンドカッターツヴァイ!」
「なっ!?」
ブルーの手からウィンドカッターが一度に3つ発射される。それぞれが弧を描いてレシアに襲い掛かる。初めて見る魔法だが、何となく習性は理解出来た。
「パワーホールド!」
3つのウィンドカッターはそれぞれ違う弧を描いているものの、最終的にはターゲット……つまりレシアの場所に集約される。レシアは1歩下がり、ウィンドカッターが集まるタイミングで一気に切り払った。
「……まさか、初見でこの魔法を破るなんて」
「ふう、パワーホールドをしておいて良かった。3つも集まると衝撃が半端無かった」
「流石ね、レッド。でも私のターゲットはアンタだけじゃ無いのよ!」
ブルーはアイスの魔法でレシアに牽制しながらナーダに向かって行った。