第60話
文字数 1,987文字
バダグはセスタスで速い攻撃を繰り出してくる。この時点のバダグはまだそんなに衰えていない。剣でガードするが、強烈な威力で後ろへ下がらさせられる。
「流石だ。凄い威力だな」
「俺はこの拳でずっとやっているからな」
「そうかもな。でも、何回も見ていれば嫌でも慣れて来る」
「何だと?」
今までの経験則……とでも言えば良いのか。この攻撃の後にどの攻撃に繋げて来るのかだいたい分かった。バダグの次の攻撃をかわしてバダグの腕に斬り付けた。
「ぐっ、よく見切ったな」
「お前もやる。俺は身体を斬りに行ったんだぞ」
「そう簡単には殺らせんさ」
バダグは蹴りを出し、そのまま流れで殴りかかて来た。
「危なっ、あの蹴りを食らうと足が馬鹿になるからな。……そこだ!」
レシアはバダグの拳へ剣をぶつける。剣同士なら鍔競り合いだ。
「こんなもので!」
「まだ終わらないぞ、パワーホールド!」
「な、何っ!」
パワーホールドでパワーアップしたレシアの剣は、一気にバダグを押し返す。剣を滑らせてバダグの脇腹を斬った。
「ぐ……まさか押し負けるとは」
「いや、俺も段々と強くなっているんだな。今までならパワーホールドを使っても押し負ける事があったのに」
「何の話をしているんだ?」
「こっちの事だ、気にするな」
膝をついていたバダグはゆっくりと立ち上がる。
「バダグ、もう勝負はあったんじゃないか?」
「黙れ、まだ終わってはいない」
「別に死ぬまで戦う必要は無いんじゃ無いのか?」
「お前には分からない事もあるんだ」
バダグは再び殴り掛かって来る。が、ダメージにより動きが鈍い。
「もう満足には動けないだろう。そんな状態では俺には勝てないぜ」
「く……俺はまだ死ぬ訳にはいかない」
「だったら降参しろ。そうすれば命までは……」
「うおおっ!」
バダグは力を開放し無属性の大きな気弾を地面にぶつけた。一瞬、視界が狭まる。その間にバダグはテレポートで移動してしまった。
「しまった、逃げられたのか!」
「レシア、どうしよう?」
「いや、それより俺達はどうすれば…」
「残ったアサシンはここで死ぬか投降するか選ばせてやろう」
「……大人しく捕まるしか無いじゃないか」
「それで良いだろう。……シヴァ、頼みがある」
「何だ?」
「俺をテレポートでアサシン本部のバダグの部屋まで送ってくれ」
「何だって?」
「細かい説明をするのは……面倒だ」
「……」
「ナーダ、俺は決着を着けて来るよ」
「レシア、もしかして私を置いて行こうとしてない?」
「流石にここから先は何が起こるか分からないし、そもそも危険すぎる」
「村の仇は私の仇でもあるんだよ」
「俺に任せてくれればいいだろう」
「私はレシアと一緒に居たいの」
「……ったく、どうなっても知らないからな」
「うん!」
「何かよく分からないけど、もう俺の出る幕では無さそうだな」
「シヴァ、後は俺に……俺達に任せてくれ」
「バダグの事は任せるよ」
シヴァのテレポートが発動する。光に包まれてレシアとナーダはアサシン本部長室まで転移した。
暖炉奥の部屋にはブルーが居た。
「ブルー?」
「レッド、何でこんな所に?」
「ああ、ちょっとな」
「ブルーさん、バダグさんは?」
「それなんだけど、さっきバダグがテレポートで帰って来たの。でも何も言わないし傷だらけだし、それにその水晶に吸い込まれてきえてしまったのよ」
「そうか……あいつは自分の意思で異空間に行けるのか」
「異空間?」
「ニサラレスの居る所さ」
「アンタ、それ知っているの?」
「ああ、知っている。全部な」
「……」
「ブルーさん……?」
「バダグはどうなってしまうの?」
「分からない。でもこのまま放置すれば、間違いなくバダグは死ぬ」
「……そう。じゃあどうするつもりなの?」
「異空間に乗り込む。そしてニサラレスを倒す。そうすればバダグも助かるかもしれない」
レシアはルーン鉱石の前に立つ。ブルーは邪魔をする気は無さそうだ。
「でもどうするの?」
「こいつはニサラレスの封印みたいな役割を持っているんだ。時間経過で段々と弱って来るから、そうなると封印が綻んで異空間に行ける様になるハズなんだ」
「え、何時になるかも分からないのを待つの?」
「そうだ。ブルーが魔力を吸い取る魔法とかを使えるのなら別だが」
「え……ご飯とかどうするの?」
「食べたいなら買って来いよ」
「えー、その間に何かあったら嫌じゃん」
「じゃあ大人悪しく待っているんだな」
とは言え、想像以上に時間が掛かってしまうと本当に空腹になる。腹が鳴る位は構わないが、栄養不足で身体の動きが悪くなるのは避けたいか……
「実際にどれ位の時間が掛かるかは分からないもんな……本気で食策を考えた方が良いのか?」
「じゃあ取り敢えずご飯買って来ようよ。沢山買い置きすれば……」
「……あ~いや、どうやら食事の心配はいらないみたいだ」
「え?」
いつの間にかルーン鉱石から邪悪な魔力が溢れ出し始めていた。
「流石だ。凄い威力だな」
「俺はこの拳でずっとやっているからな」
「そうかもな。でも、何回も見ていれば嫌でも慣れて来る」
「何だと?」
今までの経験則……とでも言えば良いのか。この攻撃の後にどの攻撃に繋げて来るのかだいたい分かった。バダグの次の攻撃をかわしてバダグの腕に斬り付けた。
「ぐっ、よく見切ったな」
「お前もやる。俺は身体を斬りに行ったんだぞ」
「そう簡単には殺らせんさ」
バダグは蹴りを出し、そのまま流れで殴りかかて来た。
「危なっ、あの蹴りを食らうと足が馬鹿になるからな。……そこだ!」
レシアはバダグの拳へ剣をぶつける。剣同士なら鍔競り合いだ。
「こんなもので!」
「まだ終わらないぞ、パワーホールド!」
「な、何っ!」
パワーホールドでパワーアップしたレシアの剣は、一気にバダグを押し返す。剣を滑らせてバダグの脇腹を斬った。
「ぐ……まさか押し負けるとは」
「いや、俺も段々と強くなっているんだな。今までならパワーホールドを使っても押し負ける事があったのに」
「何の話をしているんだ?」
「こっちの事だ、気にするな」
膝をついていたバダグはゆっくりと立ち上がる。
「バダグ、もう勝負はあったんじゃないか?」
「黙れ、まだ終わってはいない」
「別に死ぬまで戦う必要は無いんじゃ無いのか?」
「お前には分からない事もあるんだ」
バダグは再び殴り掛かって来る。が、ダメージにより動きが鈍い。
「もう満足には動けないだろう。そんな状態では俺には勝てないぜ」
「く……俺はまだ死ぬ訳にはいかない」
「だったら降参しろ。そうすれば命までは……」
「うおおっ!」
バダグは力を開放し無属性の大きな気弾を地面にぶつけた。一瞬、視界が狭まる。その間にバダグはテレポートで移動してしまった。
「しまった、逃げられたのか!」
「レシア、どうしよう?」
「いや、それより俺達はどうすれば…」
「残ったアサシンはここで死ぬか投降するか選ばせてやろう」
「……大人しく捕まるしか無いじゃないか」
「それで良いだろう。……シヴァ、頼みがある」
「何だ?」
「俺をテレポートでアサシン本部のバダグの部屋まで送ってくれ」
「何だって?」
「細かい説明をするのは……面倒だ」
「……」
「ナーダ、俺は決着を着けて来るよ」
「レシア、もしかして私を置いて行こうとしてない?」
「流石にここから先は何が起こるか分からないし、そもそも危険すぎる」
「村の仇は私の仇でもあるんだよ」
「俺に任せてくれればいいだろう」
「私はレシアと一緒に居たいの」
「……ったく、どうなっても知らないからな」
「うん!」
「何かよく分からないけど、もう俺の出る幕では無さそうだな」
「シヴァ、後は俺に……俺達に任せてくれ」
「バダグの事は任せるよ」
シヴァのテレポートが発動する。光に包まれてレシアとナーダはアサシン本部長室まで転移した。
暖炉奥の部屋にはブルーが居た。
「ブルー?」
「レッド、何でこんな所に?」
「ああ、ちょっとな」
「ブルーさん、バダグさんは?」
「それなんだけど、さっきバダグがテレポートで帰って来たの。でも何も言わないし傷だらけだし、それにその水晶に吸い込まれてきえてしまったのよ」
「そうか……あいつは自分の意思で異空間に行けるのか」
「異空間?」
「ニサラレスの居る所さ」
「アンタ、それ知っているの?」
「ああ、知っている。全部な」
「……」
「ブルーさん……?」
「バダグはどうなってしまうの?」
「分からない。でもこのまま放置すれば、間違いなくバダグは死ぬ」
「……そう。じゃあどうするつもりなの?」
「異空間に乗り込む。そしてニサラレスを倒す。そうすればバダグも助かるかもしれない」
レシアはルーン鉱石の前に立つ。ブルーは邪魔をする気は無さそうだ。
「でもどうするの?」
「こいつはニサラレスの封印みたいな役割を持っているんだ。時間経過で段々と弱って来るから、そうなると封印が綻んで異空間に行ける様になるハズなんだ」
「え、何時になるかも分からないのを待つの?」
「そうだ。ブルーが魔力を吸い取る魔法とかを使えるのなら別だが」
「え……ご飯とかどうするの?」
「食べたいなら買って来いよ」
「えー、その間に何かあったら嫌じゃん」
「じゃあ大人悪しく待っているんだな」
とは言え、想像以上に時間が掛かってしまうと本当に空腹になる。腹が鳴る位は構わないが、栄養不足で身体の動きが悪くなるのは避けたいか……
「実際にどれ位の時間が掛かるかは分からないもんな……本気で食策を考えた方が良いのか?」
「じゃあ取り敢えずご飯買って来ようよ。沢山買い置きすれば……」
「……あ~いや、どうやら食事の心配はいらないみたいだ」
「え?」
いつの間にかルーン鉱石から邪悪な魔力が溢れ出し始めていた。