第41話
文字数 1,932文字
「ここがブラックさんの住んで居るビルなの?」
「ああ、ライトビルだ。ブラックがライトビルに住んで居るなんて笑わせてくれるがな」
「ホワイトビルだったらもっと良かったのにね」
「確かに」
ホワイトビルと言っても信用出来そうな位に白い外壁のビルへ忍び込んだ。
「ブラックは最上階の特別室に住んで居る。行こう」
「わあ、お金持ち」
一気に階段を昇り始める。途中でナーダが息切れし、3回休憩を挟んだ。その間でも誰が襲って来る訳でも無かった。特に警備は配置されていない様だ。
「この感じだと、ブラックは俺の現状を知らされて居ないのかもしれないな」
「引っ越ししてたりして」
「それは勘弁願いたいが……」
最上階に辿り着く。この上は屋上があるだけだ。意を決してドアをノックする。
「はーい」
呑気な声がして1人の男がドアを開ける。間違いなく元アサシン本部長のブラックだった。
「ブラック、久し振りだな」
「ん~? ああ、レッド・アサシンじゃないか。久し振りだな」
ブラックは警戒もせずにレシア達を招き入れた。部屋のソファーに座って寛ぐ。
「だいぶ活躍してるんだって? 引退した俺にも名声が聞こえて来るよ。しかしこんな所にどうした? 引退した俺では何の役にも立てないと思うが」
「ブラック、俺の事は何も聞いていないのか?」
「レッド・アサシンの事? 活躍以外に? 分からないが……別に俺をロックしに来た訳じゃないだろ?」
「まあ、そうでは無い。でもちょっと聞きたい事がある。ってかそもそも、俺はもうアサシンを辞めたんだ」
「そうなのか? 退職の挨拶? それともその横に居る女の子と結婚でもするから挨拶に来た?」
「ナーダは関係ない……なくは無いが」
「可愛い子じゃないか」
「え……ど、どうも」
「聞きたい事があるってのは?」
「……ダーク・アサシンに関してだ」
「ダーク・アサシン……どこでその名前を聞いた?」
「レシア、ブラックさん急に……」
「ああ、表情が変わったな。ダーク・アサシンについて知っているんだろ?」
「それを聞いてどうするつもりなんだ?」
「ダーク・アサシンこそ、俺が探し続けていたヤツなんだ。故郷のルーン村を襲ったアサシンなんだ」
「……そうか。お前はあの村の者だったのか。それを知っていれば、とうの昔に殺していたものを」
「喋って貰うぞ。例え拷問にかけてでもな」
ブラックは何も言わずに手元の剣を拾い、レシアに斬り掛かってきた。レシアは剣を叩き落とし、ルーンソードをブラックの首に宛がった。
「く、流石に現役の者には敵わないか」
「ダーク・アサシンってのはそこまでして庇うべき相手なのか?」
「俺は俺の命以上に大切な者は存在しない」
「じゃあ喋ってくれるな?」
暫くの静寂の後、上の方から音が聞こえた。
「なに、この音は?」
「この音……飛行船のプロペラの音か?」
「やっと来たか!」
「!?」
ブラックは隙を見付け、何かを床に叩きつけた。その何かが鋭い光を放ちながら爆発した。
「これは何だ!?」
「眩しくて何も見えないよ……」
「ヤツの事を話せば俺は殺されるかもしれん。行っただろ? 俺の命以上に大切な者は無いと!」
足音が遠ざかっていく。光が収まるとブラックの姿は消えていた。
「逃げられた……いや、屋上なのか?」
「分からないけど追いかけましょう」
「そうだな」
ブラックが屋上に行ったのか確信は無かったが、取り敢えず屋上へ向かった。
屋上の中央には思った通り、飛行船があった。飛行船はそのまま動いて行ってしまった。
「そんな、ここまで来て逃げられるなんて」
「そう、それは残念だったわね」
「あ……ブルーさん」
屋上にはブルーだけが残った。
「お前が来たのか」
「そうね。ビルのセキュリティが働いて侵入者を知らせてきたの。まさかアンタ達だとは思わなかったけど」
「それで飛行船を?」
「ええ。さっき着いたところよ」
「ブラックは何処へ向かった?」
「私は知らないわ。ブラックが決めるでしょう。それより、これ以上は知らない方が良いわ。村の事は諦めなさい」
「よく言う。散々付け狙っておいて。それにもう手遅れだろう?」
「そうかもね。それにしてもナーダと再会してから情熱的になったわね。そっちが本当のアンタかしら?」
「どっちも本当の俺だ」
「そうなの。まあ良いわ。さて、どうしましょうか?」
「見逃す気は無いんだろう?」
「新しい必殺技の威力を試してみたくもあるけど、実は他の任務へ向かう途中なの」
「そうか。だったらさっさと行っちまいな」
「一応、ナーダもロックのターゲットとして残ってるのよ? 見逃す事は難しいわね。だから、アンタ達の相手はコイツに任せるわ」
「コイツ?」
「ふふふ……俺を呼んだかね?」
「この声はクラスタ?」
奥の方で霧の中からクラスタが現れた。
「ああ、ライトビルだ。ブラックがライトビルに住んで居るなんて笑わせてくれるがな」
「ホワイトビルだったらもっと良かったのにね」
「確かに」
ホワイトビルと言っても信用出来そうな位に白い外壁のビルへ忍び込んだ。
「ブラックは最上階の特別室に住んで居る。行こう」
「わあ、お金持ち」
一気に階段を昇り始める。途中でナーダが息切れし、3回休憩を挟んだ。その間でも誰が襲って来る訳でも無かった。特に警備は配置されていない様だ。
「この感じだと、ブラックは俺の現状を知らされて居ないのかもしれないな」
「引っ越ししてたりして」
「それは勘弁願いたいが……」
最上階に辿り着く。この上は屋上があるだけだ。意を決してドアをノックする。
「はーい」
呑気な声がして1人の男がドアを開ける。間違いなく元アサシン本部長のブラックだった。
「ブラック、久し振りだな」
「ん~? ああ、レッド・アサシンじゃないか。久し振りだな」
ブラックは警戒もせずにレシア達を招き入れた。部屋のソファーに座って寛ぐ。
「だいぶ活躍してるんだって? 引退した俺にも名声が聞こえて来るよ。しかしこんな所にどうした? 引退した俺では何の役にも立てないと思うが」
「ブラック、俺の事は何も聞いていないのか?」
「レッド・アサシンの事? 活躍以外に? 分からないが……別に俺をロックしに来た訳じゃないだろ?」
「まあ、そうでは無い。でもちょっと聞きたい事がある。ってかそもそも、俺はもうアサシンを辞めたんだ」
「そうなのか? 退職の挨拶? それともその横に居る女の子と結婚でもするから挨拶に来た?」
「ナーダは関係ない……なくは無いが」
「可愛い子じゃないか」
「え……ど、どうも」
「聞きたい事があるってのは?」
「……ダーク・アサシンに関してだ」
「ダーク・アサシン……どこでその名前を聞いた?」
「レシア、ブラックさん急に……」
「ああ、表情が変わったな。ダーク・アサシンについて知っているんだろ?」
「それを聞いてどうするつもりなんだ?」
「ダーク・アサシンこそ、俺が探し続けていたヤツなんだ。故郷のルーン村を襲ったアサシンなんだ」
「……そうか。お前はあの村の者だったのか。それを知っていれば、とうの昔に殺していたものを」
「喋って貰うぞ。例え拷問にかけてでもな」
ブラックは何も言わずに手元の剣を拾い、レシアに斬り掛かってきた。レシアは剣を叩き落とし、ルーンソードをブラックの首に宛がった。
「く、流石に現役の者には敵わないか」
「ダーク・アサシンってのはそこまでして庇うべき相手なのか?」
「俺は俺の命以上に大切な者は存在しない」
「じゃあ喋ってくれるな?」
暫くの静寂の後、上の方から音が聞こえた。
「なに、この音は?」
「この音……飛行船のプロペラの音か?」
「やっと来たか!」
「!?」
ブラックは隙を見付け、何かを床に叩きつけた。その何かが鋭い光を放ちながら爆発した。
「これは何だ!?」
「眩しくて何も見えないよ……」
「ヤツの事を話せば俺は殺されるかもしれん。行っただろ? 俺の命以上に大切な者は無いと!」
足音が遠ざかっていく。光が収まるとブラックの姿は消えていた。
「逃げられた……いや、屋上なのか?」
「分からないけど追いかけましょう」
「そうだな」
ブラックが屋上に行ったのか確信は無かったが、取り敢えず屋上へ向かった。
屋上の中央には思った通り、飛行船があった。飛行船はそのまま動いて行ってしまった。
「そんな、ここまで来て逃げられるなんて」
「そう、それは残念だったわね」
「あ……ブルーさん」
屋上にはブルーだけが残った。
「お前が来たのか」
「そうね。ビルのセキュリティが働いて侵入者を知らせてきたの。まさかアンタ達だとは思わなかったけど」
「それで飛行船を?」
「ええ。さっき着いたところよ」
「ブラックは何処へ向かった?」
「私は知らないわ。ブラックが決めるでしょう。それより、これ以上は知らない方が良いわ。村の事は諦めなさい」
「よく言う。散々付け狙っておいて。それにもう手遅れだろう?」
「そうかもね。それにしてもナーダと再会してから情熱的になったわね。そっちが本当のアンタかしら?」
「どっちも本当の俺だ」
「そうなの。まあ良いわ。さて、どうしましょうか?」
「見逃す気は無いんだろう?」
「新しい必殺技の威力を試してみたくもあるけど、実は他の任務へ向かう途中なの」
「そうか。だったらさっさと行っちまいな」
「一応、ナーダもロックのターゲットとして残ってるのよ? 見逃す事は難しいわね。だから、アンタ達の相手はコイツに任せるわ」
「コイツ?」
「ふふふ……俺を呼んだかね?」
「この声はクラスタ?」
奥の方で霧の中からクラスタが現れた。