第46話
文字数 1,966文字
魔物の爪を剣で受け止める。今まで戦った事のある魔物よりワンランク強い。
「くっ、やるじゃないか」
「大丈夫、魔物相手だったら……ルーンクラッシュ!」
光が魔物に当たり、光の爆発を起こす。倒せはしないが、ダメージは明らかにあった。ルーンクラッシュの威力が低いのでは無く、魔物の耐久力が高いのだろう。
「魔物なんかに時間を掛けている暇は無い!」
レシアは怯んだ魔物に斬り付けた。剣が直撃するが、魔物はまだ死んでいない。ナーダの再度のルーンクラッシュを受けて、魔物は消え去った。
「……タフだな」
「こんな魔物が一瞬で召喚されちゃうなんて」
「ほう、よく勝てたな。流石と言っておこう」
「こんな所まできて簡単に負けられるか」
「良いだろう。お前も直々に殺された方が成仏出来るという物だろう」
「お前はルーン鉱石の為に村を滅ぼしたのか?」
「村の関係者は全員殺したつもりだったのにな。まさか2人も討ち漏らすなんて思わなかったよ」
「ぐ……あと、チャードに嘘を吹き込んだのは何故だ?」
「ああ、大した意味は無いが……お前を村の仇と教えれば、意地になってお前を殺してくれると思っただけだ」
「酷いわ、そんな事」
「何とでも言うが良い」
「バダグ……俺がお前を殺してやる。そして俺の戦いを終わらせるんだ」
いつものセスタスを装着したバダグがこちらへ向かって歩いて来た。
「さあ、来いレッド。今こそ雌雄を決する!」
「行くぞ、バダグ。パワーホールド!」
バダグがとレシアの方へ寄って来た。素早いパンチを出してくるが、気のせいか普段より動きが悪く感じる。
「どうした? 隊長でも悪いのか? 動きが悪いぜ」
「お前には関係の無い事だ」
レシアの剣をかわしてバダグは蹴りをレシアの足に当てる。
「どうだ?」
「くっ、やっぱり強いな。格闘術では俺に勝ち目は無いか。」
「レシア、頑張って。」
「はいよ!」
レシアの次の攻撃をセスタスで受け止めて、バダグはパンチをレシアの腹に撃ち込んだ。
「ぐ……やばい、肋骨がイカれたかもしれない」
「安心しろ。すぐに痛みを感じなくしてやるからな」
「そうはいくかよ」
レシアは気弾を撃ち出す。それを拳で弾き飛ばしたバダグに剣を振るう。一瞬の隙を突かれたバダグの肩を剣が通り抜けて行く。
「よし!」
「ま、まさか……あんな攻撃を食らってしまうなんて」
「俺は日々成長している。いつまでも昔の俺だと思うな」
「く、左腕が動かない」
レシアは左側から大きく振りかぶって斬り掛かった。セスタスで弾くが、勢いに押されてバランスを崩す。
「しまった……」
「今だ、これで終わりだ! バダグ!」
「くそっ!」
一気に剣を振り下ろして、バダグの身体を斬り裂いた。
「……く、こんな所で死ぬのか?」
「これ以上ない場とも言える。どこか分からない所でひっそりと死ぬよりいいだろう」
「まあ……確かに、名前も知らない様なヤツに後ろから刺されて死ぬよりマシ……か」
バダグはそのまま倒れ込んだ。
「これで全て終わった……村の仇も、レッド・アサシンも……」
「ぐ、忠告しておいてやろう。アサシン本部は誰かが俺の代わりに本部長になっていくだろう。ハンターも今は壊滅状態。このままではアサシンとハンターの戦争が起こるだろう」
「……そうかもしれないが、ティアマットを相手にするよりは良いだろうさ」
「……ふっ」
バダグは少し微笑んで目を閉じた。
これで一旦、この戦いは終わり。レシアの戦いは一先ずの終焉を迎え…………
その時、不思議な事が起こった。
レッドの首に下がっていた紅い宝石が眩く光り輝く。フッと身体が楽になり、レッドは光に包まれていった。
「……思い出した。これは時間の路へ向かう……でも何でなんだ?」
光が収まると、時間の路に立っていた。近くにはルーンの姿もある。
「ここは時間の路。レシア、貴方の思う未来にはなりましたか?」
「ルーン……俺はどうして此処に戻って来てしまったんだ? 村の仇も取ったし、ナーダも無事だ。俺が死んだりもしていないのに?」
「それは私には分かりません」
「これ以上ないエンディングだと思うんだけど……」
「どうやら貴方の心はそう思っていない様ですね」
「心?」
「貴方の心の奥に潜む潜在意識が、本当に納得出来ていないのでしょう」
「俺は……これ以上の何かを求めているって言うのか?」
「それを確かめる為にも、今1度時間の扉を開けてみてはいかがでしょうか?」
「……」
※横話Eが解禁されました。現状でのエピローグを垣間見る事が可能になります。ただし、これがこの物語の最終的なエピローグではありません。レシアはこのエピローグを見た後、また時間の扉を開ける事になります。
レシアは躊躇いながらもゆっくりと時間の扉の前へ行く。
「……まだこれ以上の何かがあるって言うんだろうか」
時間の扉が開いて、光が全てを飲み込んだ。
「くっ、やるじゃないか」
「大丈夫、魔物相手だったら……ルーンクラッシュ!」
光が魔物に当たり、光の爆発を起こす。倒せはしないが、ダメージは明らかにあった。ルーンクラッシュの威力が低いのでは無く、魔物の耐久力が高いのだろう。
「魔物なんかに時間を掛けている暇は無い!」
レシアは怯んだ魔物に斬り付けた。剣が直撃するが、魔物はまだ死んでいない。ナーダの再度のルーンクラッシュを受けて、魔物は消え去った。
「……タフだな」
「こんな魔物が一瞬で召喚されちゃうなんて」
「ほう、よく勝てたな。流石と言っておこう」
「こんな所まできて簡単に負けられるか」
「良いだろう。お前も直々に殺された方が成仏出来るという物だろう」
「お前はルーン鉱石の為に村を滅ぼしたのか?」
「村の関係者は全員殺したつもりだったのにな。まさか2人も討ち漏らすなんて思わなかったよ」
「ぐ……あと、チャードに嘘を吹き込んだのは何故だ?」
「ああ、大した意味は無いが……お前を村の仇と教えれば、意地になってお前を殺してくれると思っただけだ」
「酷いわ、そんな事」
「何とでも言うが良い」
「バダグ……俺がお前を殺してやる。そして俺の戦いを終わらせるんだ」
いつものセスタスを装着したバダグがこちらへ向かって歩いて来た。
「さあ、来いレッド。今こそ雌雄を決する!」
「行くぞ、バダグ。パワーホールド!」
バダグがとレシアの方へ寄って来た。素早いパンチを出してくるが、気のせいか普段より動きが悪く感じる。
「どうした? 隊長でも悪いのか? 動きが悪いぜ」
「お前には関係の無い事だ」
レシアの剣をかわしてバダグは蹴りをレシアの足に当てる。
「どうだ?」
「くっ、やっぱり強いな。格闘術では俺に勝ち目は無いか。」
「レシア、頑張って。」
「はいよ!」
レシアの次の攻撃をセスタスで受け止めて、バダグはパンチをレシアの腹に撃ち込んだ。
「ぐ……やばい、肋骨がイカれたかもしれない」
「安心しろ。すぐに痛みを感じなくしてやるからな」
「そうはいくかよ」
レシアは気弾を撃ち出す。それを拳で弾き飛ばしたバダグに剣を振るう。一瞬の隙を突かれたバダグの肩を剣が通り抜けて行く。
「よし!」
「ま、まさか……あんな攻撃を食らってしまうなんて」
「俺は日々成長している。いつまでも昔の俺だと思うな」
「く、左腕が動かない」
レシアは左側から大きく振りかぶって斬り掛かった。セスタスで弾くが、勢いに押されてバランスを崩す。
「しまった……」
「今だ、これで終わりだ! バダグ!」
「くそっ!」
一気に剣を振り下ろして、バダグの身体を斬り裂いた。
「……く、こんな所で死ぬのか?」
「これ以上ない場とも言える。どこか分からない所でひっそりと死ぬよりいいだろう」
「まあ……確かに、名前も知らない様なヤツに後ろから刺されて死ぬよりマシ……か」
バダグはそのまま倒れ込んだ。
「これで全て終わった……村の仇も、レッド・アサシンも……」
「ぐ、忠告しておいてやろう。アサシン本部は誰かが俺の代わりに本部長になっていくだろう。ハンターも今は壊滅状態。このままではアサシンとハンターの戦争が起こるだろう」
「……そうかもしれないが、ティアマットを相手にするよりは良いだろうさ」
「……ふっ」
バダグは少し微笑んで目を閉じた。
これで一旦、この戦いは終わり。レシアの戦いは一先ずの終焉を迎え…………
その時、不思議な事が起こった。
レッドの首に下がっていた紅い宝石が眩く光り輝く。フッと身体が楽になり、レッドは光に包まれていった。
「……思い出した。これは時間の路へ向かう……でも何でなんだ?」
光が収まると、時間の路に立っていた。近くにはルーンの姿もある。
「ここは時間の路。レシア、貴方の思う未来にはなりましたか?」
「ルーン……俺はどうして此処に戻って来てしまったんだ? 村の仇も取ったし、ナーダも無事だ。俺が死んだりもしていないのに?」
「それは私には分かりません」
「これ以上ないエンディングだと思うんだけど……」
「どうやら貴方の心はそう思っていない様ですね」
「心?」
「貴方の心の奥に潜む潜在意識が、本当に納得出来ていないのでしょう」
「俺は……これ以上の何かを求めているって言うのか?」
「それを確かめる為にも、今1度時間の扉を開けてみてはいかがでしょうか?」
「……」
※横話Eが解禁されました。現状でのエピローグを垣間見る事が可能になります。ただし、これがこの物語の最終的なエピローグではありません。レシアはこのエピローグを見た後、また時間の扉を開ける事になります。
レシアは躊躇いながらもゆっくりと時間の扉の前へ行く。
「……まだこれ以上の何かがあるって言うんだろうか」
時間の扉が開いて、光が全てを飲み込んだ。