第3話

文字数 1,894文字

「相変わらず時間ピッタリに来るのね」
「遅刻した訳じゃ無い」
「はいはい」


 ターゲットはこの河川敷を護衛と共に歩いて、ハンター支部へ向かうらしい。護衛の分の報酬は出ないが、どう考えても殺るしか無いだろう。


「なあブルー。バダグとハンター本部長ってどっちが強いだろうな?」
「いきなり何? ハンター本部長を見た事が無いから分からないわね」
「まあ、そりゃそうだな」
「でもバダグが負けるなんて想像出来ないけど」


 バダグはアサシンの本部長。気さくに見えてかなりの実力者だ。バダグに勝てる可能性があるとするなら、引退した元本部長のブラックくらいだろうか?


「アサシンのコードネーム、色とそうじゃない奴の違いってあるのか?」
「私が知る訳無いでしょ」
「まあ、そりゃそうだな」



 もうすぐ時間だ。時期にターゲットが現れるはず。




 その時、後ろに殺気を感じる。


「なっ!?」
「しまったわね」


 ターゲットの護衛と思わしき2人組が、剣を構えて居た。レッド達は仕方無く河川敷へ降り立つ。護衛達も同じく河川敷へ降りて来た。


「向こうに複数人の人影が見えた。きっとターゲットだ」
「読まれてた? まさか情報が漏れていたの?」
「分からない。単に用心深いだけかもよ」


 2人で護衛達に駆け寄る。こうなりゃ殲滅戦だ。


 まずレッドが護衛の1人に斬り掛かる。その1撃は確実に喉元を切り裂いた。斬られた護衛は血飛沫を上げて倒れる。

 ブルーはアイスの魔法で護衛の足元を凍らせる。動けない相手に容赦なくアサシンダガーを突き立てた。護衛は成す術も無く崩れ落ちる。



「やっぱり、向こうも気付いているな」
「そうでしょうね。油断しない様に」
「分かってるさ」



 奥から1人の女魔法使いと、3人の護衛が歩いてくる。どうやら向こうもアサシンの登場を待っていた様だ。


「本命登場だな」
「リュートね。覚悟して貰うわ」


 リュートと呼ばれた魔法使いは杖を振りかざす。


「貴方たちはスウァム様を殺したアサシンかしら?」
「さあ、どうだろうな。アサシンはいっぱい居る。俺達がお前のターゲットとは限らないぜ」
「まあどちらでもいいわ。アサシンは全員殺す!」
「あら、駄目ねぇ。女の子がそんな言葉遣いをしてちゃ」


 護衛が襲い掛かって来る。


「はぁ……めんどい」
「ため息吐かないの。ウィンドカッター!」


 真空の刃が護衛の1人に襲い掛かり、その首を切り裂いた。護衛がそれに気を取られた瞬間に、レッドがもう1人を切り裂く。喉を切り裂かれた護衛は声も出せずに倒れ込む。


「この! ファイア!」


 リュートは火球を飛ばしてきたが、レッドがその火球を切り払った。その間にブルーがアイスの魔法で残った護衛の頭部を凍らせる。息が出来ずに護衛は倒れた。




「さて、あと1人か」
「油断しないの。その1人が今回のターゲットなのよ」
「ああ」


 リュートは再びファイアの魔法を撃ち出した。レッドは火球をかわし、リュートへ走り出す。


「そんな魔法しか打てないのに、俺に勝てると思ったのか」
「終わらせるわ。ウィンドカッター」


 ブルーのウィンドカッターがリュートの右腕を切断し、レッドのアサシンダガーがリュートの左腕を切断した。


「ぐ……そ、そんな」


 リュートは力なくその場に倒れる。ブルーはその背中へアサシンダガーを突き立ててそのまま横へ切り払う。リュートはじきに動かなくなった。



「ロック完了ね」
「そうだな。さて、冥福を祈るか」
「またそうやって……まあ良いわ。私は先に戻るわ。アサシン本部で待ってるわね」


 ブルーは軽くため息を吐いて消えて行った。後には沢山の死体とレッドのみが残る。レッドは暫く祈っていた。



「……いつになったら、この戦いは終わるんだろう。」


 ボソッと呟いて、レッドもその場を離れた。






「おっ、戻って来たね。大変だった?」
「別に、人数が多くて面倒だっただけだ」
「流石だね」


 アサシン本部へ戻ると、バダグとブルーが待っていた。先にブルーから報告を受けていたようだ。


「はい、今回の報酬だ」
「どうも。ところで、もう他に依頼は無いでしょうね?」
「2日連続で依頼も珍しいからな。増えてんの? 依頼」
「いや、もう大丈夫。少しあったけど、他のアサシンに回ったから」


「そうか。……さて、変に時間も余ったな。どうするか」
「じゃあ近くの洞窟に訓練でもしに行ったらどう?」
「ふむ……それも1つか。今回の依頼もそんなに疲れた訳じゃ無いし。ブルーはどうだ?」
「そうね……昼食が遅かったから夕食にも早いし、行きましょうか。」

「バダグ、お前はどうするんだ?」
「え、俺は面倒なのは嫌だな」
「そうか分かった、連行しよう」
「そうね、たまには運動しなさい」
「えええ!?」





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登場人物紹介

【レッド】

腕利きのアサシン。

とある目的の為にアサシンとなった彼は、その手を血に染めていく。

序盤はダガーを使用し、闇属性の魔法も使用可能。

【ブルー】

レッドの相棒であるアサシン。

金が好きで基本的に冷めた性格である。

どういった経緯でアサシンになったかは不明。

ダガーを使用し、風属性と水属性の魔法も使用可能。

【バダグ】

アサシン本部の部長。

普段はラフな喋り方だが、実力はアサシンでも最強クラス。

セスタスを装着し、格闘術を得意とする。

【ナーダ】

レッドの幼馴染。

とある場所で再会する。

杖を装備しており、光属性と回復の魔法が使用可能。

【シヴァ】

ハンター本部の部長。

エルフであり、魔力が高い。

長剣を使用し、無属性の魔法を使用可能。

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