第17話
文字数 2,021文字
「おっ、美味いじゃん」
「そうでしょ。でも既製品ばかりじゃない。ちゃんと炊事しないと駄目だよ」
「放っておけ」
アサシン本部でバラムロックの報酬を受け取ったあと、今後ハンターに狙われる可能性を考慮してブルーとの相棒解消をバダグに申し出た。その折にナスナ・クールという元ハンターのロック依頼を引き受けてきた。元ハンターならルーン村の事件に関して何か知っているかもしれないからだ。
「ご飯が済んだらハンター支部に行ってくるね」
「ハンター支部?」
「レシアを見付けてくれた依頼の報酬をまだ払って無いし」
「そうか。でもよくハンターに依頼する金なんてあったな」
「家に残っていた無事そうな物を売ったりしたの。それに今は教会でお掃除や洗濯のアルバイトをしてるのよ」
「そうか、偉いんだな」
「レシアにも紹介しようか?」
「俺に火事は向いてない」
「そうね。村でも狩猟専門だったもんね」
あの頃は幸せだった……と思う。ゆっくりのんびり狩りをして、肉や毛皮を売ったり食べたりして生活出来ていた。どうしても厳しい時でも、村の特産品を売って生活出来ていた。
「あ、もうこんな時間。先に行くね」
「ああ。洗いモンくらいはやっておくよ」
「あんまり危ない事をしちゃ駄目なんだよ!」
「早く行け」
ナーダは急ぎ足で出て行った。急に家が静かになってしまった。
「ナスナ……今日会えるだろうか?」
暗くなってきてから、レッドはナスナの出現する可能性が高いと聞いていたスラム街へ向かった。
そこに居合わせたナスナと交戦し、レッドは鹹くも勝利を収める。接戦の末の勝利だった為、手加減が出来ずに情報を得る前にナスナを殺してしまった。
ため息を吐くレッドの前にブルーに終われているナーダが現れた。誰からかの依頼でナーダのロックをしようとしていたのだ。
「……ブルー」
「レッド? アンタ何でここに?」
「これはどういう事だ?」
「依頼が入ったの。ナーダを消せって依頼がね」
「何だって……?」
「貴方もアサシンなら分かるでしょ? 仕事に私情を挟む訳にはいかないの。レッドには関係の無い事よ」
「……………」
どうする……? 確かにアサシンとして、ブルーの邪魔をする事は許されない。邪魔をすれば俺は反逆者として扱われるかもしれない。
だが……ナーダが死んでも良いのか?村のたった1人の生き残りじゃないか。昔から知っている、妹みたいな存在なんだ……
「……………」
違和感……いや、既視感……?
一瞬、アサシンとしてナーダを見殺しにする展開を考えてしまった。でも冷静になって考えろ。
「ブルー、悪いな」
「……レッド?」
「村の仇を見付ける事は大事だ。でも生きているヤツの方がもっと大事だろ? 幼馴染だったら尚更だ」
「レシア……」
「アンタ……言ってる意味は分かってるの?」
「俺は村の仇を討ちたい。でも、だからってナーダを見殺しにしてまでアサシンにしがみ付こうなんて決して思わない!」
「……アサシンを辞める覚悟が出来てしまったみたいね。でもよく考えて。今の内なら不問にしてあげても良いわ。ナーダさえ引き渡してくれるならね」
「くどい。ここでナーダを引き渡すくらいなら、最初からそうしている」
「交渉決裂かしら」
「そうだな」
「死にたいのね」
「どっちが?」
レッドは剣を構える。ブルーもダガーを構える。今までブルーとは戦った事が無かった。模擬戦すらしていない。それでも今まで相棒として3年も一緒に戦って来た。ブルーの攻撃はよく知っている。
ブルーはダガーで突いてきた。レッドは弾いたりかわしたりするが、絶妙な距離での攻撃に反撃できない。ブルーの攻撃が分かる様に、ブルーもレッドの攻撃を知っているのだ。
「なかなかいい感じに攻めて来やがるな」
「簡単に殺られる訳にはいかないのよ」
ブルーはウィンドカッターを撃って来た。レッドはその風の刃を剣で斬り裂く。
「ウィンドカッターの対処法を教えてくれたのは……ブルー、お前だったな」
「よく覚えてて、あの一瞬に対処できたわね」
「結局アイスの魔法だって同じ事。お前の魔法は俺には通用しない」
「残念ながらアンタより頭は良い方なの」
ブルーはアイスを連続で放つ。1発目は剣で斬り裂いたが、その間に他のアイスがレッドの周りの空間を氷で塞ぎ始めた。
「なるほど、直接攻撃だけでは無いって事か」
「これで詰んだんじゃないかしら?」
「流石にそれは見縊り過ぎだ、パワーホールド!」
一気に周りの氷を斬り裂いた。こっちへ近付いて来ていたブルーは慌てて停止する。
「シャドウ!」
闇属性の魔力の塊がブルーにぶつかり、ブルーは後ろへと飛ばされる。
「くっ、久し振りに見たわね。アンタの魔法を」
「これともう1つしか使用できないからな。威力も弱いから斬った方が早い。でも今回はその弱い魔法のお陰でゲームセットだ」
どうやら今のシャドウでブルーは腕を痛めた様だ。本当に威力は弱いので、殺すどころか骨を折る程度も出来ない。
レッドは剣の構えを解いた。
「そうでしょ。でも既製品ばかりじゃない。ちゃんと炊事しないと駄目だよ」
「放っておけ」
アサシン本部でバラムロックの報酬を受け取ったあと、今後ハンターに狙われる可能性を考慮してブルーとの相棒解消をバダグに申し出た。その折にナスナ・クールという元ハンターのロック依頼を引き受けてきた。元ハンターならルーン村の事件に関して何か知っているかもしれないからだ。
「ご飯が済んだらハンター支部に行ってくるね」
「ハンター支部?」
「レシアを見付けてくれた依頼の報酬をまだ払って無いし」
「そうか。でもよくハンターに依頼する金なんてあったな」
「家に残っていた無事そうな物を売ったりしたの。それに今は教会でお掃除や洗濯のアルバイトをしてるのよ」
「そうか、偉いんだな」
「レシアにも紹介しようか?」
「俺に火事は向いてない」
「そうね。村でも狩猟専門だったもんね」
あの頃は幸せだった……と思う。ゆっくりのんびり狩りをして、肉や毛皮を売ったり食べたりして生活出来ていた。どうしても厳しい時でも、村の特産品を売って生活出来ていた。
「あ、もうこんな時間。先に行くね」
「ああ。洗いモンくらいはやっておくよ」
「あんまり危ない事をしちゃ駄目なんだよ!」
「早く行け」
ナーダは急ぎ足で出て行った。急に家が静かになってしまった。
「ナスナ……今日会えるだろうか?」
暗くなってきてから、レッドはナスナの出現する可能性が高いと聞いていたスラム街へ向かった。
そこに居合わせたナスナと交戦し、レッドは鹹くも勝利を収める。接戦の末の勝利だった為、手加減が出来ずに情報を得る前にナスナを殺してしまった。
ため息を吐くレッドの前にブルーに終われているナーダが現れた。誰からかの依頼でナーダのロックをしようとしていたのだ。
「……ブルー」
「レッド? アンタ何でここに?」
「これはどういう事だ?」
「依頼が入ったの。ナーダを消せって依頼がね」
「何だって……?」
「貴方もアサシンなら分かるでしょ? 仕事に私情を挟む訳にはいかないの。レッドには関係の無い事よ」
「……………」
どうする……? 確かにアサシンとして、ブルーの邪魔をする事は許されない。邪魔をすれば俺は反逆者として扱われるかもしれない。
だが……ナーダが死んでも良いのか?村のたった1人の生き残りじゃないか。昔から知っている、妹みたいな存在なんだ……
「……………」
違和感……いや、既視感……?
一瞬、アサシンとしてナーダを見殺しにする展開を考えてしまった。でも冷静になって考えろ。
「ブルー、悪いな」
「……レッド?」
「村の仇を見付ける事は大事だ。でも生きているヤツの方がもっと大事だろ? 幼馴染だったら尚更だ」
「レシア……」
「アンタ……言ってる意味は分かってるの?」
「俺は村の仇を討ちたい。でも、だからってナーダを見殺しにしてまでアサシンにしがみ付こうなんて決して思わない!」
「……アサシンを辞める覚悟が出来てしまったみたいね。でもよく考えて。今の内なら不問にしてあげても良いわ。ナーダさえ引き渡してくれるならね」
「くどい。ここでナーダを引き渡すくらいなら、最初からそうしている」
「交渉決裂かしら」
「そうだな」
「死にたいのね」
「どっちが?」
レッドは剣を構える。ブルーもダガーを構える。今までブルーとは戦った事が無かった。模擬戦すらしていない。それでも今まで相棒として3年も一緒に戦って来た。ブルーの攻撃はよく知っている。
ブルーはダガーで突いてきた。レッドは弾いたりかわしたりするが、絶妙な距離での攻撃に反撃できない。ブルーの攻撃が分かる様に、ブルーもレッドの攻撃を知っているのだ。
「なかなかいい感じに攻めて来やがるな」
「簡単に殺られる訳にはいかないのよ」
ブルーはウィンドカッターを撃って来た。レッドはその風の刃を剣で斬り裂く。
「ウィンドカッターの対処法を教えてくれたのは……ブルー、お前だったな」
「よく覚えてて、あの一瞬に対処できたわね」
「結局アイスの魔法だって同じ事。お前の魔法は俺には通用しない」
「残念ながらアンタより頭は良い方なの」
ブルーはアイスを連続で放つ。1発目は剣で斬り裂いたが、その間に他のアイスがレッドの周りの空間を氷で塞ぎ始めた。
「なるほど、直接攻撃だけでは無いって事か」
「これで詰んだんじゃないかしら?」
「流石にそれは見縊り過ぎだ、パワーホールド!」
一気に周りの氷を斬り裂いた。こっちへ近付いて来ていたブルーは慌てて停止する。
「シャドウ!」
闇属性の魔力の塊がブルーにぶつかり、ブルーは後ろへと飛ばされる。
「くっ、久し振りに見たわね。アンタの魔法を」
「これともう1つしか使用できないからな。威力も弱いから斬った方が早い。でも今回はその弱い魔法のお陰でゲームセットだ」
どうやら今のシャドウでブルーは腕を痛めた様だ。本当に威力は弱いので、殺すどころか骨を折る程度も出来ない。
レッドは剣の構えを解いた。