第20話
文字数 1,902文字
バダグの言う事が本当なら、確かに悪い話では無い。お互いに利益のある事だ。しかしバダグを信用しても良いのだろうか? コイツはアサシンには優しいが、それ以外には鬼の様に厳しい男だ。
シヴァは何か知っているのだろうか。さっき何かを言い掛けていた。しかし、それを聞き出せる状況では無いだろう。
「……悪いな、バダグ」
「レッド? お前」
「今の俺はお前を信用する事は出来ない。アサシンだった事のお前なら無条件で信用もしていただろうが、アサシンでなくなった今は無理だ」
「よく考えるんだな。このままでは本当にアサシン全体を敵に回してしまう事になるぞ」
「俺がアサシンなんかに後れを取るとでも思っているのか?」
「……なるほどな」
バダグが右手を挙げると、隣に居たアサシンがレッドに斬り掛かってきた。それをかわしながらアサシンの腹を斬り裂いた。アサシンは呻き声を挙げて倒れる。
「ほら、な」
「……レッド。お前は確かに名実共に優秀なアサシンだった。しかしアサシンを治める俺に勝てると思っている訳じゃ無いだろう」
「さあ、殺り合った事が無いからな。どっちが強いかなんて分からないな」
バダグがレッドの方を向く。殺意がこっちにも伝わって来た。
(……俺ではバダグに勝つ事は難しいだろう。でもここはバダグを倒す事が勝利じゃない。何とか隙を作って、シヴァを助ける事こそが勝利なんだ)
「レッド・アサシン! バダグさんが手を下すまでも無い。この俺が……」
「雑魚がやっと喋ったと思ったら、そんな事しか言えないのかよ」
「な、何だと?」
「お前みたいな雑魚には俺は倒せない」
アサシンが襲い掛かろうとした瞬間、ヤツの腕を切り落とす。アサシンは口をパクパクさせながら膝をつく。そのままでは辛いだろうから、首を落としておいてやった。
「やっぱりやるな。流石の強さだ」
「残るはお前ともう1人だけ。次はどっちだ? それともいっぺんに掛かって来るか?」
「図に乗るな。奴を倒したからっていい気にならない事だな」
「バダグが来るか。……お前とは1回戦ってみたかった。ネギじゃなくその拳で来るんだな」
「ネギ? 何の事だ?」
「……すまん、俺にもよく分からん。気にするな」
「どうやら恐怖でおかしくなっているようだな」
「おかしいのは元々かもな! パワーホールド!」
「覚悟しろ、レッド!」
バダグはこちらへ殴り掛かって来た。他の奴らとは違う速い攻撃。剣で弾くと金属音がした。
「セスタスだっけ、お前の武器は」
「そうだ。破壊力を増すだけではなく、剣などの攻撃を弾く事も出来る」
「剣を弾いて大丈夫な時点でおかしんだって」
バダグは格闘術を得意としている。武器はパンチだけではなく、蹴りも自在に操る事が出来る。
「レシアを殺させる訳には……ライト!」
「光属性の魔法!? しかし!」
ナーダの放った光の弾はバダグに軽く弾かれてしまう。全然だめじゃないか。
「そんな攻撃しか出来いくせにしゃしゃり出るな」
「じゃあしゃしゃり出ても良い攻撃を食らえ」
剣を振るう。バダグはセスタスで受け止める。パワーホールドでパワーを上げているにも関わらず、若干押し負けてしまう。
「これがレッド・アサシンの実力だとでも? なめるな!」
「ぐ……うわぁ!」
パワー勝負で負けて、レッドは吹っ飛ばされた。バダグが近寄って来る。
「アサシンを続けていれば、良い所まで上り詰める事も出来ただろうに……惜しいな」
「アサシンに未練はない」
「地獄へ行って後悔するんだな」
(このままじゃヤバイ。シヴァは?)
「こういう結末になってしまったのは残念で仕方が無いが、死んで貰おう。レッド・アサシン!」
「俺はもうレッド・アサシンじゃない! 俺はレシアだ!」
「レシア……」
レシアが剣を構えた瞬間に、バダグの後ろで爆発が起きた。バダグは横に飛ばされる。
「この魔法は……!」
「やれやれ、盛り上がっている所悪いな。ちょっと状況が芳しくないんで、逃げさせて貰うぜ。レシアとナーダも一緒にな」
「くっ、そんな事させるか」
「甘い、バダグ!」
立ち上がったバダグに剣を振るう。バダグは武器でガードするもバランスを崩し後ろへ転がる。
「流石のお前でも、俺とレッド・アサシンに囲まれては万事上手くはいけないだろう。じゃあな、借りは必ず返す。……テレポート!」
「ぐ……」
転移魔法の光が拡がり、3人を何処かに連れ去ってしまった。
「……今回のロックも失敗か。逃げられたものは仕方ないか、一旦本部へ戻るか」
バダグはもう1人残っていたアサシンと共にハンター本部を抜け出して行った。今度会ってしまったら戦いは避けられないだろう。いつその時が来ても良い様に鍛えておかなければ……
シヴァは何か知っているのだろうか。さっき何かを言い掛けていた。しかし、それを聞き出せる状況では無いだろう。
「……悪いな、バダグ」
「レッド? お前」
「今の俺はお前を信用する事は出来ない。アサシンだった事のお前なら無条件で信用もしていただろうが、アサシンでなくなった今は無理だ」
「よく考えるんだな。このままでは本当にアサシン全体を敵に回してしまう事になるぞ」
「俺がアサシンなんかに後れを取るとでも思っているのか?」
「……なるほどな」
バダグが右手を挙げると、隣に居たアサシンがレッドに斬り掛かってきた。それをかわしながらアサシンの腹を斬り裂いた。アサシンは呻き声を挙げて倒れる。
「ほら、な」
「……レッド。お前は確かに名実共に優秀なアサシンだった。しかしアサシンを治める俺に勝てると思っている訳じゃ無いだろう」
「さあ、殺り合った事が無いからな。どっちが強いかなんて分からないな」
バダグがレッドの方を向く。殺意がこっちにも伝わって来た。
(……俺ではバダグに勝つ事は難しいだろう。でもここはバダグを倒す事が勝利じゃない。何とか隙を作って、シヴァを助ける事こそが勝利なんだ)
「レッド・アサシン! バダグさんが手を下すまでも無い。この俺が……」
「雑魚がやっと喋ったと思ったら、そんな事しか言えないのかよ」
「な、何だと?」
「お前みたいな雑魚には俺は倒せない」
アサシンが襲い掛かろうとした瞬間、ヤツの腕を切り落とす。アサシンは口をパクパクさせながら膝をつく。そのままでは辛いだろうから、首を落としておいてやった。
「やっぱりやるな。流石の強さだ」
「残るはお前ともう1人だけ。次はどっちだ? それともいっぺんに掛かって来るか?」
「図に乗るな。奴を倒したからっていい気にならない事だな」
「バダグが来るか。……お前とは1回戦ってみたかった。ネギじゃなくその拳で来るんだな」
「ネギ? 何の事だ?」
「……すまん、俺にもよく分からん。気にするな」
「どうやら恐怖でおかしくなっているようだな」
「おかしいのは元々かもな! パワーホールド!」
「覚悟しろ、レッド!」
バダグはこちらへ殴り掛かって来た。他の奴らとは違う速い攻撃。剣で弾くと金属音がした。
「セスタスだっけ、お前の武器は」
「そうだ。破壊力を増すだけではなく、剣などの攻撃を弾く事も出来る」
「剣を弾いて大丈夫な時点でおかしんだって」
バダグは格闘術を得意としている。武器はパンチだけではなく、蹴りも自在に操る事が出来る。
「レシアを殺させる訳には……ライト!」
「光属性の魔法!? しかし!」
ナーダの放った光の弾はバダグに軽く弾かれてしまう。全然だめじゃないか。
「そんな攻撃しか出来いくせにしゃしゃり出るな」
「じゃあしゃしゃり出ても良い攻撃を食らえ」
剣を振るう。バダグはセスタスで受け止める。パワーホールドでパワーを上げているにも関わらず、若干押し負けてしまう。
「これがレッド・アサシンの実力だとでも? なめるな!」
「ぐ……うわぁ!」
パワー勝負で負けて、レッドは吹っ飛ばされた。バダグが近寄って来る。
「アサシンを続けていれば、良い所まで上り詰める事も出来ただろうに……惜しいな」
「アサシンに未練はない」
「地獄へ行って後悔するんだな」
(このままじゃヤバイ。シヴァは?)
「こういう結末になってしまったのは残念で仕方が無いが、死んで貰おう。レッド・アサシン!」
「俺はもうレッド・アサシンじゃない! 俺はレシアだ!」
「レシア……」
レシアが剣を構えた瞬間に、バダグの後ろで爆発が起きた。バダグは横に飛ばされる。
「この魔法は……!」
「やれやれ、盛り上がっている所悪いな。ちょっと状況が芳しくないんで、逃げさせて貰うぜ。レシアとナーダも一緒にな」
「くっ、そんな事させるか」
「甘い、バダグ!」
立ち上がったバダグに剣を振るう。バダグは武器でガードするもバランスを崩し後ろへ転がる。
「流石のお前でも、俺とレッド・アサシンに囲まれては万事上手くはいけないだろう。じゃあな、借りは必ず返す。……テレポート!」
「ぐ……」
転移魔法の光が拡がり、3人を何処かに連れ去ってしまった。
「……今回のロックも失敗か。逃げられたものは仕方ないか、一旦本部へ戻るか」
バダグはもう1人残っていたアサシンと共にハンター本部を抜け出して行った。今度会ってしまったら戦いは避けられないだろう。いつその時が来ても良い様に鍛えておかなければ……