横話G 続・殺し屋
文字数 2,367文字
※この横話Gは「57話」時点の状態でのエピローグです。57話まで読んでいない方は、先にそちらまで本編を読んで頂く事を強くお勧めします。
横話G
続・殺し屋
「ふう、荷造りも終わったしこの部屋ともオサラバだな」
バダグの説得に成功しバダグが戻るまでアサシン本部に居る事となった。アサシンとハンター、両方に襲われる事が無くなった為、もう少し良い部屋に引っ越しをする事となったレシアは荷造りをしていた。
「新しい部屋ならアサシン本部も近いし、ハンター本部もそこまでは遠くない。広さも今の倍くらいはあるからな。まあ部屋が広くてもそんなにする事も趣味も無いんだけどな」
あれからアサシンとハンターは互いに歩み寄り、依頼の種類によって請け負う企業を振り分けていた。企業提携みたいな物だろうか。他にも依頼があった場合はまず両方の代表が集まり会議を行う。そこで依頼の判定を行い振り分けも行う。そこらの面倒な部分はブルーとシヴァに任せておけばいい。
例の封印もハンター副本部長を中心とした魔法部隊がシフト制で監視をしている。あれから3か月ほどが経ち、今の所は封印も安定しており問題も無さそうだった。
「ふふふ……レッド・アサシン見っけ」
「……え? 今なんか声が聞こえた様な」
気のせいかもしれない。3か月前まではずっと気を張り続けていた。その為色々な事に敏感になってしまっているのかもしれ……
「ふふふ……しかも1人じゃないか」
「……やっぱり聞こえるな。誰だ?」
急に部屋に音楽が鳴り響いた。
「呼ばれて飛び出て……ぶにょにょにょ~ん!」
目の前に霧隠れを開放したクラスタが現れた。
「クラスタ!? ……生きていたのか?」
「ふふふ……死ぬかと思ったがな。何とか生き延びていたのだ。確認しなかったお前が悪い」
「確かに脈を取ってまでは確認はしなかったがもしれないが……それにさっきのぶにょにょにょ~ん、って何だ?」
「霧隠れの効果音だ」
確かに……敢えて言うならば霧隠れの音は、ぶにょにょにょ~んに近いのかもしれない。
「いや、実際に発動しているんだし……態々言う必要も無くね?」
「まあ気分と言うヤツだな」
「それにこの音楽は何なんだ? やけにしんみりした曲だけど」
「BGMというヤツだ。折角の再会なのだからな」
「それにしてもこの音楽は無いだろう」
「……設定ミスだ」
「しっかりと設定して出て来た時点で設定ミスも無いだろう。明らかに狙い撃ちじゃないか」
「気にするな。折角俺を打ち倒したライバルであり強敵(とも)であるレッド・アサシンに会いに来たのだ」
「誰が強敵(とも)なんだ! 怒られるぞ!」
「作者の打ち間違いだ。つまり設定ミスだ」
「作者って何だよ……横話だからってふざけ過ぎだ。とにかくリベンジに来たって事なんだな?」
「ふふふ……その通りだ」
「お前性格変わったか? 初登場時のお前はそんなんじゃ無かったのに」
「それは……設定ミスだ!」
クラスタは刀を振り回して来た。レシアはそれをよけて立て掛けてあったルーンソードを手にする。
「俺が剣を手にするのを簡単に許すとは。落ちたな、クラスタ」
「ふふふ……流石だとは言っておこう。だが、俺の秘術を見ても同じ事が言えるか?」
「秘術だと?」
「そうだ。……必殺・影分身の術!」
クラスタが印を結ぶと、クラスタを中心にいくつものクラスタの影が出現した。
「これは……影? 真っ黒なんだが」
「ふふふ……これでお前は本物の俺がどれか分からない」
「え、いや……全然分かる気がするんだけど……お前以外は真っ黒だし……」
「ならば見破ってみせい!」
ボケているのか何なのかは分からないが、クラスタと真っ黒い影は同じ動きをしながらレシアに襲い掛かって来た。レシアは遠くから気弾を本体に放つ。そしてクラスタが怯んだ内に近付いて剣で斬り伏せた。
「ぐっ、流石だ。よくこの俺の影分身の術を見破った。見事だ……レシアよ」
「お前がレシアって呼ぶな、気持ち悪い!」
「ふふふ……」
クラスタはその場に倒れ込んだ。流石に今度こそ……
「……って、何で普通に立ち上がって来る!?」
「ふふふ……甘いな。今の俺は無敵なのだ」
「ど、どういう事なんだ!?」
「今の俺は何回やられても蘇る。何故か魂縛りの術が自分に効いてしまってな」
魂縛り……? あれは確か死者を操る忍術だった様な……
「クラスタ……お前、死んでるんじゃん?」
「…………本当じゃん!?」
「ってか、よく自分に魂縛りの術を掛ける事が出来たな。死んでから掛けたって事だろ? いや、死ぬ前に掛けれるのか?」
「ふふふ……そんな事はどうでも良い。むしろよく分からんし覚えていない」
「良いのかよ!」
「ようはレッド・アサシン。お前を殺せるなら何でも良いのだ。ナーダの居ない今、お前は俺に勝つ事は決して出来んのだ!」
「く、どうすれば。……って、また音楽を変えやがったな。何だこの演歌みたいなのは!?」
「設定ミスだ!」
「この横話はお前のコーナーなのか?」
「ふふふ……それもよく分からん。とにかく俺とエンドレスで戦って貰おう」
「エ、エンドレスかよ……」
ガチャ
「レシア、荷造り終わった? お邪魔しま~す」
「おお、ナーダ。良い所に来た」
「いや~ん!!!」
横話の間が閉じた。
「……何だ? 何を見て来たのか覚えていない。しかしこの汗は尋常じゃないな」
「どうしました?」
「ルーン、分からないが凄く嫌な未来を見たのかもしれない。でも覚えていないんだ」
「もしかしたら防衛本能かもしれませんね」
「防衛本能?」
「人間は自分が耐えられない程の事があった時、記憶を自ら消去してしまう事もあると聞いた事があります」
「それ程に恐ろしい未来だったのかもしれない。そうか、そうなのかもしれないな」
「しかし、貴方がそれほどまでに恐怖するとは……」
レシアは一呼吸おいてから歩き出した。
横話G
続・殺し屋
「ふう、荷造りも終わったしこの部屋ともオサラバだな」
バダグの説得に成功しバダグが戻るまでアサシン本部に居る事となった。アサシンとハンター、両方に襲われる事が無くなった為、もう少し良い部屋に引っ越しをする事となったレシアは荷造りをしていた。
「新しい部屋ならアサシン本部も近いし、ハンター本部もそこまでは遠くない。広さも今の倍くらいはあるからな。まあ部屋が広くてもそんなにする事も趣味も無いんだけどな」
あれからアサシンとハンターは互いに歩み寄り、依頼の種類によって請け負う企業を振り分けていた。企業提携みたいな物だろうか。他にも依頼があった場合はまず両方の代表が集まり会議を行う。そこで依頼の判定を行い振り分けも行う。そこらの面倒な部分はブルーとシヴァに任せておけばいい。
例の封印もハンター副本部長を中心とした魔法部隊がシフト制で監視をしている。あれから3か月ほどが経ち、今の所は封印も安定しており問題も無さそうだった。
「ふふふ……レッド・アサシン見っけ」
「……え? 今なんか声が聞こえた様な」
気のせいかもしれない。3か月前まではずっと気を張り続けていた。その為色々な事に敏感になってしまっているのかもしれ……
「ふふふ……しかも1人じゃないか」
「……やっぱり聞こえるな。誰だ?」
急に部屋に音楽が鳴り響いた。
「呼ばれて飛び出て……ぶにょにょにょ~ん!」
目の前に霧隠れを開放したクラスタが現れた。
「クラスタ!? ……生きていたのか?」
「ふふふ……死ぬかと思ったがな。何とか生き延びていたのだ。確認しなかったお前が悪い」
「確かに脈を取ってまでは確認はしなかったがもしれないが……それにさっきのぶにょにょにょ~ん、って何だ?」
「霧隠れの効果音だ」
確かに……敢えて言うならば霧隠れの音は、ぶにょにょにょ~んに近いのかもしれない。
「いや、実際に発動しているんだし……態々言う必要も無くね?」
「まあ気分と言うヤツだな」
「それにこの音楽は何なんだ? やけにしんみりした曲だけど」
「BGMというヤツだ。折角の再会なのだからな」
「それにしてもこの音楽は無いだろう」
「……設定ミスだ」
「しっかりと設定して出て来た時点で設定ミスも無いだろう。明らかに狙い撃ちじゃないか」
「気にするな。折角俺を打ち倒したライバルであり強敵(とも)であるレッド・アサシンに会いに来たのだ」
「誰が強敵(とも)なんだ! 怒られるぞ!」
「作者の打ち間違いだ。つまり設定ミスだ」
「作者って何だよ……横話だからってふざけ過ぎだ。とにかくリベンジに来たって事なんだな?」
「ふふふ……その通りだ」
「お前性格変わったか? 初登場時のお前はそんなんじゃ無かったのに」
「それは……設定ミスだ!」
クラスタは刀を振り回して来た。レシアはそれをよけて立て掛けてあったルーンソードを手にする。
「俺が剣を手にするのを簡単に許すとは。落ちたな、クラスタ」
「ふふふ……流石だとは言っておこう。だが、俺の秘術を見ても同じ事が言えるか?」
「秘術だと?」
「そうだ。……必殺・影分身の術!」
クラスタが印を結ぶと、クラスタを中心にいくつものクラスタの影が出現した。
「これは……影? 真っ黒なんだが」
「ふふふ……これでお前は本物の俺がどれか分からない」
「え、いや……全然分かる気がするんだけど……お前以外は真っ黒だし……」
「ならば見破ってみせい!」
ボケているのか何なのかは分からないが、クラスタと真っ黒い影は同じ動きをしながらレシアに襲い掛かって来た。レシアは遠くから気弾を本体に放つ。そしてクラスタが怯んだ内に近付いて剣で斬り伏せた。
「ぐっ、流石だ。よくこの俺の影分身の術を見破った。見事だ……レシアよ」
「お前がレシアって呼ぶな、気持ち悪い!」
「ふふふ……」
クラスタはその場に倒れ込んだ。流石に今度こそ……
「……って、何で普通に立ち上がって来る!?」
「ふふふ……甘いな。今の俺は無敵なのだ」
「ど、どういう事なんだ!?」
「今の俺は何回やられても蘇る。何故か魂縛りの術が自分に効いてしまってな」
魂縛り……? あれは確か死者を操る忍術だった様な……
「クラスタ……お前、死んでるんじゃん?」
「…………本当じゃん!?」
「ってか、よく自分に魂縛りの術を掛ける事が出来たな。死んでから掛けたって事だろ? いや、死ぬ前に掛けれるのか?」
「ふふふ……そんな事はどうでも良い。むしろよく分からんし覚えていない」
「良いのかよ!」
「ようはレッド・アサシン。お前を殺せるなら何でも良いのだ。ナーダの居ない今、お前は俺に勝つ事は決して出来んのだ!」
「く、どうすれば。……って、また音楽を変えやがったな。何だこの演歌みたいなのは!?」
「設定ミスだ!」
「この横話はお前のコーナーなのか?」
「ふふふ……それもよく分からん。とにかく俺とエンドレスで戦って貰おう」
「エ、エンドレスかよ……」
ガチャ
「レシア、荷造り終わった? お邪魔しま~す」
「おお、ナーダ。良い所に来た」
「いや~ん!!!」
横話の間が閉じた。
「……何だ? 何を見て来たのか覚えていない。しかしこの汗は尋常じゃないな」
「どうしました?」
「ルーン、分からないが凄く嫌な未来を見たのかもしれない。でも覚えていないんだ」
「もしかしたら防衛本能かもしれませんね」
「防衛本能?」
「人間は自分が耐えられない程の事があった時、記憶を自ら消去してしまう事もあると聞いた事があります」
「それ程に恐ろしい未来だったのかもしれない。そうか、そうなのかもしれないな」
「しかし、貴方がそれほどまでに恐怖するとは……」
レシアは一呼吸おいてから歩き出した。